週末になると新聞に折り込まれてくるマンションの広告を見るのが楽しみで、そこに家具を書き入れてみたり、カラー刷りのチラシのパースを真似て書いたりしていました。
またバスや電車に乗ると、ずっと外を眺めており、何を見てたかというともちろん建物を見ていたのでした。
建物に関わる仕事がしたくて、調べていくと大学で工学部にいくのがいいと分かりました。高校では理系に進み、苦手な数学と物理を必死で勉強しました。
その甲斐あって、大学はめでたく建築学科に進むことになりました。
大学では、設計が本当に大好きでした。自分の考えた建物を紙に書いて、人にプレゼンテーションすることが面白くて面白くて仕方ありませんでした。
けれどだんだん、建物を建てるということ、そしてその空間だけに向き合うことには疑問を覚えてきました。
建築ってなんなのか。
っていうかそもそも建物を建てるって正しいことなのか。
建物を建てるっていうことは結局何をすることなのか?
研究室を選ぶときは、都市や、コミュニティーについて研究しているところに行くことにしました。
建築が建つ都市というところについて、そこでくらす人について、知りたいと思いました。
良い街とは?これから日本はどういう街になっていくべきなのか?
いろんなことを考えました。
そういった研究を通して、自分は建物単体というよりむしろ、街をつくりたいんだとわかってきました。
街が人の手によって作られ、人によって使いこまれるなかで少しずつ変化していくという過程に携わりたいと思ったのです。
就職するときは、悩みました。
将来何をしたいのか。
ただ建物を作るっていう行為に徹してしまっていいのだろうか。
たとえばもっと大きい目で都市をみれる仕事はないのか。
公務員となり、都市政策を作るとか?
いやいや、建物を建てるなんてもう不要。まったく別の視点はないだろうか••••
しかしながら結局、まわりまわって設計をすることにしました。
なぜなら、街を作ることは建物の集まりをつくることでもある、という当たり前のことに気付いたからです。
一つの建物をつくるなんてほんの一つの点をつくることでしかないかもしれません。小さな小さなことです。
でも、その点のひとつひとつの作り方が、街を少しずつ変えていけると思うのです。
私はそういう小さな点をつくる人になろうと思いました。
その場所に、どういう形の建物をつくり、どんな窓を作るのか、タイルを貼るのか石を貼るのか、それらはどんな色にするのか•••••
そういう細かいことの積み重ねがそこに暮らす人と調和して都市を作っていきます。
そんなことに携われるこの仕事に誇りを持って、これからも続けていきたいとおもいます。
