子にすすめたものの
結局私が読んだ本。映画。
『君のクイズ』
小川哲
2022年10月刊
クイズに人生をかけた者が
対戦者の
常人では答えられない早さの正解に
ヤラセか?実力か?と
真実を求めて
不可解な正解の謎を追う。
映画スラムドッグ$ミリオネアを思い出しました。
いたってシリアスな語り口なのだけど、
クイズをボールか対戦相手の動きに見立てたり
クイズが止まって見える。そんな言葉を口にしたくなるくらい、頭が回っていた。
リリカルに語ったり
これまで僕が出会ってきたクイズと、これから僕が出会うはずのクイズが、僕の体のまわりに漂っていた。
冒頭から吹き出してしまいました。
クイズ問題から過去を思い起こす場面も
ミステリー仕立ての面白さがあるのだけど
主人公の語りに
クイズへの偏愛ぶりと
中二病の残り香がして
笑いながら読んでしまった。
子が読んだら、自分や友達を思い出すはず。
そんな偏った想像で物語を楽しみつつ
同時に
作者小川哲さんの凄さも感じました。
『地図と拳』では莫大な資料から
架空の街を創り架空の人物と
史実を噛み合わせる力技をやってのけたわけで
『君のクイズ』はその直後の作品。
小川さん、ご自身はクイズやクイズ番組に縁遠かったのに伊沢拓司さんの著作はじめ
クイズプレイヤーの方達の助言を受けつつ
資料から
ここまでオタク感(失礼!)のある文体で
クイズに人生をかけてきた者の内面を創り上げた見事さ。
まるで『地図と拳』で培った創作の技を試したかのようです。
しかも『地図と拳』と違う面白さという。
小川哲さんはこれからも新しいジャンル、新たな文体を探られるのでしょうね。楽しみです。
映画『ブルージャイアント』
石塚真一 原作
Number8 脚本
音が聴こえる作品として
大変人気ある漫画のアニメ化。
仙台でバスケ三昧だった高校生が
偶然聴いたジャズに心を打たれ
世界一のジャズプレイヤーを目指します。
↓期間限定で物語はじまりの仙台編4巻まで読めます。
おすすめいただいて手にしたら面白い!
漫画の名だたる賞をいくつも受賞されています。
ご紹介ありがとうございます!
楽器演奏歴もなく
ジャズの本場から程遠い場所で
世界を目指すなんて
常識的に考えたら逆境ばかり。
けれど主人公は
自分の天井(実力の限界)を定めないで
大きな夢に向かって日々の練習に全力を傾ける。努力しつづけること自体も才能であって、その努力の先にブレイクスルーが生まれる。
主人公は独特の音をもっているけれど、その音楽表現は自然や人や事物を読みとる洞察力の深さと鋭さと理解力、そして尋常ではない努力の両輪から生まれていて、彼の音楽的センスを単なる“才能”で語らない展開が印象的でした。
読んでいると
知らず知らず感情移入して
最初からうるっときてしまう。
次こそは淡々と読むぞ、と思っても
脇役の描き方がとても温かくて
主人公の音楽にかける思いが真っ直ぐで熱い。
そこにほだされてしまうのです。
映画は試し読みにある仙台編のその後の
東京編。
(漫画は海外編へと続いています)
(私は仙台編を読んだところ)
映画は音を聴くため。
第一線で活躍するプレイヤーの方々の
ライブを聴く気分で出かけました。
原作者の石塚さんも
映像化するなら
テレビより劇場で
大音量のライブとして
ジャズを楽しんでほしかったそうです。
荒削りながら思いがほとばしる
高校生の
熱く激しい演奏を
ときにはご自身の実力より拙く演じた
馬場智章さん(サックス)
上原ひろみさん(ピアノ)
玉田俊二さん(ドラム)
お三方のライブ演奏が迫力たっぷりに
物語を盛り上げてくれました。
大河ドラマでで活躍中の山田裕貴さんの声も主人公の雰囲気に違和感なく合っていました。
映画は原作とは違うエピソードもあります。
テロップにはピアノ調律師の方の名前も上がっていました。一瞬、『羊と鋼の森』を思い出しましたよ。
上原ひろみさんのお話では寂れたお店のピアノではあえて甘い調律を依頼したり、物語に合わせた奏法をえらんだりと、手の込んだ音作りをされたようです。
上原さん達のライブに伺う日を夢見つつ
しばらくはサントラを聴いてしまいそうです
ジャズライブ気分で映画鑑賞、胸熱で良かったです




