YOUNG PLATO
『ぼくたちの哲学教室』
北アイルランド紛争の報道で
耳慣れた地名
ベルファストの小学校での
哲学教育のドキュメンタリー映画です。
ご紹介ありがとうございます!
画像はお借りしました
公立ホーリークロス男子小学校がある
アードインは
政治的対立から地域の発展が遅れた
労働者階級の街。
(地名の誤記がありました。訂正します)
対立の火種となった
カソリックとプロテスタントの居住地を隔てる平和の壁や
荒々しい壁の絵、なにより人々の心に
紛争の傷跡が生々しく残っており
親世代の紛争のトラウマの影響から
10代の男子の自殺率が多くなっています。
ドラッグの問題もかなり深刻です。
ケヴィン・マカリーヴィー校長達は
幼いときから哲学を学ぶ必要があると
哲学を主要科目にすえ
子どもが自らの生命を守り
暴力と憎悪の連鎖を断ち切れるように
セネカ、ソクラテス、プラトンら
哲学者の考えを
授業や学校生活に落としこみ
子どもが自ら疑問をもち
考え続ける批判的思考を
身につけられるようにと
就学する4歳から
それぞれの発達年齢、
家庭状況に合わせて
たゆむことなく実践されています。
21世紀の現代に
紀元前の哲学が
本棚でホコリをかぶるどころか
便利かつ有意義な生活の知恵として
あらゆる場面で活用されていることに
衝撃を受けました。
怒り、悲しみ、不安を
言葉にし話せること。
自分の怒りを制御すること。
自分が気にかけてもらえている
大切な存在だと気づくこと。
心のケアは子ども個人へのケアでもあり
子にかかわる大人へのケアにもなる。
子どもの哲学教育をつうじて
地域の、親たちの
傷跡にも触れていこうとする。
たとえば
暴力はやめようと約束しても
カッとなると相手を殴る子は
紛争の記憶生々しい父親から
やられたらやりかえせと
力の行使を日々教えられています。
そこで
マカリーヴィー校長は
暴力について語りあう
父と子の即興劇を仕掛けます。
子どもは演じながら考え
発したことばを聞いた
教室の子どもたちも
真剣に思索を深めます。
子どもが哲学を体験することで
親や地域や
宗教などの権威が
常識や規範とみなしたものに
疑いをもち
問い、考える。
子どもが自分の考えたことばで
教え合い
互いの話を聞く。
それは子どもが家に帰り
親たちに問いかける原動力になり
ひいては
親の、地域の大人の
生き方も変わるきっかけになるでしょう。
今このときも、
北アイルランドで
ホーリークロス小学校のスタッフが
挑んでいる問題の大きさ
思いの強さを思うと
心に火が灯ります。
ホーリークロス小学校は
カソリック系の学校です。
北アイルランド紛争の
当時が舞台の映画『ベルファスト』では
主人公の9歳の少年バディは
プロテスタントで
ちょうど反対側の立場となる
家族を描いています。
二作品は互いの続編のようでした。
パンフレットは
映画関係者、学校関係者のインタビュー
ブレイディみかこさんや
内田伸子教授などのコラムで、
ベルファストの歴史的背景と
ホーリークロス小学校の哲学教育の意味について多方面から語られています。
岩波ブックレットのようなクオリティで製作者の熱意を感じます。
『ストア派哲学入門』
ライアン・ホリディ著
金井啓太 訳
ケヴィン・マカリーヴィー校長の
愛読書だそうです。
少しずつ読みたいです。
シェイクスピア研究者で批評家の
北村紗衣教授のレビューです。
男子が内省することは
ジェンダーの観点からも有意義なこと、
厳しい現実ほど
哲学が必要とされると語られています。
上映館が少ないことが残念です。
お近くで上映会があったら
ぜひ一度ご覧になってみてください。
道徳教育と哲学教育の違いが明快で
きっと哲学が身近になります。













