外では
アブラゼミと
ツクツクホウシの鳴き声。
この声もあと少し。
いまもまだ、細々と
俳句ものを読んでいます。
先日記事にした
神野紗希さんの
『俳句部、はじめました』では
古典も学生のものも
名前を見たり調べなければ
作者の年齢も時代も見分けがつかない
言葉のみずみずしさに胸踊りました。
俳諧や木の実くれさうな人を友 正岡子規
木の実はたいして役に立ちませんが、
心を灯します。
受け取ったとき、ふと笑みがこぼれます。
俳諧=俳句とは、
誰かと木の実を差し出し合い、
友だちのように語り合える、
あたたかい詩です。
中学生むけをうたうこの本には
俳句甲子園での
素晴らしい句も紹介されていて
詠む人の姿
詠まれた場面を想像すると
かつてを思い子と重ねて
部外者の私まで
胸が熱くなるのでした。
夕焼けやいつか母校となる校舎 大池莉奈
『春や春』森谷明子
俳句甲子園への出場にかける
高校生の物語。
上野さん『俳句部、はじめました』のご紹介から。
俳句好きな女子高生が
ピンときた子をスカウトして
顧問も頼み込んで
同好会を結成する。
俳句つながりの
男子高校生と再会したい
淡い気持ちももちつつ
俳句甲子園出場を目指します。
それぞれの登場人物を主役にした
オムニバス形式で
物語は進んでいきます。
読むうちに
俳句の文学的な位置づけや
俳句甲子園の仕組みやルールが
関係者目線で
なんとなくわかってくる。
俳句甲子園が昔の歌合のようだという
教師の気づきは
平安の人々の活気あるさまを想像させ
試合を重ねながら成長していく姿は
すこし『ちはやふる』を思い出しました。
そう、
ここは否定ではない、
鑑賞する場なのだ。
こちらも神野さんの紹介で手に取りました。
俳句甲子園、優勝常連校の顧問の著。
さかのぼること20年前、
松山市が俳句甲子園を大々的にしていこうと
出場校を全国規模で募集、
正岡子規の母校ということで売り込まれ
急ごしらえのメンバーで出場します。
出場校の多くは経験が浅く、
幸運にも決勝戦へ。
対戦相手の当時高校2年生の神野さんの俳句
カンバスの余白八月十五日 神野紗希
その鮮烈さに舌を巻き、佐藤先生は俳句に目覚めます。
甘くみたニ年目は惨敗。
大して準備していなかったのに
今更悔しがる高2メンバー。
彼らに秋に引退して受験に専念するか
(俳句甲子園は夏休みの開催)
受験期の高3の来夏に
俳句甲子園を再び目指すか
先生は彼らに意思を問います。
メンバーは口を揃えて「挑戦する!」と答えるのです。
それまで彼らは
俳句に燃えていたわけではないのに
受験を天秤にかける選択をする。
ライバルの熱量に感化されて
火がつく。
面白いなあ、思春期。
私から話を聞いた息子は
俳句に全く興味がないこともてつだって、
「マジか。ありえん」と驚いていました。
たしかに、
夏に高3の先輩には会えなかったものね。
今は母校で教鞭をとるも
かつては生徒会長までつとめた佐藤先生。
生徒の悔しさがよくわかったのでしょうね。
月一回の吟行、週3回の句会で
句作、鑑賞力を鍛えのぞむ3年目。
小鳥来る三億年の地層かな 山口優夢
チームは初優勝、
そして最優秀句に選ばれます。
『俳句を楽しむ』は
優勝常連校の努力秘話、
サクセスストーリーもわくわくしますが
ガチな俳句部の活動内容と
俳句の鑑賞の仕方、
季語の説明もふんだんにあって、
授業をうけているみたいです。
俳句のヒントをさがす散策、吟行について。
この吟行が小旅行みたいで楽しそう。
紙漉き場や酒蔵、果物狩り、渓流沿いを歩いて作句する。後の句会で推敲する。
その実作の仕方、
句会、結社の参加方法についても指南されています。
同好会のメンバーや
新人顧問が参考文献として重宝しそう、
あるいは一人俳句部が頼りにできそうな
入門的な内容を網羅した
ちょっとした教科書のようです。
なにより、佐藤郁良さんの俳句愛が胸を打ちます。
『天の川銀河発電所』佐藤文香編著
1968年以降生まれの俳句作家54名の俳句集。
18名ずつ「おもしろい」「かっこいい」「かわいい」に分けられ、各人40〜80句が掲載されています。いっぱいでお得感もありました。
こちらも神野さんのご紹介です。
各作家の人となりや作風が、シニカルで率直でユーモアのある筆致で語られていて、まるで部誌ように(そこまで踏み込んで書く?)というくだりも多々あり、俳句を別角度から鑑賞できるのも面白い句集です。
雲は地球の回る速さで去りゆく夏 福田若之
たった17文字なのに、作家によって表現が多様で意外性に驚かされます。
性的な句にどきりとしたり、
共感しやすい情景の句もあれば、
歯ごたえのあるものもあって、
長い時間をかけて楽しめるといいなぁ。
すこし涼しくなって
秋の蚊が張り切ること、
かゆいこと。
本に来て手に来て秋の蚊をはじく 黒岩徳将
秋の蚊と互いの運を嘆き合わん 越智友亮
俳句については
記事に書いた程度しか知りません。
それでも
季語や俳句から触発されるイメージで
草むしりで蚊におそわれても
こころなしかおもしろく、
鮮やかに感じられる。
単純ともいいますが
なかなかに面白い感覚です。








