このところ暑いですね。
そんなんだから我が家の門にある紅葉の葉はまだ緑色だし、室内用の冬用のスリッパをまだ購入していない…素足で過ごしている私(苦笑)今年は異例の温かさだと思います。
友人らから喪中はがきが届くようになって、今年もあと1ヶ月で終わるんだなぁ~と気づかされます。年末年始の仕事のシフトもようやく決まって、私は久しぶりにゆっくり過ごせそうです。
先日、急に不動産会社が我が家を尋ねてきました。何か?と思えば、ずっと空家になっている裏のお宅を売るために解体工事をするというご挨拶でした。
裏のお宅のご主人・Kさんは私の舅(2021年他界)の1コ下で同じ大学出身&同じ会社に勤めていました。
舅を在宅介護をしていた時に、舅と一緒にKさんも地域交流会に参加したことがあって、私が送迎を担っていました。
Kさんは舅よりも先(2018年)に亡くなったんですが、お1人となったKさんの奥様(80代)が「1人で家にいるのが怖いの」と言って老人ホームに入居をされてからずっと空家となっていました。
空家ではありましたが、年に数回も庭師が入って庭の植木の手入れはもちろん、伸びた雑草もキレイにしていました。我が家の庭よりもキレイでねー(笑)
我が家のベランダからKさん宅の洋風の庭が見えるので、いつも「素敵だなぁ♪」と楽しんでいました。
数年前にKさん宅のテレビのアンテナがぶらぶらと風に煽られていたので、Kさんの奥様にお電話をしてその旨を伝えました。すぐに電気屋に手配をしてくれて、アンテナを取り外してくれました。
そのKさん宅を取り壊すって…なんとなく寂しく感じました。挨拶に来た不動産会社と一緒に司法書士もいらして「奥様がようやく売る気になったんですよ。長い間、空家のままにしてご迷惑をおかけしてすみませんでした」とご丁寧な挨拶のあとに「奥様も病気が進行しているのでね、その前に片付けようと思ったのでしょう」と言い出したのでびっくりしました。
奥様の病気をそんなに軽はずみに口にしていいの!?
それって奥様も了承しているのことなの!?
不動産会社が「Kさん宅を解体をする前に、Kさんとミーさん宅の敷地の境界線の確認をして欲しいので立ち合いをお願いします」と言われたので「今日は主人が仕事で不在なので、そういうことは主人がいる日にして下さい。所有者は私ではなく主人なので」と伝えました。
不動産会社から「奥様から心ばかりの御品をお預かりしていますのでお納めください」と品物を受け取りました。
不動産会社と司法書士が帰った後に、思わずKさんの奥様に電話をかけました。
ミー:
Kさんですか?ミーです。お久しぶりです。突然のお電話ですみません!いま、不動産会社と司法書士の方がご挨拶にいらして、Kさんのお宅を取り壊すというお話をお伺いしました。突然のことで…すごく驚いています。
Kさんの奥様:
あら~ミーさん!驚かせてしまってごめんなさいね。ようやくね、私の気持ちに踏ん切りがついたというか…今回売ることにしたんです。今までいろいろと迷惑をかけちゃってごめんなさいね。
ミー:
いえいえ、迷惑だなんてとんでもない!庭師さんも定期的に入っていらしてるから、我が家の庭とは違っていつもおキレイですよ(笑)色とりどりのお花も咲いていますし、いつも素敵だから私も楽しんで見させていただいています。
だから解体するってお伺いしたので、素敵なKさん宅がなくなっちゃうことにすごく寂しくなっちゃって…思わずお電話をしちゃいました(笑)
Kさんの奥様:(少し涙ぐんで)
…あら、やだ(泣)
ミーさんの声を聞いたら懐かしく感じちゃって、いろんなことを思い出してきて涙が出てきちゃった…アハハ
ミーさん、ありがとうね、そう言ってくださって。すごく嬉しいわ。
ミーさんちみたいにね、私もあの家を子供に引き継いでもらいたかったわ。
(→Kさんのお子さん達は若い頃に病死してるんです)
でもできないから…こればかりは仕方がないのよね。更地にしないと売れないと言われて…実は私ね、病気が進行しているのよ。この病気はもうどうにもならないの。だから生きているうちに、頭がしっかりしているうちに(笑)売ってしまおうと思ったの。ようやくね、気持ちに区切りがついたところなのよ。
ミー:
そうでしたか…。
Kさんの奥様:
長い間、空家のままにしてご迷惑をおかけしちゃって、本当にごめんなさいね。
ミー:
いえいえ!何も迷惑はかかっていませんから。
Kさんの奥様:
それは思いやりのあるミーさんだからこそ、そう思ってくれるのよ。ミーさんだから言うけれど、ここだけの話にしてね。実はご近所からいろんなクレームをいただいてばかりいて…それが私にとってはすごいストレスでもあったの。
ミー:
えぇッ!?クレームなんかあるんですか??
(心の中で誰が?と思ったし、私はKさん宅の裏手の住人だから、Kさん宅の両隣しかいないじゃん!と思った)
Kさんの奥様:
まぁね、ミーさん…もういいのよ。今回片付けることにしたから、もうこれでクレームもなくなるわ。でも解体工事中は騒音や埃などで更にご迷惑をおかけすると思うの…本当にごめんなさいね。
ミー:
いえいえ、それがお互い様ですし、私は大丈夫ですよ。普段は仕事で不在にしていますから、ご心配なく。
それと、先ほど不動産会社の方から頂き物を頂戴しました。お心遣いをありがとうございます。
Kさんの奥様:
たいしたものでなくてごめんなさいね。ミーさんが気に入ってくださったのなら嬉しいわ。
それに、こうやってお電話をいただけたこと…懐かしいことも思い出したし、こういうお喋りも久しぶりですごく嬉しかったわ!本当にありがとう。
ミー:
私もKさんの変わらない元気そうなお声を聞くことができて良かったです。またお電話しますね。
昭和7年生まれの舅の世代の方々だから、舅がいないのと同じようにこうやって少しずつ自分の幕を下ろしていくんだなぁと感じました…。今まで普通にあったものがなくなっていくって、寂しいものですね。
私も「寂しい」と感じる年代になってきたんだなぁとも思いました。
それにしてもKさんの奥様は頭が良い方だし、80代の高齢の方とは思えないほどハキハキと喋ってすごいなぁと思いました。
そして昔から男性のようにサッパリとしている方なので、私が舅との二世帯住宅に引っ越しをして来てからも、Kさんの奥様は意地悪もせずに私を受け入れてくださったし、いつも優しく接してくださいました。
私もKさんの奥様のようにいつでも素敵でいたいと思ったし、1人で自分の進退を考えて自分でやっていけるようになりたいなぁと思いました。
Kさんの素敵なお宅とお庭はなくなってしまうけれど、Kさんの奥様との思い出はたくさんあるし、80代になっても変わらない素敵なKさんの奥様を目標にしていこう~私!