さて、少額訴訟が無事終わり、債務名義を手に入れました。

 
債務名義とは「誰々が誰々に対して債務があり、支払いをする義務がある」事を国が法的に保証してくれた証明となります。
 
ここから強制執行などの法的手続きで借金を回収しようとした場合、債務名義が無いと話になりません。
 
 
まず自分の状況を整理すると、相手の財産で把握してるのは、事前に相手から聞き出していたゆうちょの銀行口座の情報のみ。
 
強制執行は取り立てる対象として大きく動産執行、不動産執行、銀行口座等の預金、給料などになります。
 
動産執行は執行官と一緒に相手の家に立ち入って、お金になりそうな物を差し押さえてそれを競売にかけて返済金として取り立てる方式です。
 
よくドラマなどで家財道具に「差し押さえ」のシールを貼ってくシーンが流れたりしますが、あれが動産執行にあたります。
 
しかし動産執行は費用がだいぶ掛かります。
十万円以上は確実に掛かると思われます。
 
相手は二十歳そこそこの風俗嬢。
お金になる様な家財道具や車を持ってるとは到底思えず、費用倒れになる可能性の方が高いので今回は候補外。
 
無論、不動産なんて持ってるはずもなく、仮に持っていても不動産に対する強制執行は予納金から60万円が掛かり、既に貸した額を超えてるので候補外。
 
給料も相手は日雇い風俗嬢ですので、取り立てようにも支払いは手渡しでしょうから無理です。
 
 
余談ですが、風俗嬢はたいてい「個人事業主」と言う扱いでお店からは「給料」ではなく「業務委託金」として支払われます。
 
これは売春防止法対策で「お店は女の子を雇用してるのではなく、あくまで女の子に場所を貸してるだけだから管理売春ではない」と言う事にしたいのと、源泉徴収をしてきっちり所得税を払わなくても済む様にする税金対策などの目的があります。
 
なので多くの風俗嬢は自分で確定申告しないと脱税になるのですが、確定申告をちゃんとしてると言う話を聞いたことがありません。
 
それでも捕まらないのは、金額が多くないので税務署もいちいち対応してられないと言うのと、風俗の世界は暗黙の了解で捜査しない様になってると言う話も聞きます。
 
まあ事の真偽は分かりません。
あくまでも噂です。
 
 
 
さて話を戻します。
 
結局今回のケースで強制執行の対象として現実味のあるものは銀行口座のみとなります。
 
しかし唯一聞き出したゆうちょ銀行の口座も正直強制執行しても効果は無いと踏んでいます。
 
 
実はお金を貸す前に本人との雑談の中で、相手が銀行口座を三つ持っている事を話していた事があります。
 
聞いたらすんなり教えてくる様な口座ですから普段メインで使っている口座でない可能性は高いです。
 
 
 
やはり強制執行するなら本人がメインで使っている、一番お金を取り返せる可能性の高い口座にしたいです。
 
 
お金を取り返すために強制執行しても、残高不足で十分な金額を回収できなかった、もしくはそもそも相手の口座情報を知らない、と言う時の為に「財産開示命令」と言う制度があります。
 
これは相手を裁判所に呼び出し、財産の在処を本人の口から聞き出すと言う制度です。
 
一応、呼び出しに応じなかったり、嘘の情報を開示した場合の罰則として、「30万円以下の過料」と言うのがありますが、この過料の制裁を行うかは担当書記官の裁量次第で、実際は適用されない事も多いそうです。
 
 
そもそもお金を返さない相手に対して金を取り立てる為に財産を開示させようとしてるのに、開示しないから更にお金を払わせると言うのが、申し立てた人にとっては意味がないと言う話です。
 
過料の制裁金が払えるならその金を自分に返して貰った方が助かります。
 
まあそんなこんなで財産開示制度は一応制度として用意されてはいる物の、実際の所あまり使われない残念な制度です。