「と、とんでもない……」
「お手伝いのお末というのは怪しくないか」
「あれは真面目な感心な娘で、これも間違いございません」
「亀之介と小林との間に、何か睨み合うような事情があるのを知っているか」
「ええっ、何と仰有る……」と芝山は顔を固くして聞きかえしたが、「そんなことは、ないと思いますよ。とにかくわしの存じませんことで……」と答えたが、なぜかその返答には不透明なものが交っているように思われた。
「いや、ご苦労。そのへんで結構。まあ引取って、あっちで休んでいるように」
検事はそういって芝山宇平を退らせた。
さてそのあとに、お手伝いのお末が警官につき添われて、検事たちの前に現れた。
お末は年齢からいえば二十二歳という娘ざかりであったが、しかし一同の前に現われたお末なる女は予想に反して、もっと年をとった、そして黄色く乾涸びたような貧弱な暗い女性だった。痩せた顔は花王石鹸の商標のように反りかえっていて、とびだしたような大きな目の上には、厚いレンズの近視鏡をかけていた。
だが、検事たちの前に立ったお末の態度はすこしもおどおどしたところがなく、むしろ検事達の方が圧倒されるくらいのものであった。
型の通りの訊問があった後、昨夜のお末の動静を訊ねたところ、