CES(コンシュマー・エレクトロニクス・ショー)は、米国家電協会(CEA)が開催する世界最大のトレードショー。
昨年に引き続き、ラスベガス・マッカラン空港からタクシーで15分に位置するLVCC(ラスベガス・コンベンション・センター)を中心にSANS(サンズ・エクスポ・コンベンションセンター)、ヒルトン、ザ・ベネチアンの4会場で開催され、今年で42回目を迎える。(第1回は1967年と40年も前に開催された伝統あるショー)

ビデオ・オーディオ、ホームネットワーク、ホームシアター、ゲーム、,、ワイヤレス、モバイル、ロボットと幅広いカテゴリーをカバーしている。今年の出展社数は2,700社を越え、来場者数は14万人と景気後退のため直前で出展を取りやめたベンダーもチラホラでたとのことだが、そんなことは感じさせないくらいの盛り上がりだった。
(昨年の参加者に聞くと若干スペースが狭くなった気がするとの話もあったが・・・。)

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会場とは関係ないミラージュ。会場写真を撮るのを忘れ、ラスベガスっぽい感じをお届けしようと。。。


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LVCCのSouthHall前のオブジェ
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2日目のパネルディスカッションの様子

基調講演は、昨年まで務めたマイクロソフトのBillGates氏にかわりCEOに就任したSteve Ballmer氏が初めて登壇しWindow7のβ提供を発表。その他、ソニー会長のHoward Stringer氏、フォード会長のAlan Mulally氏、Intel会長のGraig Barrett氏、Cisco会長のJohn Chambers氏と蒼々たるメンバーが各々同社の戦略を発表した。John Chambers氏の独特のプレゼン(いつも壇上から視聴者フロアに下りる)は、年を老いても迫力あるなと実感した。


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マイクロソフトブース

家電見本市だけあって、一番の目玉はテレビ。ソニー、パナソニック、日立、サムソン、LGなど大手メーカーが華々しく展示をしていた。技術的には薄型テレビの大画面化が進み、HighDefinition 3Dを前面に押し出していた。大画面でみる3D映像は迫力あり、映画好きには浸透する可能性がある。また、ウイジェット(Widget)により、ニュース、天気予報などリモコンからインターネットコンテンツが簡単に見られた。

Panasonicでは、「VIERA CAST」で「Amazon.com」との連携で4万本ものコンテンツをオンデマンドで視聴できるようになったことを発表 するなど、どの企業もインターネットとの融合が具現化していることを体感させてくれた。日本では「アクトビラ」がポータル的存在で各社を集めているが、米国では各社がコンテンツ・ホルダーと提携している。


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パナソニック・ブース

また、もうひとつのトピックスとしては「ネットブック」。意味合いとしては「Net(インターネット)に接続するだけのノートパソコンだ。価格携帯としても$300程度とコモディティ化されている。インテルのGraig Barrett氏の基調講演でも紹介されていた「Small Things Challenge 」の映像で新興国の子供達が利用しているネットブックは印象深かった。クラウドコンピューティングが進むにつれネットブックはもっと広がる可能性があるのではないかと思う。

これまでエンタープライズ分野を中心に見てきた自分にとっては、このコンシュマーの祭典は、来場者も出展者も毛色が違いかなり戸惑いを感じたが、IT技術がダイレクトに消費者目線で見られるという意味で新鮮な感じを受けた。

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しかしながら、やっぱり「ぐっ」とくるのは華やかな大きなブースというよりも、一コマブースで頑張っているベンチャー企業たち。熱い思いで自分達のテクノロジーを語るその必死さが好き。サンズ・エキスポにあった「INNOVATIONS WORLD」では、ユニークな技術を発表する一コマの小さなブースが終結していた。


またCNET主催で来場者の投票で決まる今年の「Best of CES」は、スマートフォンの「Palm Pre」が受賞

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Best of CESを受賞したPalm社

特徴としては各種ネットサービスとの連携が可能で、同一人物とのテキストやIMなどのやり取りをチャット形式でまとめて見れたり、友達リ ストの誰がオンラインな状態なのかが直ぐにわかる。また、OutLookやFacebook、Googleのアドレス帳で重複している場合には、自動的に ひとつだけ表示するとか、複数のアカウントにある同一の連絡先にも反映される。米キャリアのスプリントも今年中に販売するとのことで爆発的人気の「iPhone」との勝負の行方が楽しみでもある。(CNBCでのデモ映像はこちらから


個人的にインパクトがあったのは、ネットワーク大手ベンダーのシスコシステムズ社のこの発表。

「コミュニケーションとエンターテイメントの経験を生かした新しいコンシュマー技術」

をアナウンスした。(あのシスコがコンシュマー?と少し違和感を感じたが、買収したビデオ・カンファレンスのWebEXやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のFiveAcrossの技術がものになってきたのだなと推測している。)

特にEos(Entertainment Operating System) は興味深い。SNS、コンテンツ管理、サイト管理などの機能を搭載したメディア・エンターテイメント企業向けのソフトウェア・プラットフォーム。これにより企業はオンライン・コミュニティを簡単に構築できるようになり、メディア企業はアーティストや映画、テレビ番組など、企業側がプロモーションしたいブランドとファンを結びつけることができる。

既にワーナー・ミュージックは、このEoSを利用して手始めにアーティストのLaura Izibor 氏やSean Paul 氏のSNSサイトを構築している。もちろんこのコミュニティに登録している人たちは、そのアーティストのファンな訳で、マーケッター側からすると特定の対象者にオンライン広告を打つことができるだけではなく、フィードバックをもらえる場として活用することができマーケティング効果は抜群。

一方的に片方向に万人に受ける広告を出すより、ピンポイントでコアな情報を出し、かつそれが口コミにより広がり(いわゆるバイラル・マーケティング)マーケティングの効率化が進行していることが容易に想像できる。

このようにオンライン・コミュニティを構築する側の敷居がさがってくるとインターネット上にコミュニティが散乱し、より一層CGM(Consumer Generated Media)に拍車がかかることは間違いないだろう。