現在基本的に自身はテレワークをしている
そして4月初旬に本社に出社した際、会社の山好きなT氏とGWはどこへいく?
などといつもの会話をしていたのだが
「裏銀座、双六でも行こうかな・・・」と言ったところ
「じゃあ、俺も一緒に行くよ」と、なってしまった
まあこのT氏は、気心は知れているし、基本的にめちゃめちゃ良い人で、山では頼りになる人であるから快諾をした
しかしその時、一抹の不安は感じていた
そして元々は2泊3日テン泊で計画を立てたのだが、どう見ても二日目の夜から本降りの雨になる事はほぼ確定的であったため1泊2日のテン泊に短縮をした
このような計画短縮もあり、山行日が近づいてくると抱えていた不安は徐々に大きくなっていった
その不安の最大の要因は、このT氏の素性である
ヤマレコなどで自動的に出る夏道コースタイムとの比較値が、雪山でも0.3~0.4で歩く人である
昨年9月にこのT氏は、5:00沢渡駐車場発で前穂高を登り、13:00には沢渡駐車場に戻ってきたり、今年の2月には霞沢岳に午前中に登り、昼頃河童橋で自身と合流をするなど、とんでもない速さで登山をするほぼバケモンである
こういったT氏と一緒に登るとどうなるか・・・
これが大きな不安の要因である
さて、それでは実際の山行話に移ろう
・先ずは新穂高登山者向け無料駐車場をスタートする
・そして登山ゲートをくぐる
・4月下旬となった当日は、わさび平小山までほぼ雪は無い
しかし、デブリ以外に倒木などが道を塞いでおり歩きにくい
・そして先ずはわさび平小屋に到着
・この先ではいくつかのデブリに出くわし乗り越えていく
・そして、小池新道分岐あたりから雪道となり、アイゼンを着ける
・このあたりから、T氏との速度差を否応なく感じ始める
向こうは、遠慮をしこちらに合わせようとしているが、根本的に身長、体力、歩幅、歩行速度、全てにおいて小さくない差がありお互いに自分のペースで歩けない
そのため「もう先に行っていいよ・・・」と申し入れるが、この道中は電波が届かず携帯が使えないため、「合わせるから良いよ」と言う
結果的に、T氏が先行し遥か先で待っており、自身はそこまで急いで向かいT氏に近づくと、T氏は歩き始める
そのため、こちらは休む間もなくまたT氏を追いかける
また、大分先でT氏は自身を待ち、到着をするとまた歩き出す
これを繰り返していくと、結果的に自身は自分の通常のペースより大分早い速度で歩くことになり、T氏に追いつくとT氏はまた歩き始めるため、全く休む間が無い状態で歩き続けることになる
その結果、通常より大分早いペースで6時間ほど休みなく歩く羽目になる
小池新道は急登では無いが見た目より意外に斜度がありボディブローの様に堪える登山路である
更にこの時期はデブリ超え、そして数カ所雪が無い岩道を超えたり、枝道を掻き分けたりと、これを通過するだけで体力を結構消耗する
この様な登山路を自分の通常より早いペースで6時間休まず歩いて行った結果、突如足が動かなくなってしまった
自身はこの数十年ソロでしか登山をしていない
と言うのも、歩行ペースは人それぞれで、疲れ、休憩などの度合いも人それぞれであるからソロの方が他者の気を使わなくてもいいため楽であるからである
ソロの場合、急斜面や、疲れが気になるようであれば、歩幅を小さくし、呼吸の乱れを整え、心拍数も抑えながら歩行を続け、基本的に止まらない様に自身のペースで歩行を続ければ良い
また、早いパートナーが先行し待たせると、こちらは地図を見る事もできず、地形が全く分からないまま、パートナーのトレースをただ無心に辿るだけとなる
やはり、地形が分からないまま歩くと、心理的にも事前に気構える事もできず、全てに於いて疲労が堆積し続ける事になる
そして、特に自身には予期していない突然のトラバースに於いても先行者は地図、地形を見、覚悟を持って自身のペースでトラバース歩行ができるが、後続者は心理的に「待たせない様に・・・」と感じながら追従をする事となる
しかし、こういったトラバースは20kgを超えるザックを背負っている状態で滑ると止まらず一気に下まで滑り落ちる事になり非常に危険である
そのため、故意にでもゆっくり慎重に歩行をする事としている
そして、今まであまり経験をしたことのない疲労感に包まれ、脚が思うように動かなくなり、次第に休憩時間が増えていく
その結果、早めに切り出さなければならないと考え、
T氏にこの状態ではとても今日の明るいうちには双六小屋には到達できないと申し入れ、残念だが今回は鏡平をゴールとしここでテン泊をし下山をする事にした
それまで、先行するT氏を追いかける事ばかりを考え、周りの景色など眼中になかった
そして双六をあきらめ、鏡平をゴールとしたため、少し余裕も生まれ、景色にも目をやる事が出来るようになる
それまでT氏のトレースを見続けていたが、見上げれば向こうに槍が見える
そして鏡平に到着をし、本日の歩行を終了させる
テント設営場所は尾根っぽい上で目の前に槍、穂高が見渡せる最高の場所であった
・鏡平小屋は雪の中に埋まっている
・笠ヶ岳方面
・槍はずうっと見続けられる魅力がある
・穂高連峰も同じである・・・
・そして同じ槍、穂高でも時間によりその風貌は変化をして行く
そして、歩行時は辛かったT氏との山行であるが、一緒に来てよかったと感じられるのがテン泊時である
普段のソロなら、夕食を日がかげる前に摂り、直ぐに寝てしまうが、複数で来るとくだらない話で盛り上がり意外に話し込み、夜が更けるのが早い
・2日目
・弓折岳
東斜面に朝日が当たりはじめる
・そして下山
早朝、テント場から下山をするため下山路は雪が締まっておりアイゼンがしっかり効く
しかし、ガタガタの状態で凍っているため歩行はし辛い
時折、枝道を掻き分け、岩肌の露出する岩道を乗り越えていく
これが本当に疲れる要因になる
小池新道を過ぎ、わさび平を過ぎれば普通の道となる
しかし、下山路も行きと同じくT氏を追いかけながら休みのない歩行のため、次第に指先に痛みが出始めていた
そして無事に帰ってきた
このあと、二人で温泉に浸かり、T氏は帰宅、そして自身は予約をしてあるホテルへ向かう
・最後に
今回、元々の計画であった双六岳山行2泊3日は、天気の都合で1泊2日に変更された
こういった場合、脚力に衰えが出ている自身の対応策は、スタート時間を早める方法を取るが、今回T氏の自宅から現地駐車場までの時間を考慮し、T氏の希望出発時間とした
そして、自身の不甲斐ない体力のため、T氏についていけず、歩けなくなる有様であった
さて、どうしたものか
この雪山山行リベンジを来年に持ち越すのか
仕方ないよな
と、帰宅の道中、見える山々を見ながら「ああ、あの山はまだ雪をかぶっているな・・・」などとつぶやきながら長野道、中央道を走らせ帰宅をする
そして本日、5月下旬の某日に宿を予約し、再トライをする事とした
今度も現在のところ2泊3日の計画である
まあ、天気次第ではあるが・・・