病院で初めて泣いた話 | ハタチで甲状腺癌になりました☺︎

ハタチで甲状腺癌になりました☺︎

ハタチで甲状腺乳頭ガン+リンパ節転移が見つかり、首には大きなチャームポイントができました☺︎ガンも傷も全部含めてこれが私!病気なんかに負けず笑って笑ってたくさん笑って、おばあちゃんになるまで生きていきたいと思います✌︎




今回はお仕事の話です。長いです。



先週のある日
「今日が山場」と先輩方が言っていた
患者さんを受け持ちました。
いつもは4〜6人の受け持ちが
その日はたった1人だけになりました。



脈拍も体内の酸素濃度も
通常の人よりかなり下がっている状態。
酸素マスクで10ℓ以上の空気を送って。




正直、受け持つのがこわかった。
ベテランの先輩に半泣きで
「こういうとき家族や本人のために
   どういう声かけをしたらいいですか?」
って聞いたくらい。



でも、もしそのときがきたとき、
絶対に後悔したくなかった。
そして家族にも、後悔してほしくなかった。



結局、私なりに考えて
手浴と洗髪をやることにしました。
家族にも声をかけたら
次女さんが協力してくれると!



拘縮してしまった指をマッサージしながら
次女さんが優しく手を洗って
そのあと看護師2人がかりで洗髪して
次女さんにドライヤーしてもらって。



そしたら洗髪のときに酸素濃度の値が
ウソみたいに上がってきて!!



「美容院大好きだったから」
って娘さんと息子さんに言われて納得。



酸素マスクが外せない状態だったから
迷ったけどやってよかったなぁと。




そして状態を少し良くしたまま
夜勤に引き渡すことになりました。



挨拶をしたときほんの少し発声があって
「わがままできまぐれだから
   気に入らない人は寝たふりしたりするの。
   きっと信頼してるんですね!」
って娘さんたちに言われて、嬉しかった!



あの発声は私への返事じゃないかも
しれなかったけど、
自意識過剰かもしれないけど、
とりあえずそう思っとくことにしよう!笑



そして次の日は夜勤での受け持ちでした。



状態は1日で徐々に下がっていました。



夜勤帯に入ってすぐ
心停止になっては数秒で戻り…
を繰り返し、合計12回??



孫が来るまではなんとか!!
という家族の思いがあって
心停止するたびに
「お母さん!!」とみんなで呼び戻し
それに応える患者さんの心臓も強かった。



もう1時間もたないのでは?
という状況の中でなんとかお孫さんも
みんなそろって。



そしたら不思議なことってあるもので
みんな揃ったら心停止することがなくなり
(かなり危険な心電図波形はあったものの)
そしてお孫さんが帰ろうとすると
また心停止になったりして。



お孫さんがせっかく揃ってるし
ご存命のうちにもう一回会えるか
保証はできないなぁと思い
私は手足の清拭をお孫さんに提案して
一緒に行いました。



おそるおそる患者さんの手足に触れる
その手は優しくて、とても丁寧で、
きっと喜んでくれてるだろうなぁって
私は勝手に感じていました。



わたしとお孫さんの年が近かったので
そんな話でも盛り上がって
あったかい笑顔に包まれた時間でした。



お孫さんは静かにこっそり部屋を出て
長男さん長女さん次女さんは
部屋から離れず一夜が明けていきました。



夜中になって心停止もなくなり
むしろ心なしか少し安定してきて



そんな状態でその日の夜勤を終えました。
長女さんに
「母を大切にしてくれてありがとう」
と言っていただけたのがうれしかった。





しかし
その次の日の夕方
患者さんは亡くなったそうです。




私は残念ながらお休みでした。



でも病院からの出棺が翌日だったので
そこには参加することができました。



酸素マスクも点滴も心電図も尿カテも
すべてはずれて
苦しみから解放された綺麗なお顔でした。



最期の最期までほんとうによくがんばって
だからきっとご家族のみなさんも
最期のときをたくさん一緒に過ごせて
後悔なく見送れたんじゃないかな
と思った。(そう思いたかった。)



献花をして。
お見送りをして。




そしたらそのあと長女さんが
私のところに笑顔で駆け寄ってきて

「いろいろとありがとうね〜!
   1番会いたかったと思うよ!
   私も勉強になりました。
   がんばってね〜〜!!」

と言ってくださったのです。
(ちなみに現役看護師さんなのです)



その瞬間
ずっとずっとこらえてた涙が
ダーーッとあふれてきてしまって…



看護師になって1年。



初めて病院で泣きました。



悲し涙と嬉し涙と、
どっちもかな?



泣いちゃだめだよーって
言ってきた先輩もいたけど
私は看護師の前に人間じゃ!!
こんなときくらい泣かせてくれ!!
別の患者さんの前に戻るときは
ちゃんと笑顔に戻るから!!



初日に半泣きで質問してから
一緒に洗髪手伝ってくれたり
夜勤も一緒でいろいろ助けてくださった
ベテランの先輩にも

「maさんがやれる範囲でのことは
   全部やりきったと思うし、
   それが家族にも伝わってたね。」

って言ってもらえて
また泣きそうになる私(笑)



高校生で大好きな祖母が亡くなった時も
冬に大好きな患者さんが
突然亡くなったと聞いた時も
もっとできることがあったんじゃないかと
後悔してて。それがすこし残ってて。



でも今回は、後悔が何もない。



私ではなくベテランの先輩だったら
もっともっと深い看護ができたのかも
しれないけど
私なりに一生懸命やりきった!



看護師になってよかったなぁと
こんなにも思えたことも、今までない。



そして私が本当にやりたい看護が
なんとなく見えた気がする数日間だった。



患者さんが天国のどこかで
苦しみなく過ごせているといいなぁ。



娘さん息子さんお孫さんたちが
最期の思い出を大切にして
前を向いて生きていってくれるといいなぁ。



私なりの気持ちが
ほんの少しでも届いていてくれますように。