池井戸潤さんの『ルーズヴェルト・ゲーム』を読みました。

石丸さんが、TBS系日曜劇場『ルーズヴェルト・ゲーム』にご出演されることを知って読み始め、面白かったので、あっという間に読み終わりました。

※この先、本の内容について書いているので、あらすじ等を知りたくない方はパスしてくださいね。特に、石丸さんが演じる三上部長について書いているので注意してくださいね♪

表紙の帯に書かれていた言葉!
「一番おもしろい試合は、8対7だ」野球を愛したルーズヴェルト大統領は、そう語った。
監督に見捨てられ、主力選手をも失ったかつての名門、青島製作所野球部。
創部以来の危機に、野球部長の三上が招いたのは、挫折を経験したひとりの男だった。
一方、社長に抜擢されて間もない細川は、折しもの不況に立ち向かうため、聖域なきリストラを命じる。
廃部か存続か。繁栄か衰退か。人生を賭した男達の戦いがここに始まる。



中堅精密機器メーカー・青島製作所が不況の波に飲み込まれ倒産寸前に・・・。
同業他社のライバル会社・ミツワ電器が、青島製作所の技術開発力を得るために合併を提案してきたりして・・・必死に会社を立て直そうと奮闘する細川社長と新製品開発部の人々の姿が描かれていました。

それと平行して、会社と同じく、廃部に追い込まれそうになっている社会人野球部に新監督を招き、野球部の立て直し、存続に奮闘する様子も同時進行して描かれており、先の展開が知りたくて一気に読み終わりました。

魅力的な登場人物が多くて、それぞれに感情移入できました。

個人的に、私もプロスポーツの世界で事務スタッフとして働いていたこともあり、運営が大変なことを知っているので、その点も理解しやすい内容でした。(私の場合は野球ではなくサッカーで、プロでスポンサーがついているトップのJリーグに所属していたクラブチームでしたが、それでも運営や維持費がかかって大変なことは知っていますし、中堅の会社が社会人スポーツの存続を維持していくのは相当大変なことだろうな~と・・・想像しながら読みました。)

そして、気になっていた三上部長♪
石丸さんの演じる三上部長ですが、予想していた以上に重要な役割を担う登場人物でした。

三上部長が総務部長になったのは5年前。現会長の青島が社長だった時、青島の指名で野球部長を兼任しましたが、三上部長は学生時代を通じて、野球は見たことがあってもやったことのない素人。(マネージャーさんのツイにあった部長だから野球はしませんというのは、こういうことなんだ♪と納得!ベンチでも三上部長はスーツ姿♪と記述があったので、ユニフォーム姿は見られない予感。ちょっと残念!)

野球素人なのですが、三上部長は生真面目だけど熱血な方♪
業績が芳しくない中、役員会などで野球部の存在そのものが問われるわけですが・・・野球部を任された以上、存続と成長のためにベストを尽くす!これが三上部長の論理♪
野球素人で、よくここまで・・・というほどの涙ぐましい奮闘ぶりを見せていました。

大変なのは、総務部長でもあること!
細川社長が打ち出したコストダウン計画に、人員整理・・・いわゆるリストラが盛り込まれ、半端ない数の社員をリストラすることに・・・。そこで、各部門からリストアップされたリストラ対象者に対し、解雇を言い渡すのが三上部長のお仕事(><)三上部長自身も「辛い仕事」「嫌な役目」と思いながら仕事をしていて、読んでいて、こちらの胃もキリキリしてきそうなくらい大変な仕事内容でした。(きっと同じ立場で、同じようなお仕事をされている方から共感されるだろうな~と思いました。)

野球部も難問を抱え、人員整理やリストラ関係事務で、抱えきれないくらいの仕事を抱えて、多忙を極めている三上部長でしたが、常に前向きな姿勢が感じられました。

三上部長が男らしいと思ったのは、言わなければならない時は、年上の上司にもちゃんとそのことを伝え、解雇に関しても、伝えなきゃいけないことはちゃんと伝えていたこと!当たり前のことのようで、これはなかなか難しいことだと思います。

仕事もできて、人の気持ちも大切にできる人格の優れている人間で、青島会長といった上からの信頼も厚く、古賀マネージャーといった下からも尊敬されている人物でもありました♪

本の内容とドラマの内容が同じなのかどうか?わかりませんが、私的に三上部長が登場していて好きだった場面が2つあり・・・。
ひとつは、三上部長が青島会長に逢いに行く場面。ここまで書きながら、敢えて、具体的な内容を記すのはやめておきますが・・・。
三上部長がある重大な決断をし、それを伝えるために青島会長に逢いに行く場面があるんです。
その決断に対し、会長から三上部長に対し労いの言葉があって・・・この場面で感動して泣きました。
青島会長が、これまた人としての器の大きな方で・・・会長が大切にしてきた野球部に対しての想いとか・・・色々と感じる場面でもありました。(涙)

もうひとつは、古賀マネージャーとの場面。
古賀マネージャーは、怪我をした時、三上部長にマネージャーを勧めてもらい・・・窮地を救ってもらったこともあり、三上部長のことを恩人と思っている人でもあるのですが・・・。
古賀マネージャーも男気があって、いい人なんです♪
2人の会話の中に、感動した言葉がありました。
古賀マネージャーの言葉で・・・「野球人であるまえに社会人なんです」
その後に続く、「与えられた機会に全力を尽くすしかない。そうすることでしか、自分の存在価値を見出す事ができません。」この言葉が胸に響きました♪この後にも感動的な言葉が続きますが、それを書いてしまうと、ストーリーの展開が見えてきてしまうと思うので、この続きも敢えて書かないようにします。

そうそう、三上部長のお人柄が垣間見られる強く印象に残った言葉がありました。
「社員はモノじゃない。人間なんですよ。家族を背負って生きているんです。人員整理は簡単な話ではありません。」
銀行屋に対しての言葉なんですけどね。三上部長は必死な想いでリストラしているのに、まだ生ぬるいリストラ計画だと言い放った銀行担当者に向かって言った言葉です。
半沢で、メガバンクの支店長として企業に融資する立場だった浅野支店長と逆転の立場ってカンジですけど・・・。
池井戸さんは、働いている人間が家庭を大切にし、家族を想いながら働いている・・・ということを大切に描いている方なので、この言葉は、池井戸さんの想いも表れているし、三上部長の人柄も表わしていて、感銘を受けた言葉でした。
ドラマで、この場面があるかどうか?わかりませんが、この言葉は石丸さんの言葉で台詞として是非聞いてみたいと思いました。

他にも、池井戸さんらしいな~と思った言葉がたくさんありました。
特に感動したのは、「株主を大事にしない会社は滅びる。青島製作所は株主を大事にしてきましたか?」という言葉。これも、どういう場面で誰が話した言葉なのか?はネタバレしないようにします。

試合を観戦して応援するように、青島製作所の社員ひとりひとりを応援したくなるようなストーリーでした。
最後も、スッキリとした終わり方でした♪

ドラマでは、この魅力的な登場人物を、超豪華で実力派俳優のみなさんが演じることになるので、期待は大です。

石丸さんが演じる三上部長は、ただ良い人というカンジではなく、葛藤する役なので、どんな石丸さんを観ることができるのか?今から楽しみです♪

読み終わって、早くドラマが見たくなりました♪