ブリヂストン美術館で開催されていた展覧会「ドビュッシー、音楽と美術ー印象派と象徴派のあいだで」展の感想です。(会期は終了しています。)
ドビュッシーが生きた19世紀半ばから20世紀初頭は、音楽と美術をはじめ、文学、舞台芸術といったさまざまな芸術が、互いに親密な関係にあった時代だったそうです。
ドビュッシーは、「音楽と同じくらい絵が好き」と語っていたそうで、多くの画家とも交流があり、その画家の作品に影響を受けながら曲を作っていた作曲家でもあったそうです。
展覧会には、ドビュッシーと同じ時代を生きた画家やドビュッシーに影響を与えた芸術家、印象主義系のマネ、モネ、ドガ、ルノワール、ヴュイヤール、カイユボット・・・。モーリス・ドニ、カリエール、ルドン、ロセッティ、バーン=ジョーンズ・・・の作品が展示されていました。
印象に残った作品は・・・。
ピエール=オーギュスト・ルノワール「ピアノに向かうイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロール」
この展覧会のポスターにもなっている作品です。思っていたより大きい作品でした。
ピアノの発展は、ピアノを愛好する人たちが増えただけでなく、富裕な市民階層において、ピアノがその身分を象徴する指標機能をもったことと関連しているそうです。
ドビュッシーが生きていた時代、上層階級はこぞって文芸サロンを開き、文化人や音楽家を招いて、芸術講義に花を咲かせていたそうです。
そんな時代を象徴している作品なのだと思います。
カミーユ・クローデル「ワルツ」
素晴らしい作品でした♪
昨年、ミュージカル『GOLD ~カミーユとロダン~』を観劇した方にとっては、感動の作品だったと思います。ロダンとカミーユの作品が展示されている中に、ドビュッシーが生涯大切にしていたというカミーユの最高傑作といわれる「ワルツ」が展示されていました。
エドゥアール・マネ「浜辺にて」
三菱一号館美術館で開催された『マネとモダン・パリ展』でも鑑賞することの出来た作品です。
読書をしている女性は、マネの奥さんのシュザンヌ。右で、海を眺めている男性は、マネの弟でモリゾと結婚したウジェーヌなんだそうです。
海の鮮やかな青い色彩の中に、ウジェーヌの身に着けている帽子や服のダークカラーが作品を引き締めていて、とても好きな作品です♪
モーリス・ドニ 「ミューズたち」
ドビュッシーと特に親交が深かったといわれている、モーリス・ドニの作品が多く展示されていました。
昨年、損保ジャパン東郷青児美術館で開催された『モーリス・ドニ展』を鑑賞してから、ドニの作品にどんどん魅かれるようになっていたので、たくさんの作品を鑑賞できて嬉しかったです。
ドニの挿絵入りの楽譜も展示されていました♪
そうそう、今「AERA」の表紙を飾っている、「ジョジョの奇妙な冒険」の作者・漫画家の荒木飛呂彦さんも、ドニがとってもお好きなんだそうで、昨年『日曜美術館』に出演された時、ドニの色使いについて大絶賛されていたことがありました♪(荒木先生は、海外の美術館にも足を運ぶほど西洋美術にお詳しい方です。ジョジョに描かれている独特のポージングや、顔立ちもギリシャ神話を思わせる端正な顔立ちが印象的なんですけど・・・。それは、ジャン・ ロレンツォ・ベルニーニの彫刻に影響されていらっしゃるそうです。仕事場のデスクの上には、彫刻作品の図録を置いていらっしゃるとか・・・。荒木先生は喋りも楽しいので、是非また『日曜美術館』に出演して欲しいと思っています。今、発売されている「AERA」でも、人間が一番♪というとても良いことを語っています♪今日、立ち読みしてきたばかり!(笑))
一ヶ月くらい前になりますが、大好きなバレエダンサーの首藤康之さんが、この展覧会に関連するトークショーも行いました。実は、そのトークショーにも参加しました♪首藤さんは、ニジンスキー振付の『牧神の午後』で踊ったこともある方なので、そのことに関連したお話をされていました。(「牧神の午後への前奏曲」は、ドビュッシーが、詩人・マラルメへのオマージュとして作曲した曲です♪)
今週末、KAAT神奈川芸術劇場で開催される「DEDICATED」に、首藤康之さんと中村恩恵さんが出演されて、その時、ニジンスキーの「牧神の午後」に関連した未公開映像も上映されるようです。
http://www.kaat.jp/pf/dedicated-image.html
ドビュッシーの創作には、音楽以外にも美術、文学、舞台芸術など・・・多くのジャンルの芸術家たちからも影響を受けていたことがわかる展覧会でした。
ドビュッシーの音楽が流れる中、優雅な気持ちで鑑賞することができ、とても心地の良い展覧会でした♪