昨日のNHK『プロフェッショナル』で、困窮者支援のエキスパート・奥田知志さんの特集が放送されていました。


実は、このブログに『プロフェッショナル』の記事を最初に書いた時の特集が、奥田さんだったんですよ・・・。もう3年前の記事になります。ホームレスの方に寄り添う奥田さんの姿勢に、とても感動した放送でした。

その時のブログは、こちら です。


昨日の番組内の奥田さんにも感動しました。


震災直後から1年にわたって、被災者の支援を続けてきた奥田さんに密着した内容でした。


震災から三週間後に、宮城県入りした奥田さん。

そこで出会ったのは、カキ養殖を営んでいたご夫婦。道具も船も、すべて津波に流されてしまったという厳しい状況の中にいました。


ここで感動のエピソードが・・・。

このご夫婦宛に届いた支援物資・・・顔も名前も知らない大分県に住む方からの支援物資の中に、絵手紙が入っていたそうです。

書かれていたのは、“生きていれば、きっと笑える時がくる”という言葉でした。紫色の花も描かれていました。

この手紙を家族で泣きながら読んだそうです。(涙)心の支えにしていると仰っていました。


奥田さんが、とてもかける言葉がない・・・と仰りながらも、支援物資の中に入っていた絵手紙について、こんなお話をされていました。

人間って、どこで生きていくのかなっていう・・・。

送ってくださった物資の何倍にも意味がある手紙だったんだろうな・・・。

人が生きるっていうのは、やっぱり食べていかないといけないけれど、食べられたら生きていけるのかっていう・・・。

あの手紙の重さは、3月11日以前の重さと、3月11日以降の重さでは全然違う・・・。

この手紙の重さの意味の違いを、今後の日本社会が本当にくみ取れるかが勝負なんじゃないかな・・・と仰っていました。


支援についても、とてもためになる事をお話されていました。


日本中が、東北を支えよう!絆を結ぼうと言っているけれど、かわいそうな人をゆとりのある人たちが一方的に助けていくっていうような、一方通行の絆っていうのは危ないと思うんです。

絆っていうのは、本来は、支えたり支えられたりっていう相互性をもたないと・・・。

支えられっぱなしというのは、(支えてもらっている人にとって)ありがたいけど重いし、辛くなるということをお話されていました。


最後に紹介されていたのは、放射能汚染が長期化している影響で、福島から九州に避難してきた家族でした。

母子家庭で、高校生のお兄ちゃんと小学生の妹さんがいる3人家族の家庭でした。

奥田さんが、高校生のお兄ちゃん・武明君をホームレスの炊き出しに誘っていました。

その日、奥田さんは、炊き出しの後も、武明君と一緒に、路上生活しているホームレスの方達に声をかけてまわっていました。

その意図は、武明君に伝えたいことがあったから・・・。

世界は広くて、色んな人がいる・・・。苦労も色々とある。

福島の苦労・・・。福島の悲しみ・・・もあるけれど、また全然違う悲しみをもって生きている人たちがいるということを知って欲しかったそうです。

ほんの少しの出会いだったかもしれないけれど、武明君の存在意義みたいなものを何か考えてもらえたら・・・と仰っていました。


最後に、武明君が、被災者のみなさんや九州に住む人達の前でピアノを弾いていました。弾いていた曲は、ショパンの革命♪素晴らしくって感動しました。音大を目指して、ずっと練習してきていたそうです。それが、震災の影響で、練習も困難な状況に・・・。進路で迷いだした・・・と話していたけれど、希望通り音大に入れることを祈っています。地震の影響で、大切な夢まで奪われることがあってはならないと思います。頑張って欲しいな~。


以前のブログにも書いたけれど、奥田さんは、まさに忘己利他の人・・・素晴らしい方だと思います。


先ほど、『プロフェッショナル』のHPを見たら、番組で放送されなかった流儀が書かれていました。

「絆は傷を含む」という流儀です。

興味のある方がいたら、公式HPへどうぞ。

http://www.nhk.or.jp/professional/2012/0416/index.html