1月31日の日経新聞(夕刊)に、「スポーツ選手・監督の本がヒット! 自己管理の技・仕事の糧に!」という記事が載っていました。


その記事の中で紹介されていた本は、サッカー日本代表キャプテン・長谷部誠さんの「心を整える」、中日ドラゴンズを4度のリーグ優勝に導いた、落合博満さんの「采配」、なでしこジャパンのキャプテン・澤穂希さんの「夢をかなえる」、サッカー日本代表・内田篤人さんの「僕は自分が見たことしか信じない」の4冊でした。いずれの本もベストセラーとなっています。


記事の中で興味深いと思ったのが、サッカーでは選手の本が、野球では監督の本がよく読まれる傾向にあるということ!

このことに関して、「サッカー選手は、各選手が自分の持ち場で役割分担をする競技で、プロジェクト色が強い。現在の組織に似ており、選手の意識も企業で働くビジネスマンに近いものがある。一方、野球はチームプレーにみえるが、選手の意識は、対打者、対投手の『一騎打ち』。マネジメントを考えているのは監督だ!」というスポーツジャーナリストの玉木正之氏の言葉が載っていました。


また、メールマガジン「ビジネスブックマラソン」を発行するビジネス書評家の土井英司氏の「グローバルな環境で働くビジネスマンが、世界と戦うアスリートに自分を重ねている」という言葉も載っていました。


実力本位のスポーツ界では、選手はチームに所属しながらも、強い個人主義を心に秘めている。チームを渡り歩きながらキャリアを積んでいくアスリートの姿は、終身雇用が当たり前ではなくなりつつある時代のキャリア形成にも通じる。

経営学者のドラッカーは「知識労働者は自らをマネジメントしなければ成果をあげることはできない」と説いた。自己の技法をアスリートに学ぼうという機運は、現代の空気と密接に結びついているようだ・・・という記事でした。



私が記事の中で読んだことのある本は、長谷部誠選手の「心を整える」だけなのですが・・・。この本、とても良い本でした♪どうして、もっと早く読まなかったんだろう・・・と後悔しました。


Going my way ~どこまでも続く道~-心を整える♪


キーワードは、「心」。長谷部選手が大切にしている「心」をテーマに書かれた本です。長谷部選手にとって、「心」は、車で言うところの「エンジン」、ピアノで言うところの「弦」、テニスで言うところの「ガット」なんだそうで、「メンタルを強くする」というより、「調整する」、「調律する」と言った感覚なんだそうです。車のエンジンに油をさし、ピアノを調律する、テニスのガットを調整する・・・長谷部選手は「心」に対し、そんな感覚を持っていらっしゃるそうです。それが、本のタイトル、「心を整える」勝利をたどり寄せるための56の習慣に繋がっています。

本の中に、長谷部選手が影響を受けた音楽や本、言葉なども紹介されています。

私が印象に残った章について、少しだけ紹介しておきます。


★運とは口説くもの!

長谷部選手は、取材などで「運がいいですね」とよく言われるそうです。

「いいですね」と言われれば、「いいです」と答えるけれど、しっくりとこないそうです。

それは、「経営の神様」、松下幸之助さんが言うように、運というのは、自分が何か行動を起こさないと来ないものだと思っているからだそうです。

がむしゃらに頑張っても運が来るとは限らない。

普段からやるべきことに取り組み、万全の準備をしていれば、運がめぐってきたときに掴むことができる。多分、運は誰にでもやってきていて、それを活かせるか、活かせないかは、それぞれの問題なのだと思う。(略)結果が悪かったときには、「運」を味方につける努力が足りなかったのだと思っている。


そして、代理人のロベルト佃さんから教えてもらったという・・・アルゼンチンのことわざが紹介されていました。

「スペイン語で運(la suerte)は、女性名詞。だから、アルゼンチンの人たちは『運を女性のように口説きなさい』と言うんだ。何も努力しないで振り向いてくれる女性なんていないだろう?それと同じで、運もこちらが必死に口説こうとしないと振り向いてくれないんだ」

このユーモアがあって、堅苦しくないアルゼンチンのことわざを長谷部選手は一発で好きになったそうです!

運を口説くことに関しては、とことんうまくなりたいと思っている。これからも、あの手、この手で運の女神を振り向かせたい・・・という章が、とても印象に残りました♪


長谷部誠選手の「心を整える」。私からも、お薦めの1冊です。