先日、畠山記念館で鑑賞してきた『酒井抱一 ―琳派の華―』の感想です。
出光美術館で開催されている『酒井抱一生誕250年 琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派―』も良かったけれど、こちらも良かったですよ♪
私は、今回初めて畠山記念館に行ったのですが・・・。畠山記念館は、美術館の周りに庭園や茶室があり、館内もとても落ち着いた雰囲気でした。靴を脱いでスリッパに履き替えて、展示室のある2階へ・・・。展示室の一角には日本庭園の雰囲気を漂わせるような場所がありました。(鹿威しがあったんですよ!水が流れていないので、動いていませんでしたけど・・・。私は、鹿威しの音を聴きながら、鑑賞してみかったかも・・・。(笑))
肝心な展覧会の内容についてですが、酒井抱一生誕250年ということで、畠山記念館が所蔵する抱一作品が一挙公開されていました。酒井抱一の作品だけでなく、尾形光琳や鈴木其一の作品もありました。私は、展覧会に行くまで知らなかったのですが、前期・後期に分かれていたようで、私が観ることができたのは、後期の作品でした。
印象に残った作品は・・・。
「風神雷神図」
風にのって疾走する風神と雷鳴を轟かせる雷神を描いた、琳派では代表的な作品。
出光美術館に展示されていた作品は、屏風に描かれた「風神雷神図」ですが、こちらは、掛け軸に描かれた「風神雷神図」です。
二幅対の掛け軸に、風神と雷神の位置を上下に離して描き、縦長の画面を効果的に使用して表現されていました。
吹き下ろす風と舞い上がる風、左右両神の視線が見事に呼応していました。出光美術館に展示されていた抱一の「風神雷神図」も、左右両神の視線が呼応しそうな雰囲気を感じました。
風が吹き、両神が今にも動き出しそうな躍動感が感じられました。威圧感は感じられず、明るい雰囲気の作品でした。
そして、「十二ヶ月花鳥図」。
十二図一組の作品群で、伝統的な十二ヶ月花鳥図は、鎌倉の歌人・藤原定家の各月を象徴する植物と鳥を和歌に詠んだ趣向に基づく図様の型をもちますが、抱一はこれをふまえつつも、江戸人の季節感覚をもりこみ、自ら選んだ花と鳥の組み合わせに変えているそうです。
前期に1~6月が展示されていたようですが、私が観れたのは、7~12月でした。
出光美術館に展示されていた「十二ヶ月花鳥図」も印象に残った作品。抱一の「十二ヶ月花鳥図」は色んなバージョンがあるそうですよ。
今回の展覧会で、特に印象に残ったのが12月の作品でした。竹・寒菊に鶺鴒が描かれている作品。竹の上に積もった雪が落ちる瞬間を描いたような作品で、雪の質感まで表現されていました。
その他、「光琳百図」が展示されており、印象に残りました。
「光琳百図」は、文化12年(1815年)6月2日に光琳百回忌に催された光琳遺墨展出品作品を中心として抱一が編集した光琳の作品集です。
その11年後に「光琳百図後編」を刊行したそうです。抱一が実際に見た光琳の作品の図録であり、抱一と光琳作品の関係を考えるうえで最も重要な資料なのだそうです。
右上の写真にある「風神雷神図」は、「光琳百図後編」の「二枚折金屏風一双風神雷神」を基に描いたといわれているそうで、基となった原画を観ることができました。
抱一が光琳を慕う気持ちがどれほど強かったのか・・・。光琳と抱一の作品を知れば知るほど、その思いは強くなります。
琳派について本を読んだり、展覧会にも足を運んでいますが、まだまだ私は琳派について知らないことが多く、今回の畠山記念館でも先日行った出光美術館の展覧会でも琳派の奥深さを知り勉強になりました。
作品の数は少なかったけれど、観覧料500円で、中身の濃い作品を鑑賞することができました。
雰囲気の良い美術館だったので、また別の展覧会の時も来てみたいと思いました。