先月、鑑賞してきた『マネとモダンパリ展』の感想です。

土曜日の夕方、鑑賞しに行ったのですが、人も少なくて、好きな絵の前で、ゆっくりと鑑賞できました♪


三菱一号館美術館の開館記念展にふさわしく、マネの有名な作品が沢山展示されていました。

私、マネの最後の大作となった『フォリー・ベルジェールの酒場』が好きなんです。残念ながら、今回の展覧会には出品されていませんでしたが、いつか観てみたい作品です。


Going my way ~どこまでも続く道~-マネ
                          『フォリー・ベルジェールの酒場』

マネは、パリの富裕なブルジョアの家庭に生まれて、なに不自由なく育ったそうです。マネの自由な発想は、こういった幼い頃の環境からきているのではないか?と美術館内で流れていた映像で紹介されていました。


マネが画家として活動を始めた1850年代は、ロマン主義を経て、新たなレアリスムのうねりの中で、バビルゾン派やコロー・クールぺらの近代絵画が革新を遂げようとしていた時期でした。

そんな時期に、レアリスムを基調に、ベラスケスなど過去の巨匠たちの作品を研究・引用し、新しい印象派の技法を援用してマネが実現した作品世界は、新しい近代の市民社会の現実を鏡のように映しこんだ斬新なものだったそうです。


マネの本質は変革にあり、政治の世界でフランス革命が行った「民主化」を、絵画の世界でそれもたった一人で行ったのが、マネだったそうです。


マネは、マネより少し若い印象派世代の画家、モネやルノワール・・・。そして、ポスト印象主義のセザンヌやゴーギャンといった、後の芸術家たちにも決定的な影響を与えた人でした。


今回の展覧会は、マネの芸術の全貌・・・。そして、当時のパリが都市として変貌していく様子と結びつけながら、マネの油彩、素描、版画、約80点が出品されていました。


第1章・スペイン趣味とレアリスム、第2章・親密さの中のマネ:家族と友人たち、第3章・マネとパリの生活と、3章に分けられていました。

印象に残った作品は・・・。


Going my way ~どこまでも続く道~-マネ

スペインを主題とした作品『ローラ・ド・ヴァランス』

フランス革命以後、19世紀のフランスでは、それまで知られていなかった独特のレアリスムに立脚したスペイン絵画が、若い芸術家たちの間で人気になったのだそうです。

また、ナポレオン3世の妃で、スペイン貴族出身のウジェニー・ド・モンティジョがもたらしたファッションなどから、スペインブームが巻き起こったのだそうです。

黒に、真っ赤なバラのついた衣装・・・。そして、レースのストールの質感が、とても繊細に描かれていました。

他にも、スペインに関連した作品は沢山、展示されていました。


Going my way ~どこまでも続く道~-マネ


『エミール・ゾラ』

マネは、シャルル・ボードレール、エミール・ゾラ、ステファヌ・マラルメといった多くの文学者たちと交流があり、作品の制作に多大な影響を及ぼしたそうです。

この作品、ゾラの背後に、二代目歌川国明による多色刷浮世絵木版画『大鳴門灘右ヱ門』や、琳派を思わせる屏風が描かれていて、マネが日本に関心があったこのがわかる作品です。

『カラスの頭部と犬の習作』という作品にも、漢字が書かれていました。意味は、全くわかりませんでした。(笑)ただ、漢字に惹かれていたんでしょうね・・・。


Going my way ~どこまでも続く道~-マネ

『すみれの花束をつけたベルト・モリゾ』

マネの弟ウジューヌと結婚したモリゾの画です。マネは、10点を超えるモリゾの作品を描いたそうです。

真っ直ぐと向けられた視線が印象的な作品でした。

すみれの花言葉は、「誠実」なのだそうです。そのすみれを胸につけたモリゾは、可憐で魅力的な女性に観えました。光の陰影が、整った顔を、より美しく引き立てているように観えました。


先月、三菱一号館美術館に行った時、少しだけ書きましたが、美術館の中庭がとっても素敵だったんです♪

下の写真は、館内から中庭を写したものです。


Going my way ~どこまでも続く道~-美術館


外観も館内もレトロな雰囲気で、落ち着くことのできる素敵な美術館だと思いました。

また、行ってみたい美術館です♪