先日、国立新美術館の「ルノワール-伝統と革新」展に行ってきました。


ルノワールの魅力を4つの章(ルノワールへの旅、身体表現、花と装飾画、ファッションとロココの伝統)に分けて展示されていました。


ボストン美術館やワシントン・ナショナル・ギャラリー、オルセー美術館・・・世界各地の美術館の所蔵品(風景画、静物画、装飾画、豊満な裸婦像・・・幅広い作品、約80点)が展覧されていました。(国内では、ポーラ美術館所蔵のものが多かった気がします。)


残念だったのは・・・。私が好きな『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)』は、今回展覧されていませんでした。(><)『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢』は、大阪では、展覧されるそうですよ♪


今回の展覧会で印象に残った作品・・・。

『アンリオ夫人』

Going my way ~どこまでも続く道~-ルノワール№1


ルノワールと親しくしていたオデオン座の舞台女優アンリエット・アンリオの肖像画です。

ルノワールのお気に入りのモデルの一人だったそうです。
アンリオを描いたルノワールの作品は、少なくとも11点はあるそうです。

この作品は、アンリオ夫人をモデルにした中でも最も有名な作品だといわれています。

肌は透明感があって繊細な感じ・・・。身にまとっているドレスの質感も印象的な作品でした。


『団扇を持つ若い女』

Going my way ~どこまでも続く道~-ルノワール№3


私が行った日、この絵の前が一番混雑していました♪(笑)

描かれているのは、当時人気絶頂の女優ジャンヌ・サマリー。1878年のパリ万国博覧会の開催により、ジャポニスムの人気で、日本の団扇や、日本の菊を思わせる花々が描かれていました。

ジャンヌ・サマリーの被っている帽子にまでブーケがついていて、華やかで、ルノワールらしい作品でした。


『縫い物をする若い女』


Going my way ~どこまでも続く道~-ルノワール№2

ヴァルジュモンに始めて滞在した際に描かれた作品。

日常のどこにでもある風景なのに、光が差し込んで、女性のバックには鮮やかに咲く花が描かれて、温かみを感じる作品でした。


印象派を代表する画家であり良き友人でもあった、モネの肖像画もありました。

私の好きなモネやシスレーとは、シャルル・グレールの画塾で知り合い、親しく親交があったようです。


ルノワールは画家として大成する前に、陶器の絵付け職人をしていた事があったそうです。

花と装飾画のコーナーに、薔薇など、花瓶に活けられた花の作品が沢山、展覧されていましたが・・・。

陶器の光沢や質感の描き方が素晴らしくて、触れたら冷たいんだろな・・・という感触まで伝わってくるような作品がありました。やはり、陶器の絵付け職人であった時代があるからこそ、このような描き方が出来るんだろうな・・・と思いました。

そして、花の質感・・・。薔薇は、まるで手に取れるかのように、丸みを帯びていて立体感がありました。

花と装飾画のコーナーの部屋の最後に展覧されていた『薔薇』は、特に素敵な作品だと思いました。

あんな素敵な絵を、私の部屋にも飾りたい♪

女性の肌の透明感も見事でしたが・・・。身にまとっている服の質感も、ふわふわした感じがよく表れていました。

ルノワールの父親は仕立て屋さんで、母親はお針子さんだったそうです。ルノワールが、巧みに衣装の質感を描けるのは、両親が服や衣装といったことに関連した仕事をされていたからではないか?ということが、展覧会の途中に書かれていました。

ルノワールは、帽子を被った少女を沢山描いた方で、今回も『レースの帽子の少女』が展覧されていましたが・・・。帽子についているフサフサした装飾品まで、繊細に描かれていました。


晩年に、リュウマチ性関節炎に苦しんだルノワールは、劇的なほど筆遣いが変化していったそうですが、痛みに耐えながらも最後まで精力的に作品制作は続けたそうです。筆遣いの変化は、作品を観ると、すぐにわかりました。まわりで鑑賞されていた方も、「さっきの絵と筆遣いが全然違う・・・。別人の絵みたいだ・・・。」という声が聞こえました。

華やかな色彩、柔らかな印象を受ける作品の数々・・・。描かれた人物は、穏やかな表情をしているものが多く、観ている私も穏やかな気持ちになりました♪

やっぱり印象派の絵はいいな~と再確認した展覧会でした。(笑)