今日の『アーカイブス』は、今月2日にお亡くなりになった、日本画家・平山郁夫さんの特集でした。
3日の私のブログでも書きましたが、平山さんは、15歳の時に広島で被爆し、後遺症に苦しみながらも、平和を祈る創作に打ち込み続けた方です。
そして、戦乱で破壊された文化遺産の保存活動に力を注ぐなど、美術界だけでなく、世界を舞台に貢献をされた方です。
今日の『アーカイブス』では、1996年に放送されたNHKスペシャル「サラエボの光 ~平山郁夫 戦場の画家を訪ねて~」なども放送されました。
「平山郁夫 祈りの旅人」と題して、シルクロードや世界各国を旅した平山さんが、平和への祈りをどのように絵に込めていたか、平山さんの人生、生き方をテーマに放送されていました。
「サラエボの光 ~平山郁夫 戦場の画家を訪ねて~」の放送の中で、戦争中も、サラエボに留まり、絵を描き続けたヌマンカビッチさんという方を、平山さんが訪ねて行って、会話をしていた時の言葉が印象的でした。
ヌマンカビッチさんが、戦争をテーマにした絵や映画、舞台が多いけれど、苦しみは芸術ではない。苦しみから感動は生まれない・・・と、おっしゃっていました。(戦争の状況をそのまま作品に残すことは芸術ではない・・・という意味合いでした。)
平山さんも、泥池に咲く、清浄の蓮の花は描くけれど・・・。墓地は、決して描かない・・・と、おっしゃっていました。
広島の原爆で被爆された平山さんですが、その広島の戦争の絵を描いたのは、たった1度きり、「広島生変図」ただ1枚の絵だという事は知っていました。被爆してから、何十年も広島を訪れることが出来なかったそうです。
「広島生変図」も、被爆されてから、20年以上の歳月を経てから描かれた絵だったと思います。
平山さんにとって、戦争で受けた心の傷どれだけ深いものだったのか・・・。
平山さんは、「光を描きたい」と強くおっしゃっていました。生きるための光を描き続けたい・・・。光を描いて、そこに生きる希望を託していたことが語られていました。
平山さんの描いたアンコール・ワットの絵も、戦争で傷ついた建物が、光輝いて見えます。
時に、戦争が起きた跡地や紛争地も訪れていた平山さんは、その戦争で傷ついた人々を想い・・・。風景だけでなく、そこに、壊れた人々の心も描いてきました。
スタジオには、生前、平山さんと縁のあった方達がゲストでいらしていました。その中で、女優の真野響子さんが、「平山さんは、穏やかで包み込んでくれるような方だった・・・」とおっしゃっていました。
平山さんの絵を見ると、心が穏やかになるような・・・気持ちが浄化されるような感じがするんですけど・・・。
それは、平山さんの穏やかな人柄が、絵の中にも表れているからなんじゃないか?と思いました。
最後に、「美しいものを見て、綺麗だと思うのは、生きている証拠・・・」と語っている生前の平山さんの姿が映されていました。
平和を祈り、生きていく希望を光として描いてきた平山さん・・・。
平山さんが遺してくれた絵は、これからも光となって人々に問いかけ、輝き続けていくのではないのかな・・・と思いました。