今日の『日曜美術館』は、大正・昭和を駆け抜け、40歳という若さで急逝した日本画家・速水御舟さんの特集でした。


ゲストは、東京藝術大学の宮廻正明教授でした。

以前、爆問の東京藝術大学のスペシャル番組の時、太田さんに、「結果はすぐに出せない・・・。太田さんのように、即、対話で表すのではなく、衝撃を出すまでの間(作品が生み出されるまでには)、人前では、見せられない何かがある・・・。」と、おっしゃっていたのは、宮廻教授だったと思います。その通りだな・・・と思って、印象に残った言葉でした。


その宮廻正明教授が・・・。

私が好きな、速水御舟さんの「炎舞」について、こんなことをおっしゃっていました。
Going my way ~どこまでも続く道~-炎舞
「炎舞」は、蝶の描写や炎の描写の美しさに驚くけれど、炎のうしろの暗闇が、ひじょうによく描かれている・・・。

描きたいものを描かない・・・。

普通なら蝶を描いて完成・・・。

でも、この炎舞は、暗闇が迫る中に炎が混ざっている。

一番、御舟が描きたかったのは、暗闇の世界・・・。


司会の姜尚中さんが、「闇の部分の目に見えないものって、空気感みたいなものですかね・・・。」と、おっしゃっていました。


その言葉に続いて、宮廻教授が・・・。

画っていうのは、空気。

絵描きは、空気を描いてみたいと思う。

御舟も最期は、無色に返りたいと言っていた・・・。

透明で見えない物、空気を描くことが念願だった。

日本画が世界で最もすぐれていたのは、空気を描こうとしたから・・・と、おっしゃっていました。


「炎舞」は、暗闇が描き出している、得体の知れない不安や恐怖のようなものを感じるからこそ、その中に描かれている炎と蝶が、なんともいえない妖艶さを増して、鮮やかに見えるのだと思います。

画の中の蝶が、ひらひらと舞い、炎がめらめらと燃えるように観えて、不思議な作品です。私は、この作品・・・。蝶が、人生を彷徨っている人間のようにも見えます。


速水御舟さんの作品は、他の作品からも、五感で感じるような・・・。音が聞こえてきそうな、触れてみたいような、風を感じるような・・・。

目に見えている以上のものを、作品から感じることが多い気がします。


今、開催されている山種美術館の「速水御舟 日本画への挑戦」展、益々行ってみたくなりました。