昨日のNHK「世界遺産への招待状」は、スイスアルプスが舞台でした。
美しい景観を誇る3つの世界遺産が、紹介されていました。

最初の世界遺産は、移動する世界遺産「レーティッシュ鉄道」
Going my way ~どこまでも続く道~-レーティッシュ鉄道
およそ100年前に、アルプスの絶景を乗客に楽しませることを目的として建設された鉄道なのだそうです。
遠くにアルプスを臨むティラノの町を出発して、電車は走り出します。
登山電車なのに、路面電車のように町並みの中を抜け、時速30キロで、電車はゆっくりときつい傾斜を登っていきます。

電車の中には、天井近くまで広がる大きな窓があり、車窓からの風景をゆっくりと楽しめるようになっていました。ブルジオのループ(360度の円形のループ)や、およそ200もの橋。その中には、ランドバッサー橋というローマの水道橋とそっくりなものもありました。この橋、自然石を積み上げられてできた橋なのだそうです。

「レーティッシュ鉄道」は、当時の最新建築技術を駆使して創られていました。
標高差1800メートルを克服する「天空の鉄路」。
アルプス越えを果たした車窓には、氷河を抱く美しい山々が広がっていました。アルプスの絶景の中を真っ赤な電車が走っていました。(まるで『世界の車窓から』のようでした(笑))

次に訪れたのは、世界遺産「ラボーのブドウ畑」
Going my way ~どこまでも続く道~-ブドウ畑スイス西部の高級保養地レマン湖の北岸には、湖に崩れ落ちるような急斜面があり、そこには石壁で支えられた美しいブドウ畑が造られていました。

ラボーは、かつてただの岩だらけの急斜面だったそうです。
その場所を、ラボーの人々は15世紀から500年以上かけて、長大な石垣を積み上げ土を運び800ヘクタールのブドウ畑を造ったのだそうです。

その畑を照らしているのは「3つの太陽」。
最初は、自然のままの太陽。
次は、レマン湖の水面に輝く太陽の光がブドウ畑を照らす。水面に輝く太陽。
そして、最後は石垣の太陽。昼間に熱を溜め、夜に熱を送る。
この3つの太陽のお陰で、ブドウが育つのだそうです。

そして、そんなラボーの美しい光景によって傷ついた心を癒されたのが、世界の喜劇王チャールズ・チャップリンだったそうです。
番組の中で、映画『モダンタイムス』の映像が流れていましたが・・・。当時、アメリカで産業が盛んになってきていた時、フォードモータースのように大量生産がされ、人間が機械的に扱われるという背景をもとに映画を製作した事で、チャップリンは共産主義者との疑いを掛けられてしまっていたんですよね。そんなチャップリンが亡命した先がスイス。
チャップリンは晩年の20年間をこのラボーで過ごしています。

チャップリンの息子マイケル・チャップリンさんが登場し、晩年に過ごしたチャップリンのお屋敷の中を案内してくれていました。ピアノが置いてあって、このピアノで作曲をしていたという事をお話されていました。

亡命した当時のチャップリンは、アメリカへの怒りに満ちていたそうです。けれど、アメリカでなければ自分が成功しなかったという事で、愛憎の入り混じった気持ちでいたのだそうです。
そんなチャップリンの心をラボーの暮らしが癒していったそうです。
チャップリンは、ブドウ畑に続く小道や夕日を浴びたブドウ畑を愛していたのだそうです。
私も、このラボーのブドウ畑を歩いてみたくなりました。素敵な風景でした。チャップリンが見た風景と同じ風景を味わってみたいな~と思いました。

最後は、世界遺産「スイスアルプス ユングフラウとアレッチュ」を訪れていました。
Going my way ~どこまでも続く道~-スイスアルプス
スイスで最も有名な山々、ユングフラウ、メンヒ、アイガーを含む世界自然遺産。
標高3000mを越える山々の尾根には展望台があって、そこには電車に乗っていくことができるのだそうです。
展望台に行くと、そこにはアルプスの絶景が広がっていました。
氷河は180万年もかけて、アルプスの山々を創り出してきているんですね。自然の力って、すごいですね。

その世界遺産の山々が目前に広がる牧草地では、夏の間牛が放牧され、酪農家がチーズ作りに励んでいる、酪農家ミッヘルさんのお宅があり、このお宅にお邪魔していました。
そこには、夏休みの間、仕事を手伝っている4人の子供の姿(13歳と言っていた気がします。中学生くらい?)がありました。
アルプスって言葉は、アルプと呼ばれる牧草地が山々に点在しているので、アルプスといわれるのだそうです。

そして、そのアルプは人工的に造られたものなのだそうです。冬の間に雪とともに石がアルプに運ばれてきてしまうため、その石を除く作業をしていました。農民たちは荒地の岩を拾い、石垣を築き、肥料をまいて、草を育てて、アルプスの素晴らしい景色を維持されていることを知りました。

早朝から牛を追い、牛乳を搾り、チーズ作りを手伝う、生活の中で「アルプ力」という力が養われるのだそうですよ!これは、ハイジという名前のお母さんが仰っていました。(「アルプ力」というのは喜びばかりではなく、きつい労働の中で人生にも結びつくような力が身につくということなんだと思います。子供たちはきつい労働も積極的に楽しみながら行っていました♪きっとこの仕事を引き継ぐ子がいるんじゃないかな?と思います。)
酪農家ミッヘルさんのお宅と、牧草地、目の前に連なる山々は、まさに、「アルプスの少女ハイジ」の世界のようでした!

昨日の番組で、スイスの美しい景観は、実は長い間、人の手により手入れされてきたことを知りました。

人から人へと受け継がれて、美しい景観が守られてきているって、素敵なことですよね。
実は、スイスに限らず、日本でも美しい景観は人の手が加わっているのかも?しれませんね。そんな事を思いました。