BS衛星映画劇場で、『約束の旅路』を観ました。
Going my way ~どこまでも続く道~-約束の旅路

今月の衛星映画劇場の中で、一番観たいと思っていた映画・・・。

深夜だったので、録画しようと思っていたのですが、結局、観てしまいました。

泣きました・・・。もう泣きっぱなしでした。


ストーリーは・・・。
1984年、常に死と隣り合わせのスーダン難民キャンプから始まり・・・。

エチオピア系ユダヤ人だけが、イスラエルへ救出されるモーセ作戦・・・。

このことを知った、ひとりの母親が、最愛の我が子を生かすために、エチオピア系ユダヤ人の女性の手を借り、息子を手放します。

「生きて、生まれ変わりなさい・・・」母親は、息子が幸せになることを祈り、難民キャンプから送り出します。

イスラエルに到着した9歳の少年は、シュロモというユダヤ名を与えられました。

イスラエルまで連れてきてくれたユダヤ人の女性は、病に倒れ、「決して秘密を話さないように・・・」と言い残し、亡くなってしまいます。

やがてリベラルで裕福なヤエルとヨラム夫婦の養子となりますが、本当はユダヤ人でないことを誰にも打ち明けられず苦悩します…。

その頃、イスラエルではエチオピア系ユダヤ人を正式な教徒と認めないなど、国内での紛争が勃発します。

成長するにつれ、宗教や人種問題に直面することとなります。

シュロモは母を結果的に置き去りにしてしまった自分自身への怒りと哀しみ、身分を偽ることによるストレスと苦悩などを胸に抱えながら成長していきます・・・。

最後に、シュロモは医者になり、再び難民キャンプの地を踏むんですよ・・・。感動しました!


この映画には、「モーセ作戦」という歴史的背景があったり・・・。

(私、「モーセ作戦」、よく知らなかったので、調べてみたら・・・。)

モーセ作戦は、1984年11月から翌年1月にかけて、エチオピアを襲った大飢饉をきっかけに、エチオピア系ユダヤ人をイスラエルへと戻すために、イスラエルと米国の指揮のもと行われた大規模な作戦なのだそうです。

当時、移民を禁じていた政権の目を盗んで出国した人々は、スーダンの難民キャンプまで命の危険にさらされながらひたすら歩き、実際に4千人が到着前に襲撃、餓えや渇き、衰弱などで命を落としたそうです。キャンプでは移送のための飛行機が待機し、第1回の空輸で8千人が救出され、1991年に政権が交代すると、2回目の帰還作戦が実施される。これはソロモン作戦と呼ばれ、1万5千人がイスラエルへと移住したそうです。

同じユダヤ人でも、どこの出身かによって、ユダヤ人同士の間でも衝突と差別が起きているということを知りました。


他にも、人種差別や偏見、宗教問題・・・。

私が勉強している心理学にも関係している場面がありました。

主人公シュロモが生きるために、秘密にして心に抱いていた真実は、どれだけストレスになっていたのか・・・。

どれだけ、心に傷を負って生きていたことか・・・。辛いシーンが沢山ありました。(辛いことがある度に、空を見上げて、月を見ながら、お母さんのことを想うシーンが、とっても切なかったです。)


重い映画でしたが・・・。

主人公シュロモには、彼を理解して、見守ってくれる多くの人が登場していました。

養母のヤエル、宗教指導者ケス、妻となったサラ、兄弟やおじいちゃん達・・・。

養母、実母、難民キャンプからイスラエルまで連れてきてくれた母を偽ってくれた女性・・・。

大勢の母親から、沢山の愛情を受けていました。


幸せってなんだろうな・・・。シュロモにとっては、不自由のない、自由な暮らしより、貧しくて辛くても、スーダン難民キャンプで、本当の母親と居た方が幸せだったんじゃないか?と思うシーンがありました。

自由であることが、本当の幸せなのか?とか、家族や人との縁や結びつきの大切さとか・・・。

沢山のことについて、考えさせられる映画でした。