ユニクロを率いる柳井正氏が、その独特な経営論を、尊敬する経営学者ドラッカーの理論を通して4回シリーズで語る『知る楽 仕事学のすすめ』 。昨日の放送は、第2回~ 人間が幸せであるために~でした。
第一回目の~顧客を創造せよ~に書いた私のブログは、こちら です。

柳井社長が尊敬する経営学者ドラッカーは、アメリカや日本の企業の実態を詳しく調査し、画期的なマネジメント論を打ち出してきました。
組織で働く、個人の力をいかに引き出すのか?人間中心の新しい企業の在り方を提唱しました。
ユニクロを率いる柳井社長は、ドラッカーの思想を活かした経営を実践されています。

柳井社長は、ドラッカーについて、会社、組織、人間、社会の本質をいっているとように感じたとおっしゃっていました。「おじさん」と慕うドラッカー・・・。僕のためを思って言ってくれている気がする・・・。
ドラッカーは、単純な経営学者ではない。歴史、社会のこと・・・。ヨーロッパ、アメリカ、日本、世界中のこと、世界中の企業のこと、色んな事をご存知で・・・。ご自身がコンサルタントとしてやっていて、実体験と客観的な精神が、僕らにピンとくる!とおっしゃっていました。

ドラッカーは、日本の企業に共感していました。
戦後の日本企業が敗戦から奇跡的に復興した、その強さの秘密はどこにあるのか?ドラッカーは、何度も日本を訪れて、ソニー、トヨタ、本田といった企業を調査し、終身雇用、年功序列、企業内組合といった、欧米の企業にはみられない、人間同士の絆を重視する組織の可能性を見出しました。
新しい会社の姿を日本に見て、ヨーロッパやアメリカの企業にはない、新興国としての日本企業の姿に未来の企業のことを考えたのではないか・・・とおっしゃっていました。
しかし、昔の企業が100%ではなく、日本人にとって、どういう組織、社会が良いのかを考えた上で、会社をつくらないといけないともおっしゃっていました。

また、ユニクロでは、人種、国籍、年齢、性別、ハンディキャップなど差別を無くし、従業員の力を最大限に活かす事を実践しています。実際、ユニクロでは、様々な国籍、障害のある方も数多く働いています。(ユニクロでは、法定雇用率を大幅に上回る8%の障害者雇用を実践されているそうです。)

柳井社長が、こんなことをおっしゃっていました。
“障害者の人がいると、販売員、全員がその人に気遣うようになる・・・。
その人がもっている障害に対する気遣いで、その人の一番強いところを活かす。
最近の人は、気遣いをしないけれど、障害者と働く事で、お客さまに対する気遣いもできるようになる。
とおっしゃっていました。

日本人の男性ばかり、ビジネスマンタイプばかりの会社は面白みがない。
多様な才能の人がいないと、社会に向かってオープンできない。
対応する人がワンパターンでは、オープンになりえない・・・ともおっしゃっていました。

最後に、勝間和代さんが、昨日の放送をまとめていました。
柳井さんは、さまざまな考え方を企業理念に取り入れたうえ、さらに、その企業理念を発展させ、ダイバーシティー、すなわち、男女の差、年齢の差、国籍の差、ハンディキャップの有無、そういったものを乗り越えて、さまざまな人がグローバルに働ける企業、そういった新しい哲学を生み出しました。
私達も単にドラッカーを読んで、まずは真似ることから、そして真似た後で、どういうことを自分の哲学に発展させるのかということを、経営という視点で考えていきたい。

第一回目の「顧客を創造せよ」も、大変、興味深い話でしたが、今回もとてもためになる、お話でした。
障害者の雇用情勢が厳しく、就職しても、リストラの対象になりやすいという現状がありますが、柳井社長は、障害者にも社会に出て、健常者と働いて欲しい・・・とおっしゃっていた言葉が印象的でした。
障害者と健常者が一緒に働くことで、見えなかったことが見えて、お互いにとってプラスに働く・・・という素晴らしい考え方を知りました。来週は、どんなお話が聴けるのか楽しみです。

来週も、柳井正氏がゲストです。第3回は、~主役は「知識労働者」~です。