昨日のNHK『プロフェッショナル』 は、聖路加国際病院 乳腺外科医の中村清吾先生でした。


現在、女性のがん罹患率のトップが乳がん。乳がんは、20人に1人が発症する国民病です。

乳がん手術で年間700件という、日本有数の実績を誇る聖路加国際病院。そこで乳がん治療をされているのが、乳腺外科医・中村清吾先生です。

中村先生は、MRI画像を使った乳がん診断法や、乳房温存手術(乳房を残す手術)を行うなど、日本の乳がん治療の先駆者であり第一人者です。


中村先生がめざす治療法!それは・・・

「治療とは、ただ命を助ければいいのではない。患者の人生を思いやること。」


中村先生は、患者さんと同じ目線に立ち、治療を行っていました。

中村先生を訪ねてくる患者さんは、40代から50代。

“この世代の女性は、妻であり、母であり、時には社会の中核として働いている人たち。

自分の病気に専念しなきゃいけないっていうのは、それだけでも、かなりのストレスになる・・・。

より患者さんの立場に立つ医療を僕らは提供していかないといけない”・・・とおっしゃっていました。


中村先生は、乳がんの治療で悩んでいた時、思い切って、治療の先進国、アメリカ(テキサス大学 M.D.アンダーソンがんセンター)に行って研修をする道を選びました。

そこでは、医者以外の専門スタッフと一緒になって治療を行う、チーム医療が行われていたそうです。

また、暗くて長い治療になるはずの患者さん達が生き生きとしていて・・・。人生を謳歌し、前向きに生きている患者さんたちを見て、チームで患者と向き合い、それぞれの人生によりそう・・・これこそ“自分が目指している医療だ!”と思ったそうです。


日本に帰った中村先生は、時間をかけながら同僚を説得し、2005年、チーム医療を本格的にスタートさせました。外科医・腫瘍内科医・小児科医・看護師・薬剤師・栄養士・チャイルドライフスペシャリスト・ソーシャルワーカーなど、さまざまな分野の専門家が対等な関係を築くチームで、患者と向き合う・・・。

中村先生は、外科医1人でカバーできることには限界があり、他の専門家の見解に耳を傾ける謙虚さが、最善の治療につながると信じているとおっしゃっていました。


「医師は謙虚であれ」


「自分がこう思う」で留めないで、慎重にやっていかないといけない。他からは、白衣を着ていれば医師だと思われるかもしれないけれど、もっと謙虚にならなければいけない・・・。

そこで、外科医の考えだけに頼らず、チームで診ることで、精神面や退院後の生活の支援まで、総合的にサポートする試みが行われているそうです。


中村先生が、患者さんと向き合う為に、大事にしていること!(スタジオで、扇子を取り出して見せていました。扇子に書かれていた言葉は・・・。)


灸は身をやくにあらず 心に燈をともすなり


しんきゅう師だった父親が、しんきゅうの道で大切にしていた言葉なのだそうです。(調べてみたら、この言葉は、弘法大師のお言葉のようです。)

中村さんのお父さんは、いつも患者のグチや悩みを聞きながら、時には厳しく、時には優しく応対していたそうです。中村先生は、そんな親の姿を見て医師の道を志したそうです。

言葉のかけ方、気持ちが合い通じることが、医療においては大切なんじゃないか・・・とおっしゃっていました。人を思いやり、人の心を大切にしながら治療を行っている姿に感動しました。


番組の中で、中村先生が・・・
乳がんは早期に発見できれば、90パーセント完治できます。

該当する年齢になったら、検査を受けて頂きたいと思います。

とおっしゃっていました。


中村先生が番組内で紹介していた、『乳がん自己検診法』は、こちらです。

http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/090609/kenshin.html