今日、東京都美術館で開催されている『日本の美術館名品展』
に行ってきました。
全国の公立美術館100館が参加し、その膨大なコレクションの頂点をなす、選りすぐりの名品が一堂に公開されていました。
今回の展覧会は、公立美術館のネットワーク組織、美術館連絡協議会の創立25周年を記念して開催されたものです。
西洋絵画50点、日本近・現代洋画70点、日本画50点、版画・彫刻50点の220点という数の作品が展示されていました。
北は北海道、南は九州の美術館から・・・。全国から、選りすぐりの名品が揃い、一度に鑑賞できるという展覧会です!
まずは、西洋絵画のコーナー・・・。
いきなり、ミレー。ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、ピカソ・・・。1人の絵画人に対して、1、2作品ずつくらいしか置いてありませんでしたが、有名な絵画人の作品がずらり。しかも、“あっ、この絵どこかで観たことある!”という有名な作品ばかりでした。
私が、西洋絵画のコーナーで気に入った作品は・・・。
クロード・モネの「ポール=ドモワの洞窟」(写真1枚目)、カミーユ・ピサロの「エラニーの菜園」(写真2枚目)。(私の好きなピサロとモネは、お隣り通しでした。同じ印象派なので、展覧会では、よくお隣りに並んでいることが多い気がします。(笑))
そして、マルク・シャガールの「オルジュヴァルの夜」。(写真3枚目)
ユダヤ人として生まれ、過酷な人生を歩んだシャガール・・・。第一次世界大戦、第二次大戦の中を生きたシャガールは、その生い立ちから、生涯に何度も移住を繰り返しています。
1941年、ニューヨーク近代美術館の招きで渡米、第二次大戦中はアメリカで亡命生活を送り、バレエの舞台装置や衣装を担当したこともあるそうです。
第二次世界大戦を経て、再びフランスに戻り、パリを第二の故郷と決め、1985年に亡くなるまで、創作活動を続けました。(パリのオペラ座の天井画を描いたのも、シャガールです。)
誕生、結婚、死など,人間の一生を生涯のテーマとして、青を基調とする独特の色彩で描いているのが、シャガールの絵画の特徴です。戦争への残虐な生々しい記憶を抱えながら、平和を祈っていたシャガールは、絵の中に平和の象徴である牛を登場させています。平和に対する自分の気持ちを、絵画によって伝えようとしていたことを強く感じさせます。
シャガールの作品を鑑賞していると、人間に対する愛情や、戦争に対する怒りや悲しみが伝わってきます。
今回の展覧会で、この作品の説明文に、こんなことが書かれていました。
“シャガールは、亡命していたアメリカ滞在中に、愛妻を失い、悲しみで1年間も創作活動ができなくなってしまった。この「オルジュヴァルの夜」に描かれた、空を飛ぶ天使のような女性は、亡くなった愛妻なのではないか?”というようなことが、書かれていました。
日本近・現代洋画のコーナーで印象に残った作品は・・・。
黒田清輝の「ポプラの黄葉」、藤田嗣治の「私の夢」、岡鹿之助「遊蝶花」(写真4枚目)。
岡鹿之助さんは、花をとても愛していた方で、花を重要な画題にしていた方です。
中でもパンジーを愛し、栽培家を訪ねて、観察を重ねていたそうです。
冬景色の中に、色とりどりのパンジー。形も、小さいものから、大きいものが様々に混じりあって・・・。
まるで描かれたパンジーが、人それぞれの個性を表しているような、そんな感じのする作品でした。
そして、日本画のコーナーで印象に残った作品は・・・。
横山大観の「漁村曙」、山本丘人の「流水のうた」。
山本丘人さんの「流水のうた」は、本当に素敵で、ブログに画像を貼ろうと思ったのですが・・・。(ポストカードが売られていませんでした。残念です。)
山間を流れる川・・・。そのまわりには、白く咲く沢山の花々。
季節の移りゆく様・・・。川の流れが人生を象徴しているようでした。そして、まわりに咲く白い花が、生きる喜びを表現しているような感じがしました。作品の前に立っていた時、流水の響きが聞こえてくるような感じがしました。素敵な作品でした。東京都現代美術館の所蔵品なので、山本さんのこの作品とは、またいつか出会えそうな気がします。(笑)
『日本の美術館名品展』のHPは、こちらです。(7月5日(日)まで)http://museum-islands.jp/
今日、サントリー美術館に行こうか?上野に行こうか?迷ったのですが、今日は、こちらの展覧会を鑑賞できて良かったと思っています。
今、サントリー美術館では、「NHK大河ドラマ特別展“天地人”直江兼続とその時代」が開催されています。
「NHK大河ドラマ特別展“天地人”直江兼続とその時代」のHPは、こちらです。(7月12日(日)まで)