昨日、クローズアップ現代「抗うつ薬の死角~転換迫られるうつ病治療~」が放送されました。
5月8日、厚生労働省は、抗うつ薬「SSRI」4種類(対象成分は、塩酸セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)、パロキセチン塩酸塩水和物(パキシル)、フルボキサミンマレイン酸塩(デプロメール、ルボックス)、ミルナシプラン塩酸塩(トレドミン))について、他人を攻撃する危険性があると注意喚起を呼びかけました。(これに関連した記事は、こちらです。http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090512/151534/ )
「SSRI」は、従来の抗うつ薬に比べて副作用が少ないことから、世界中で広く服用され、多くの患者を救ってきました。しかし、一部で、服用後に攻撃性が現れることがあることがわかっています。(一部の人に攻撃性が現れる理由は、まだ解明されていません。)
薬そのものが持つ問題に加えて、薬の効能に目を奪われ、ともすると「安易に」薬を増減させる医師の姿勢や、「誤診」により本来SSRIを投与しては危険な患者に処方することが背景にあると、専門家は指摘しています。
番組では、転換を迫られるうつ病治療の現状も放送されていました。
「SSRI」と因果関係を否定できないとされている事件には、1999年4月20日、アメリカ コロンバイン高校銃乱射事件、1999年7月23日 全日空61便ハイジャック事件(レインボーブリッジの下を潜りたいといってハイジャックした事件です)などがあるそうです。
アメリカでは、2004年10月に、薬の注意文書に、“攻撃性が現れた症例がある”という注意書きの添付を義務付けられました。
番組の中では、薬ばかりに頼る治療だけでなく、心理面からサポートする治療が紹介されていました。
以前、2月22日のNHKスペシャルでも、この心理面からサポートする治療(主に、イギリスで行われている認知行動療法に関する放送でしたが・・・)が紹介されていました。この番組の感想は、以前の私のブログ『NHKスペシャル「うつ病治療 常識が変わる」 』に書いたのですが・・・。
色んな専門家の診断により、誤診を防ぐことができることで有効であることが紹介されていました。
しかし、まだまだ薬による治療がメインとなっている日本では、このSSRIが、とても重要視されているそうです。
★気をつけなければいけない事は・・・
個人が、自分の判断で薬の量を増やさないことが大事なのだそうです!
また、医師の誤診で、SSRIが処方されると危険なこともあるので、セカンドオピニオンを利用するのも1つの方法だということが紹介されていました。躁うつ病(双極性障害)、うつ状態と躁状態を繰り返すタイプのうつの人が誤診され、SSRIを投与されると、気分の波を大きくしてしまい、躁状態の時、過激な行動を起こす危険が増してしまうそうです。(本来なら、躁うつ病(双極性障害)症状には、気分安定薬が投与されなければいけないそうです。)
番組の最後に、注意書きがありました!
個人の判断で服薬を中止するのは危険です。不安があれば専門医に相談してください。
何か不安を感じたら、主治医に相談すること、薬を服用している本人だけでなく、家族やまわりの人が、抗うつ薬のリスクに関心をもち、情報を理解する必要がある事が放送されていました。
先週、金曜日から、NHK金曜ドラマ「ツレがうつになりまして」 も始まりました。こんな時代なので、職場でメンタル面の不調を訴える人は、ますます増えていくと思います。
「ツレがうつになりまして」は、「うつ病」を患った夫との生活を、温かいタッチで描いたドラマです。(原田泰造さんが、とても良い演技をされています・・・。この間の放送では、どんどん身のまわりの事ができなくなってしまい、自殺しそうに・・・。病院に行き、「うつ病」だと発覚したところで終わりました。奥さん役は、藤原紀香さんです。)