起業をする際にまず考えるのは、会社を作るべきか、個人事業主でいくか、だと思います。

(※以下、私は専門家ではなく、あくまで個人の経験や考えをもとにした記事です。
正確には税理士さん、社会保険労務士さんなどにご相談されることをお勧めします。)

では夫婦で起業する場合はどうでしょうか?

もし、すでに旦那さんが起業していて会社を持っていたり、同時に起業する場合、

1. 旦那と奥さんで別々の株式会社を作る

2. 旦那さんの株式会社に、奥さんが社員として入る

3. 奥さんは個人事業主としてスタートする

の3通りの選択肢が考えられると思います。

会社を作るべきかどうかについては、色々な専門家の方が書かれていますが、夫婦で自営・起業する場合にはどんな選択肢があるのか情報は少ないので、以下この3つの選択肢を考えていきたいと思います。

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まずは1番めの、別々の会社を作り、それぞれの代表取締役になる場合についてです。

旦那さんと奥さんが別会社なので、夫婦で起業しているメリットは生かしづらいのかな、と思います。

期末の大変な会計処理も別々にやらないといけない。。
株式会社にかかる均等割りの税金も、それぞれの会社にかかります。

給与は、お互いの会社からは”役員報酬”という形で毎月取ることになると思います。
役員報酬は給与と違って、年の途中で額を変えられないなど、不便なことも多いかと思います。

社会保険や年金についてはどうでしょうか?

お互いの会社で夫婦が経営者で、従業員がゼロ人の場合、経営者は労働者ではないとみなされて、会社として保険に入れないと聞きます。

そのため夫婦でそれぞれ、国民健康保険や年金に入ることになるでしょうか。前年度の収入が多かったりすると大変そうです。

国民保険や年金に”扶養”という考え方はありません。お互いが支払わないといけません。

奥さんの役員報酬の額が扶養範囲内(年間130万)の場合は、旦那さんの会社で扶養に入れる可能性もあるかもしれません。でもあくまで代表取締役は労働者ではないので、認められるかどうかは微妙なところかな、と思います。

その他にも、銀行口座も二つ作らなきゃ・・と考えるのも、ちょっと面倒ですね。

個人的な考えですが、夫婦で起業して、1番という選択肢をとるのは勿体ないのかな、と思います。

奥さんがどうしても”代表取締役”という肩書きが必要だったり、旦那さんの会社に奥さんが入れない理由がある時に、とる選択肢かな、と思いました。

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2番目の、旦那の会社に奥さんが社員として入る場合。

奥さんの肩書は社員で、旦那さんが”代表取締役”となります。

この方法には色々メリットはあると思います。

まずは夫婦で会社を1つにできるので、面倒な会計処理も一度で済み、会社毎に固定でかかる税金も1つの会社分でOK.

会社で利益がでた場合、奥さんに”給与”の支払いができるので、法人税の節約もできます。
旦那さんも”役員報酬”という形で給与を取ることができます。

奥さんの給与が扶養範囲内の場合、取締役である旦那さんの扶養に入ることができるでしょう。社会保険や年金の負担が減ります(同じ額を、会社の社会保険料として負担することにはなります。でも結果的に会社の収益を抑えることができるので、節税効果が期待できるでしょう)

デメリットとしては、奥さんが代表取締役を名乗れないこと。また旦那さんの会社と奥さんの業務内容が異なる場合は、会社の定款の変更の必要があること、などでしょうか。

社員だから会社の経営に口出しができない、ということはありませんよね(笑)。
家庭での旦那さんの肩書きが”主人”であっても、実権は奥さんが握っている場合が殆どでしょうから!

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3番目の、奥さんは個人事業主、旦那さんは会社の代表取締役・または同じく個人事業主という場合。

個人事業は株式会社ほど会計処理も面倒ではないので、夫婦で別々に会計処理を行ってもそれほど奥さん側の手間は増えないと思います。

奥さんの収入が扶養範囲内の場合、旦那さんの会社で扶養に入れるかもしれません(旦那さんが一般の企業にお勤めの場合は、個人事業主である奥さんを扶養とは認めない会社もあるようですが)

もし旦那さんが個人事業主で青色申告をしている場合で、奥さんがそれを手伝うという形をとれれば、奥さんの収入を扶養範囲内に抑えることで、奥さんを青色専従者として登録することもできそうです。

ただ夫婦で個人事業主の場合は、お互い会社の年金などに入ることはできないので、国民年金・国民健康保険に入ることになると思います。国民年金・健康保険に扶養という概念はありませんので、奥さんの収入がいくらであっても、一定額支払う必要がでてきます。

個人的に思うのは、夫婦で個人事業主の場合、収入がある程度大きくなってくれば、夫婦で株式会社の設立を検討するのがいいのではないでしょうか?その際にどちらかを取締役にして、どちらかを従業員という形で入れば、お互いに個人事業主であるより、色々な節税対策を考えられるような気がします。

一般的に個人事業主が会社を設立(法人成り)をして節税効果がでてくるのは年間売上800万程度と言われているようです。ただ、会社で奥さんが旦那さんの扶養に入れる場合には、節税以外にも色々なメリットがありそうですので、社会保険労務士さんに相談してみてはいかがでしょうか。

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以上、私が考える3つの方法とそのメリット・デメリットをまとめてみました。

間違いなどありましたらどうぞご指摘いただければ幸いです(完全な素人ですので、優しくお願いします・・)

ここで一番お伝えしたかったことは、夫婦で起業する場合に色々な選択肢がある、ということです。

せっかく夫婦で起業しているのであれば、二人で会社を作るメリットを最大限生かす方がいいのでは、と思います。

特に夫婦で起業する場合、経理処理は奥さんが行う場合が多くなると思います。
会社の立ち上げ当初から税理士さんにお願いすると経費がかかってしまうので、まずは自分でトライ、という場合も多いと思います。

会社2つ分の毎月の経理処理、3月確定申告時の決算処理は大変です・・。

肩書にこだわって奥さんが株式会社を別に作ってしまったり、会計処理が面倒だからという理由で、夫婦とも個人事業主、というのはちょっともったいないのかな~と思います。いかがでしょうか?