直木賞の候補作品になってますね。

この本に関しては芥川賞の候補でも良いのでは?と思う両面にまたがるような作品でした。


もともと宮内悠介さんの作品はこれまでも楽しんできて、むしろ直木賞をこれでというなら、過去のあの作品がいいのでは…と感じながら読んでました。


けっして今回の作品が不足ということでは全然なくて、純粋に著者の作品ってSFだったりエンタメだったり、歴史小説だったり、縦横無尽かつ日本から離れた視座で書かれてるので、どれもガツンと作品のテーマや奥深さを読み取れる。

だからどうしても自分の抱えるテーマにグッときた作品を推したくなるというのが理由です。



今回の舞台はエストニア。

ロシアと西ヨーロッパとのあいだにあり、なにかと引き合いにだされ、政局も振り回されがちな地域です。


ロシアとドイツの戦争のあたりの作品がとても注目されたタイミングではありますが、あれらの作品が正直辛かった方もこの作品は読めるのではと思います。


史実ではなく、あくまで小説として、この時代に生まれたある数学のできる子たちのその後に近いお話。


もちろんコンピュータ時代に突入するあたりですから、このあたりの子の進路や親の側の心配、政治とのからまり具合もえがかれます。


ジャーナリストがある1人を追っかける形で始まる話ですが、最後にはミステリー的にそういうことだったのねと辻褄が合う場面もでてきます。


でもここがミソなんじゃなく、それもこれも人との出会いや関わりのなかで発生したものとの結果のようなエピソードなんじゃないかなとかんじるつながりでした。


この作品が受賞するかはわからないですが、宮内悠介さんの作品はまた未読のものもふくめて、読んでいこうとおもうのでした。


特に歴史小説が好きな方は好みだと思います。

この作品、わたしは一気読みでした。




〈Amazonより〉

第170回直木賞ノミネート
第40回織田作之助賞ノミネート


1977年、エストニアに生まれたラウリ・クースク。
コンピュータ・プログラミングの稀有な才能があった彼は、ソ連のサイバネティクス研究所で活躍することを目指す。だがソ連は崩壊し……。
歴史に翻弄された一人の人物を描き出す、かけがえのない物語。

『ラウリ・クースクを探して』メディア紹介一覧
【2023年】
6/27 読売新聞 文芸月評 記者・武田裕芸さん
7/26 毎日新聞 文芸月評 大澤聡さん
8/21 週刊現代 書評 木澤佐登志さん
8/27 読売新聞 書評 小川哲さん
8/28 共同通信 文芸月評 渡邊英理さん
8/30 毎日新聞 文芸月評 渡辺祐真さん
9/4 週刊ポスト 書評
9/4 AERA インタビュー
9/6 youtubeエンタメ丼 杉江松恋さん紹介
9/7 週刊新潮 書評 石井千湖さん
9/9 日経新聞 書評
9/9 産経新聞 書評 ホラン千秋さん
9/13 アンアン インタビュー 聞き手・瀧井朝世さん
9/21 週刊文春 書評 米光一成さん
9/21 好書好日 書評 「日出る処のニューヒット」(第6回) 杉江松恋さん
9/22 小説現代 23年10月号 書評 三宅香帆さん
9/24 朝日中高生新聞 書評 書店員・江藤宏樹さん
9/29 読書人23年9月29日発行号 書評 八木寧子さん
9/30 朝日新聞 書評 澤田瞳子さん
10/1 毎日新聞 書評 内藤麻里子さん
10/3 女性自身 書評
10/6 ダ・ヴィンチ 23年11月号 今月の絶対はずさない! プラチナ本 選出
10/28 東京新聞 書評
10/28 共同通信より書評配信 慶応大学教授・土屋大洋さん
11/28 時事通信よりインタビュー配信




その他の読書日記


井上真偽ファンのくせに読んでなかったアリアドネを読み始めたのですが、設定がいまの現実と近すぎて、それが無意識のうちに辛さを呼ぶのか読み進められなくなってしまいました…

筆者のミステリーは絶対好みだから好きなはずなのに、全然そこまで辿り着けない。

こんなこともありますよね。



逆に一気読みだったのはこちら


こちはらシリーズになったことが嬉しいです。

続きもありそうな終わり方なのでぜひ追いかけていくつもり。

一巻の方は最近文庫化されてるので、関心のある方はぜひ。

ファンタジー作品が好きな方に特に良さそう


こちらが文庫化された一巻です。