ドイツに住みながらドイツ語の小説だけでなく日本語の小説も書いている作者の新作長編です。


朝日新聞に連載されていたものなので、刺激的な要素はほとんどありません。


作者自身かもと思う要素も多い主人公のミサはドイツに住んでいます。


もともと大学は日本だったのですが、卒業後に講師だった早瀬と結婚し、ドイツに渡ったのです。


ただ早瀬は海外生活になじむことなくただ日本の延長にいたのに対して、ミサはドイツでの生活を楽しく過ごし始めました。


ドイツの大学に入学してみたり、映画のエキストラをしたりと活動の幅を広げてるなか、早瀬は専任講師の職を関西の大学にみつけ帰国することになりました。


距離が離れたことで、心の距離も離れたのか、ふたりは離婚。

ミサはドイツにそのまま住むことに。


翻訳家を仕事としながら日々淡々と暮らしています。

あまり地域や他人と積極的に交流することはなかったのですが、お隣に住むMさんと交流があり、その縁から太極拳教室に通うことになりました。


お教室のいいところは技術や経験を得られるというだけでなく、人の輪が広がるところかと思います。

そこからの話はそれまでも語られてきた、ドイツ語とか日本語といった言葉のや民族というか国家のようなことも、ずいぶん奥行きが広がります。

いろんな国の出身者たちとの交流の良さであり、経験の広がりなのでしょう。


このあたりが日本語の小説ながら、海外小説を読んでるかのような要素が立ち上がってきて魅力的でした。

とくに私のような海外小説がまだまだ初心者にはいいですね。


何が大きな出来事や事件を描くようなストーリーではありません。純文学的だと思います。

だからこそ安定しながら読めるところが、この体調崩しがちな季節には向いていました。


太極拳の話もよかったなぁ。


比較的万人向けの文学作品を読みたい方におすすめです。



〈Amazonより〉


世界文学を切りひらく著者による、 はじめての朝日新聞連載小説の書籍化。 

ベルリンで一人暮らしをする美砂。隣人Mさんは東プロイセンで生まれ、終戦前にドイツに引きあげてきた。美砂はプルーセン人の来し方を聞きながら、第二次大戦前後のドイツと日本の歴史に引き込まれ、土地からの追放、戦時の死者数、国や民族、境界について考える。 

ある日、Mさんに誘われて、太極拳学校に行く。ロシア人富豪のアリョーナ、お菓子づくりのベッカー、英語教師のロザリンデと共に、鶴が羽を広げるように右腕を力強く上げる太極拳の技「白鶴亮翅」を習う。 

美砂はクライストの短篇「ロカルノの女乞食」を翻訳する。このドイツの作家はなぜホームレスの老女に注目したのか。ハムレット、グリム童話、楢山節考、世界の名作を女性の視点から読み直してみると……。





〈お教室日記〉

そして私の方は刺繍教室です笑笑

時間をうまく使えなくて、ノロノロやってますが、一つ出来上がりました。

指導員コースになると作品らしくて、作っていて楽しいのがいいですね。

その分時間がかかるのでなかなかゴールできませんが…。

次は白糸をしようかな。


ちなみに写真のほつれの部分は無事修復して提出しました…大変だったです😅