上田さんの作品は、圧倒的にSFの有名作家さんなのに、ショコラティエシリーズや、播磨国の室町幻想小説など、SF以外で楽しんできました。
ほんと面白かった。
ですが今回のこちらの発売された文庫本が面白いと聞いて、さらにはシリーズものだけど入門にもいいよと聞いて読み始めることに。
中作4篇なので、飽きることなく読み終えられます。
あと設定がいまいちわからない人用に後ろに用語集も!
でも読んでいたらすぐに世界に引き込まれるので心配いりません。
海上民として生きる人たちを今でいうところの開発途上国として読むことも可能かも知れません。
ときに良かれとした他国の開発援助が、まわりまわってこうなるのかみたいなものもみられます。
政治的な要素をどう感じるか、特にオサとなるとただ正義のような正しさだけでは現実の問題には対応できません。
諦めたり捨てたり、戦ったりと、それぞれ虐げられる側の主張がそこにはあります。
SFだから読めるというのもあるなぁと今回強く思っていました。今の社会ともちろん重ねられる要素はたくさんあります。
でもそれをそのまま書いたら、読むのはしんどいなぁと。そこになんらかの主義みたいな話にもなりかねないからです。
でも一旦仮の世界としてSF世界に託したとき、人物に没入しやすくなるなぁと感じました。
面白い作品でした。
SFはじめての方もお気軽に
〈Amazonより〉
陸地がほぼ沈んだ25世紀。
海に生きる海上民と〈魚舟〉や〈獣舟〉の美しくも激しい生きざまを叙情的に描いた、待望の全作書き下ろし4篇