低気圧のせいかしら読むのにずいぶん時間がかかりました。集中力がなかなか続かなかったのですが小説のせいではありません。

体調と読むスピードはある程度相関関係があるという実証でした。   

なぜなら今回の作品、結構あたりだったからです。


写真は買った時のです。
このご時世ですから上下巻ともにぬくぬくのお部屋で読みました😀


さて早速なのですがこの作品紹介、なんと表現したら良いのか…

もう上巻はなんども涙が浮かびました。

もともと家族に恵まれなかった彰。

でも腐ることなく、疎むことなく過ごしています。上巻はおもに高校時代に出会った皐月とのお話です。

すでに小説の初めのあたりで皐月が亡くなったことが描かれていて、現在の彰と過去のエピソードとの交互がとても良かった。


このままでも充分な読ませるお話なんですが、近未来のこの小説の舞台において、仮想空間「パンドラ」に彰が参加するくだりから少し展開の変化があります。

下巻にはいり、皐月をメインにした上巻から雰囲気がどんどん変わり、この仮想空間で知り合ったり再開する人たちとのあれこれな話に。

この過程ももとても読み応えがあって上手いんですよね。

もういろいろ書きたいけど、書いてしまうと読んだ驚きや展開の楽しさがへってしまいそうなので、これ以上はストップしますね。


ただ一点だけもったいなかったのは、ほんとにわずかなんだけど最後の4分の1くらい、ちょっと展開が都合主義的かなという点。

気になったのはそのくらい。


とくに上巻はすごくいいし、下巻も途中までグイグイ読ませるのでおすすめです。

今回の作品ら初読みの作家さんで他の作品も気になったのですが、本屋に置いていなかったので、Amazonの古本を使って買いました。

他のの作品もたのしみ。

寡作の作家さんのようでぜひ応援したいです。




〈Amazonより〉
泣いたのは、一度だけだった。

最愛の妻・皐月を27歳で失った彰は無感動な日々のなか、仮想都市プロジェクト『パンドラ』に惹かれて参加する。

都市の奇妙な人々から、妻との思い出に向き合うきっかけをもらった彰は、やがて『パンドラ』を巡る巨大な疑惑に巻き込まれていく―。

愛する人を失ってももう一度立ち上がる力をあなたに。

講談社NOVEL DAYSリデビュー小説賞受賞作。