大好きなシリーズです。
作者自体が美学専攻していたからか、作中の人物たちが語り合う美学論がとても魅力的。
主人公の私は博士課程も修了し、講師として勤務しています。
専門はエドガー・アラン・ポオ。
毎回ポオの作品解釈とともにその時その時におきるトラブルや出来事に立ち向かいます。
そのときに助言者となる強い味方は恋人でもある黒猫。
大学院でも同期でありながら天才をほしいままにしている優秀な人。
シリーズ途中でもこの2人のあれこれがあって、今は落ち着いています。
今回の新刊は短編集でした。
最近世間を騒がせたあれこれや、未だに謎のあの人のこと…など、読んでいてあの事かな?と思うエピソードを元に芸術や美術、真贋にいたるまで、その価値と在り方について検討していきます。
このやり取りが知的好奇心をくすぐるので、私のように門外漢でも楽しく読み進められます。
もちろん多少頭を使いますので疲れたときには読みにくいかもしれないですが、学術書ではないのでそこまでガチではありません。
小説ならではの扱いとポップさがとても良いなぁと思っています。
とはいっても参考文献はこんな感じですけど
丹地陽子さんのイラストも毎度楽しみです。
作者の他のシリーズや著作も読んでますが、1番このシリーズが素晴らしいと思います。
テキストをもとにどう解釈するかのプロセスを小説で擬似体験したい方にはこちらも。
↑シリーズ第2作目。
北村薫さんの落語家さんのシリーズが好きだった方にもおススメです。
若き大学教授とその付き人という関係から一歩踏み出し、新たな生活を送り始めた黒猫と私。
ある日「本が降ってくる奇妙な夢を繰り返し見る」という女子学生の相談を受けた私は、黒猫と共にその言葉の真意を探り始める。
だが、まもなく当の女子学生が詩集に“降られ"昏倒する事件が……
巻頭作ほか芸術展への脅迫事件、覆面画家が残した風刺画の真実など、現代アートをめぐる5つの謎に黒猫と付き人が迫る書き下ろし短篇集


