******************

『そうそう、浅野から結婚式の招待状届いてたよ』

『あ!うちにも椎名さんから来てたんだ。尾崎さん、休めるの?』

『うん。日曜日じゃないからおそらく大丈夫だと思う』

『いよいよ結婚式だもんねぇ。いいなぁ。』


そう言ったあたしに、尾崎さんが目線を配る。
そしてその後、海のほうを向きながら言葉を続けた。


『・・・憧れる?』

『当たり前じゃん!あたしもドレス着たいなぁ』

『・・・・・・』

尾崎さんが黙ってしまったので、今度はあたしが尾崎さんのほうを見た。

でも、尾崎さんは目線を海から離さない。


『・・・・尾崎さん?』

『・・・・由香のウエディングドレス姿、きっと誰よりも綺麗だと思うよ。
・・・隣がこんなおっさんだと、親子みたいに見えたらどうするかな・・・』


尾崎さんは誰に言うのでもなく、
そうポツリと呟いた。

******************