転機
最初は突然だと感じた
でも
違う
これは・・・違った
いつかは・・・こんな日が来るだろう
そんな予感があった
否定は・・・出来ない―
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆
その手紙が来たのは、6月の真ん中・・・6月15日のことでした。
しっかりとした紙で出来た茶色い封筒。
達筆な手書きで書かれた宛名は夫(=タカ)。
なんだろう・・・この手紙?
ピラッと封筒を返してみて
エッ!?!?
差出人を見て驚きました。
株式会社・・・・・・
差出人は個人名ではなく会社名でした。
それも、あたし達が勤めている会社ではありません。
ですが、その会社名にはかなりの覚えがありました。
・・・
・・・
この会社って・・・
お義父さんの会社だよ・・・ね?
息子のユキを乗せたベビーカーを押しながら、あたしはマンションの集合ポストからエレベーターで自分達の部屋へと移動していました。
うーん・・・
と、複雑な気持ちで入室して・・・ユキをリビングの専用マットに寝かせ、あたしはすぐに自分の名刺入れから一枚の名刺を取り出しました。
それは、夫の父親と初対面した際に頂いた懐かしい名刺です。
結婚前、あたし達が交際していることを報告するために初めてタカの実家を訪れた際に頂いたのでした。
怒涛の2日間~彼の御両親とご対面!~(4) (2006年3月19日の記事)
この時に初めて、夫・・・当時の彼氏、タカのお父さんが会社の経営者(代表取締役社長)であることを知ったのです。
もちろん今もそうです。
「・・・やっぱり・・・そうだよねぇ・・・。」
確認の意味で名刺を見てみたのですが、やはり・・・封筒に書かれた差出人の会社名は夫の父が経営する会社でした。
ダイニングテーブルにそっと封筒を置いて、あたしは考え込んでしまいました。
大学を卒業後、新卒として夫が入社した会社が・・・今、あたし達が勤めている会社です。
父親が経営する会社とは全く別の会社に入社し、現在その会社で係長として仕事をする夫に送られて来たこの手紙。
もし、タカのお父さん(あたしから見てお義父さん)が彼に用事があるのでしたら、こんな手紙を送らずに電話をするなり直接会うなりで話を済ませるはずです。
なのに・・・わざわざ会社名でこんな手紙を送ってくるとは・・・どういうこと?
いえ。
ある程度分かってはいるのです。
会社名を差出人として手紙を送ってくるということは、「親子」としての「個人的」な用件ではないのだということ。
‘どういうこと?’なんて疑問を持たなくても、心の奥ではなんとなくでも解っているのです。
この手紙・・・何を書かれているのか?
断言は出来ずとも、「こう書かれているのではないか」という予想はありました。
でも
それでも
思わずにいられなかったのです・・・
‘どういうことなの?’
と。
胸の奥がザワザワとした感覚がしていました。
「うぅー・・・あぁー!」
と時々声を上げながら‘ずりばい’をする息子、ユキを視界の端で見ながらも、あたしは封筒の方に視線が釘付けになっていました。
気になる・・・
何が書かれてるんだろう?
気に・・・なりすぎるよ・・・!
高まっていく胸の鼓動。
しかしこの手紙はあくまでも夫宛てのもの。
あたしが読むことは許されません。
あたしは手紙を手に、夫の書斎へと向かいました。
彼のデスクの上にそっと手紙を置きました。
自分の視界の中にこの封筒があったら、それこそ気になって仕方がなかったからです。
・・・まぁ、視界から消したところで気になり続けることは変わらないのですが。
書斎のドアをパタンと閉じて、あたしはハアッと1つ深呼吸をしました。
あんまり気にするのは辞めよう!
なるべく・・・普段(いつも)通りに・・・!
100パーセント気にしないようにするのは無理ですが、あたしは気持ちを切り替える努力をしようと決めました。
いつも通りに夕飯の仕度をして、夫の帰宅を待ちます。
夫が仕事から帰ってきても、本当にいつも通りに迎えました。
「おかえりなさい。」
「・・・あぁ、ただいま。」
何も知らない夫は、ユキを抱いて玄関で出迎えたあたし達に穏やかな笑顔を向けてくれました。
あたしには・・・彼らしい落ち着きのある笑顔。
それからユキには、少しフニャリとしたあどけない笑顔を・・・。
洗面所で手洗いとうがいを済ませ、ユキと一緒に入浴・・・最近の生活のリズム通りです。
時期的に仕事量が落ち着いている今(夏季)は、帰宅時間が早めの夫。
帰宅してからユキと入浴するのを楽しみにしてくれています。
本当はお風呂で寛いでもらいたいなとも思うのですが・・・夫が息子をお風呂に入れてくれるのはあたしとしてもすごく助かるのです。
ユキの入浴を2人で協力して済ませてしまい、夕食を共に食べるのが今のあたし達の生活パターンになっています。
夕食を終えて、あたしはサラリと言うことを気遣いながら夫に言いました。
「あ、あなた宛に手紙が来とったよ。書斎の机の上に置いとるけん。」
「おー、サンキュ。」
明るい声でそう返事した夫。
一方のあたしは・・・ここでもまたフウッと1つ大きく息をつきました。
よかった・・・なんとか・・・普通に言えたかな・・・?
夫は・・・タカは
あの手紙を見て、何を思うんだろう?
どんな気持ちで封を開けるんだろう?
そして・・・中の手紙は・・・何が書かれているんだろう?
そんな数々の「?」(クエスチョン)があたしの中をぐるぐると回っていました。
つづきます。
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