※何十年も前の教習所での話です
荷物の積み下ろしをするために、工場などの狭い狭い入り口に車庫入れするようなトラックを見ていると「うまいなぁ」と感動
普通車の車庫入れや縦列ですら苦労している私には、トラック運転手は神様のような存在でした
30代のある年、私は実家の都合で海外から一時帰国して数か月を日本で過ごさなくてはならなくなりました。用事以外は基本的に暇で、しかも一時帰国中はお金の管理もごちゃごちゃです
時間の余裕とお金の余裕
こ、これはチャンス?
私は教習所へと向かい、ずっと憧れだった大型免許を申し込みました
トラックは直線を走る時は、ただ後ろが長いだけで、普通車と同じですが、交差点で曲がる時は内輪差がすごいので、普通車の感覚でハンドルを切ると思いっきり脱輪する事になります
教習所内の狭い信号で曲がる時は、おいおい、どこまでつっこむねんというくらい交差点に突っ込んで、そこからおもむろに、おりゃ~という感じでハンドルを切ります
そこに信号待ちの車やバイクなどがいる時は、あたるあたるぅ~という思いから、ついつい早めにハンドルを切ってしまい「後ろ落ちとるがなっ!」と教官からどなられるはめに (ダブルタイヤなのでホントには落ちません。外側のタイヤだけなので気付かない)
12時間の教習後、仮免許が取れるとそのあとは10時間の路上教習がありました
トラックの路上
仮免許つきのトラック
運転してる私もたいがい怖いですが、教官や周りの車はもっと怖かったでしょうね。それにしても、運転台が高いと見通しが利くし、何といっても優越感に浸れて気持ちのいい事。トラック路上教習は怖くて、そしてとても楽しかったなー
ある時の教習で、教官が私の教習原簿を見て、
「本籍、兵庫なん?」と聞いてきました
「はい、夫の本籍がそこだったので」
「で、今は大阪にいるの?」
「えぇ。今は実家に帰ってるんです(一時帰国で)」
「ふ~ん」
で会話が途切れ、ぽつりと
「がんばりや・・」
(はいはい、頑張って卒業しますよ~)とその時は運転に必死だったのでわかりませんでしたが、後でなんか変な雰囲気だったなぁと。もしかすると訳ありで手に職つけないといけない女だと思われていたのかも?
また別の教官は 「何でトラックの免許なんかいるん? マニアか?」と鋭い所をついてきます。どう答えるかなぁと思っていると、
「そんなわけないわな。こんな金かけて」
と一人でつぶやいていました。まあほとんどマニアというのが当たってるんですけど
さて、10時間の路上も無事終わり、卒検を受ける事になりました(卒検は路上ではなく教習所内のみの試験)
大型を受験する人はやはりおっちゃんたちが多かったんですが、さんざん車運転しているような人たちが、「あ~、めっちゃ緊張しまんなぁ」とお互いに話してる様が笑えました
卒検では縦列か車庫入れのどちらかなんですが、苦手な縦列のほうにに当たってしまいました。車体がきちんと線の中に入ってから、ギアをニュートラルに入れサイドブレーキをひいて、「駐車完了!!」と告げる事になっているのですが、線ぎりぎりに停めてしまったので(これはやりなおしかも・・?)という自信の無さから、「ちゅっ、駐車、完了??」と疑問文になってしまいました
なんとか入っていたみたいで、卒業検定も無事合格し、次はいよいよ大型特殊の免許をとることになりました
続く