「香りの記憶」  新潮社編


85人の有識者の香りのエッセイがまとめてあります。



その中の村松友視氏の文の中に匂いガラスのことがでてきます。


 「子供のころ、においガラスを拾うと宝物のようにポケットに入れて歩いた。・・・洋服でこすって鼻先に持ってゆき、匂いを嗅ぐ・・・匂いガラスは洋服地との摩擦熱によって奇妙に甘い匂いを発した。・・・〝甘さ〟というのは贅沢きわまりない世界だった」


私と同じような香り体験の話です。

飛行機の防弾ガラスとも言われていたものが、捨てられていた場所があり、そこで拾ったガラスの欠片を大切にしていたことがあります。

それから何年かして、ある時友達が傘の柄の部分(その頃出始めた折りたたみの傘だったと思う)を渡してきて「この匂い・・」と。柄の部分を回して外す時、熱せられた柄が匂っていたのです。

私はその匂いを嗅ぎ、「あぁ~・・・」何も言わないでも、その甘い香りはその時代の風景、光、風を思い出させたのでした。


これが「プルースト効果」


フランスの小説家マルセル・プルーストの小説

「失われた時を求めて」

 主人公がマドレーヌを紅茶に浸した時、その香りが引き金になっ て、幼いころの記憶が鮮やかに蘇るという描写にちなんで、香りをきっかけとして記憶が呼び起こされることを「プルースト効果」を呼びます。


これが私の嗅覚の不思議さを感じた始めての出来事でした。