くろ:きみのようなひとだらけなら、
ぼくたちもきっとたのしくいきられるとおもうよ
なんだよコイツ、なかなか良い奴じゃねえか
男:そうかもね。じゃあ暇だしお前の半生でも語ってよ
それから俺らは毎日のように話し込んだ
お互い夜型生活らしく、チャットできるのも太陽が沈んでいる間だ
最初に全身黒と聞いてもしやと思ったが、想像以上に気が合うようだ
見た目のせいだけで虐められ続けてきたこと
父親も母親もいないこと
なにより友達が0なこと
聞けば聞くほど俺にそっくりだ
気がつけば俺らはすっかり仲良くなっていた
男:本当俺ら気が合うなwwこんな気が合う奴初めてだわww
くろ:そうだねー。でもきみにはたくさんともだちがいるんじゃないの?
男:それな、嘘だ
くろ:しってるよー
男:てめぇwww
人生で初めて友達ができた
俺はこんな平和な時間がずっと続くと思っていた
しかし、それはたった一言で崩壊してしまうのだった
俺にとっては些細な悪口でしかなかった
だが、彼にとってそれはとてつもなく傷つく言葉だったのだ――
――12月24日
時刻は22時を回っていた
男:くろー?おるかー?
男「ハハッ。性の6時間にネットの男とチャットとはね・・・」
くろ:いるよー
男:今日何してた?
くろ:きょうはこうえんいったよー
さすがはわが友!行動が同じとはやはり気が合うな
男:おお!俺もさっき近所の公園行ったんだよ!
くろ:ぼくもさっきだよ!おんなじだねー
男:まぁ場所は違うけどなww
雪に足跡つけるの楽しくて走り回っちゃったよww
くろ:ぼくもだよー。あしつめたいけどたのしいよね
男:俺の近所の公園は結構広いんだけどさー、
行ったとき俺しかいなくてめっちゃ気分よかったww
くろ:あそこのこうえんひろいよねー。ぼくもおきにいり
何かおかしい・・・
コイツは何を言ってるのだろうか
あそこの公園って俺の行った公園か?
いや、でも俺以外いなかったはず・・・
男:お前の言ってる公園ってどんな公園だ?
くろ:じつはぼくきみのこうえんにいたんだよ
男:は?
くろ:だからぼくもそこにいたの。
ちょっとはなれてたけどいっしょにはしりまわってたんだよ
あの公園にコイツがいただと?
確かに暗くてよく見えなかったが・・・いや、でもそんなわけない
あの公園は俺1人の貸切だったはずだ
それよりもコイツの態度が気に入らない
コイツは俺を知ってるのに、俺はコイツを知らないままってか
くろ:すっごくたのしかったねー
男:おいふざけんな!なんだよそれ!
くろ:え?
男:近くにいたなら堂々と出てこいよ!気味悪いだろうが!
・・・・・・
いつもは1分経たず返ってくるのに、今回は10分経っても返事がない
男「怒ったのか?まぁこれで次から出てくるだろ。
さて、風呂にでも入るか」
風呂に入ってる間、少しくろのことを考えた
気味悪いはちょっと言い過ぎだったかもしれない
お互い友達0、虐められっこという似たもの同士だ
くろは俺と本当の友達になりたかっただけなのだ
直接会うのが恥ずかしかっただけかもしれないのに・・・
男「・・・・・」
俺は急に罪悪感にかられ、風呂を飛び出しパソコンに向かった
男:すまん、ちょっと言い過ぎた。さっきの無し
・・・・・・
やはり返事がない
男:おい、どうした?怒ってるのか?
くろ:・・・ごめん。このやりとりもきょうでおしまい
どうやらさっきのことを結構気にしているようだ
ここは素直に謝っておくべきだろうか
男:さっきのはホントごめん!明日また一緒に雪の上走りまわろうぜ!
男:直接会うのが恥ずかしいなら俺が探してやるよ!
くろ:そうじゃない。くるまにひかれた
車に轢かれた?そんな嘘をついてまで
俺とのやりとりを終わりにしたいってか
男:嘘つけよwwじゃあなんでお前書き込めてんだよww
くろ:ぼくはね、きみとこうしてはなしできるだけでもうれしいんだ
くろ:でもね、もうだめなんだよ。からだがうごかないの
くろ:まわりをよくみてなかったぼくがわるいんだよ。
きみはなにもわるくないよ
続く。
BOØWY MERRY BLUE X'MAS