山が大好きな二十代のある男性が、
仕事でとれなかった溜まった休みをまとめて
一人で登山に行きました。
途中の山小屋で一夜を過ごすことにし、
暗くなる前に山小屋に入りました。
山小屋の管理人のおじさんがとてもいい人で、
山の幸を使った料理とお酒でもてなしてくれました。
就寝前にトイレに行こうとすると、おじさんが
「ここの便所には『神さん』がおる。
すまんがトイレに入ってから出るまで
ずっと便器の中にいる『神さん』を見ててくれ。
それがここの風習なんだ。」
と言う。
男性は管理人のおじさんに言われた通りにして
用を足しました。
「本当に『神さま』なんかいるんかね・・・」
深夜、就寝していると酒を飲みすぎたのか、
男性はまたトイレに行きたくなりました。
また便器の中を見ながら用を足しているとき、
ふと、用をし終えた満足感から視線を
『神さん』から外し、上を見上げると
そこに女の顔が浮いていた。

大映「妖怪百物語」から「ろくろ首(置いてけ堀)」
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