【怖い話】車に憑いていたもの | Let's easily go!気楽に☆行こう!

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映画、写真、B級グルメ、格闘技、そして少しばかり日常を語る雑記帳です。


かなり昔、僕(hiko)の弟(実弟)の元に後輩から電話が入りました。

「(トヨタの)HILUX SURFが納車されたんで

これから慣らし(運転)なんですけど、

(一緒に)行きませんか」

OKの返事をした弟は、車に乗せられると

富士山のほうにある林道に向かいました。

その後輩は、道を知ってか知らずか、

どんどん真夜中の林道を進んで行ったそうです。

チラチラ雪が降ってきたそうです。

弟「おい、戻れ」

後輩「大丈夫です。もうじきUターンできる場所にでますから」

どんどん進んでいくと、道がさらに狭くなってきたそうです。

弟「おい、どこまで行くんだ」

後輩「いえ・・・あの、Uターンする場所が・・・なくて」


hiko「フムフム。で、どうした?」

弟「だから俺、雪が降っている中を、

ずう~~~っと車のバックの誘導をやったよ!

あれだけ戻れって言ったのに」



以上、実話でした。


さて、それでは本日のお話に入らせていただきます。










ある日曜日、早朝友人のBからの電話で俺は目を覚ました。

電話にでるといきなりBは、「これからドライブしねー。」

何なんだこいつは、そう思いながら「何だよいきなり」

するとBは嬉しそうに「新車が届いてさ、慣らしがしてーんだ。」

俺も新車と聞いて見てみたい衝動に

かられて、ついついOKをだした。



1時間もたたないうちにBは到着した。

焦って準備をすませ、Bの待つ空き地に着くと

そこには真っ赤なプレリュードが止まっていた。

「すごい形だな」言う気はなかったのだが、

つい口が滑ってしまった。

しかしBは良いほうに受け取ったらしく、照れていた。

俺とBは立ち話も程々にして、車に乗り込み

行き先を検討し始めた。

Bの希望もあり、行き先は長野に決定。



15分程走り、中央高速に乗っかった。

外見と違い乗り心地はすこぶるいい、

それから俺は駄目だろうなとは思いつつBに聞いた。

「もちろん禁煙だよね。」

即答で「吸ったら殺す」

俺は笑いながら、へいへいとうなずいた。



高速に乗ること3時間半、やっとの思いで長野市内に

到着し、昼飯をすませ、かるく市内観光をした。

善光寺をまわった頃には、4時を過ぎており

そろそろ帰ろうという事になり、車に向かった。


帰りは下道を使う事にしたのだが、この辺は

二人とも土地勘が無いために、地図を見ながら

帰る事にした。

1時間程走り、わりと新しめの道路へと出た。


すると新しい道を走りだしてすぐに、奇妙な事が起こり始めた。

地図を眺めていると、小さな声で「おーい」

俺はてっきりBだと思い、Bに「なに?」と聞いた。

Bは「なにが?」と逆に聞いてきたので、空耳かと

思い「気のせいみたい」そう答えると、今度は逆にBが

「なんだよ」と聞いてきた。

「なんも言ってねーぞ」俺はそう答えると、

Bが首を傾げていた。

二人で黙ると今度は、わりと大きな声で

「おーい」

俺達二人は同時に「聞こえたよな」



俺は気味が悪くなり、Bにバックミラーで後ろを

確認してくれと頼んだ。Bは嫌々ながらも確認し

「なにもいねーぞ」と言った。

俺は後ろを振り返り、自分の目で確認したのだが

なにもいない、でも聞こえたよなと、Bと話していると

「おーい、ここだよっ」

Bはスピードを緩め、二人で声の方を確認した。

全開にしているサンルーフに目をやると

男がしがみつきながら、「ここだよっ」と笑っていた。

それを見た二人は大声を上げ、Bはアクセルを

全開にしながら、サンルーフのボタンを押していた。

驚きのあまりしばらくは黙っていたが、Bはまったく

スピードを落とす気配が無かったため、声をかけ

スピードを落とすように促した。



しばらく走り二人とも落ち着いて話し始めた。

子供のような小さな声で、「あれはねーよな」などと話している内に

燃料が切れそうなのに気づいて、通りのスタンドに

車を入れ、ついでに飲み物でも買おうと二人で

車外に出て、ふとサンルーフに目をやると

10本のひっかぎ傷ができていた。

それを見たBは、「せめて手形にしてくれよ」と

うなだれていた。


帰りのプレリュードは喫煙車にかわっていた。





ドライブから1ヶ月が経過した頃、Bから電話があり

話があるから会いたいという。

断る理由もないので、俺はOKをだした。

9時頃着くから駅まで迎えに来てくれと頼まれて

おかしいなとは思いながら、俺は車で駅に向かった。



駅でBを拾い、「歩きなんて珍しいな」そうBに聞くと

Bは一枚の葉書を見せながら「免停」それを

聞いて俺は笑い出してしまった。


部屋に付いて、詳しく聞いてみると、オービスで

やられたらしい、39kオーバーだそうだ。



Bによると、そこにオービスがあるのは

前から知っていたため、そこでは必ずスピードを

落としていたのだが、その日は何故か

ボケッとしていたらしい、本人は妙な感じに

なっていたと言うが。


オービスの前を通過した瞬間、赤い閃光が走り

その光でBは、我に返ったらしい。




それから2週間ほどたち、出頭命令の葉書が届き、

呼び出しに応じて、今日出頭したそうだ。

否定する材料もないので、全て「はいはい」で

済ませるつもりでいたのだが、

「これがその時の写真です」

そう言われて1枚のコピーを見せられ

「なんだこれ」と思ったらしい。


一人で乗っていたはずなのに、隣に誰かがいる。

それも見た事もない女。

Bは確かにスピード違反はしたがその時は

一人だったと警察官に主張した。

そう言われた警察官は、あっさりと

「彼女がいっぱいいると大変だね」と笑い飛ばされたらしい。

どんなに写真を見ても思い出せない。

Bは焦りながら何度も写真を見直したそうだ。



それを聞いて俺は「ほんとに誰も乗せて無かったのか」

と尋ねたが、Bは乗せてないの一点張りだった。

Bにどんな風に写っていたのかを聞いてみた。

Bによるとその女は、じっとBを見つめていたらしい。

しばらくしてBはつぶやいた「心霊写真かな」

それを聞いて俺は「それしかねーよな」

そう答えるしかなかった。



Bはあの車がいけないのかもしれないと言い始め

俺は「新車だからそれはないよ」となだめた。

するとBは俺を見ながら「今からお前の車で試さないか」

と言われたが、俺は丁重に断った。




免停も終えたBはその日、仕事で都内隅田川沿いに建つ

マンションの完成予備検査で、指摘された箇所の補修のため

後輩を乗せ、マンションに向かった。


Bの仕事は電気工事の代理人で、補修といっても

電球の球を交換する程度のものだったらしい。

現場につき、塗装屋の車の隣にプレリュードを入れ

作業に取りかかった。

そのマンションは20階建て以上で、

2棟が連なるタイプだった。


車を止めた側の、反対に位置する棟から作業を始めたらしい。

30分程たって作業を終えた部屋から出てくると

外が救急車の音で騒がしくなっており、

それが隣の棟であることに気づいたBは、

後輩と共に隣の棟に急いだ。



駐車場に向かうと、工事関係者で人だかりができよく見えない。

後ろにいた関係者に聞いたところ塗装屋さんが、

19階の廊下の補修中に、バランスを崩し転落したのだそうだ。

ほぼ即死だったらしい。



それから救急車が出ていき、転落場所が気になったBは、

人をかきわけ前にでるとそこには

無惨な形のプレリュードの姿があった。

屋根は無惨な形にへこみ、フロントガラスの部分には

大量の血が流れていた。

Bはその場にへたり込み、思わず「塗装屋さん

せめてもう少し横だろ」

そうつぶやいたらしい。

気持ちはよくわかる。

そのときBは気がついた。

車の屋根に塗装屋さんが落ちた衝撃でできた手形が、

以前俺と長野にドライブしたときに出来た引っ掻き傷を見て

Bが「せめて手形にしてくれよ」

と言った場所であったことを。




Bは知り合いの、修理工にプレリュードを売り渡した。

俺達はてっきり廃車だと思っていたのだが・・・


今そのプレリュードは白に生まれ変わり、

都内の中古車屋に流れたそうだ。

この車は次のオーナーに、どんな奇妙な現象を

もたらすのだろ。




<車に憑いていたもの 終わり>