現代に現れた吸血鬼・・・その名は『鷲巣巌』 | Let's easily go!気楽に☆行こう!

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昭和40年夏、8月2日

東京多摩地区のはずれ、T市。

そのT市の市役所森林管理課、浅沼孝一。

彼はこの日深夜2時、

この山深い山道を秋川方面へ向かい

車を走らせていた。

友人の送別会の流れでしたたか飲み、

こんな時間になってしまったのだ。

無論、家へと向かう道中、帰路・・・であった。

車の外は相変わらず激しく雨が降り続いている・・・。



崖沿いの車で走っていると、

ピカッ

山間部の一ヶ所から光が見えた。


その光の源はそう遠く感じなかった。

近いな・・・。

浅田は車をその光源の方向に走らせ、

車で近づけられるギリギリまで進め、

行き止まりになったところで

車を降りた。


するとゴソゴソと物音がする。

明らかに人がいる。

瞬間、浅田は、

「またか・・・」

と思った。

最近この山道の脇や少し登った辺りに

無断で不法投棄が頻発していた。

つまり大型の粗大ゴミや、もう使えぬガラクタを

勝手に棄てる輩(やから)が続出していたのだ。


「くそったれが・・・!」


浅沼は車から懐中電灯を取り出し、

山を登り始めた。

市役所の森林管理課に勤める浅沼は

こういう輩が棄てたゴミの後始末も仕事のひとつで、

それはバカにならない労力だった。

汚汁にまみれた大型のゴミを担ぎ、移動させなければならないのだ。

夏の暑い盛りなど、それは泣きたくなるような作業だった。


「いつか現場を押さえたてやりたい」


その気持ちは浅沼の心中に常にあった。



途中から浅沼は相手に気づかれないように、懐中電灯の光を消して近づいた。

光源に近づくと確かに人の気配があった。

人数は二人のようだ。

穴でも掘っているのか、地面に何かをしている。

柔道有段者で身長180センチを超える体格の浅沼は酔いも手伝い、

怖さより、日ごろたまったうっぷんが一気に吹き上がってきた。

「害虫めっ・・・」

浅沼はその場にいる二人に気づかれないように

さらに近づき、すぐそばまできたところで

いきなり大声をあげた。

「こらーっ!何をしとるかっ!」


浅沼は、いきなり懐中電灯を点け、二人のほうに光を向けると、

そこにいたのは暗い色の合羽に身を包んだ男が二人。

二人はフードを深く被りこみ、顔の様子はうかがえない。

二人はとも手にスコップを持っていた。

浅沼の声に驚いた二人は固まってしまった。

浅沼は、状況を把握すべく、素早く懐中電の光を

二人の足元に移した。すると、

そこには地中から血の気のない「人の両手」が

まるで地面から生えたかのように突き出ていた。

二人は穴を掘り、死体を埋めて、今まさに

掘った土で埋め戻している最中だったのだ。


「ひいぃっ・・・!


浅沼が大きな声で悲鳴をあげると

二人組はスコップを投げ捨てると浅沼を突き飛ばすようにして

その場を走り去りさった。


「ひぃ・・・うああぁぁ・・・!

地面から突き出た血の気の無い腕の前で

浅沼は声にならない悲鳴をあげ続け、

ただ、頭を抱えてうずくまるだけだった・・・。






これがこの猟奇事件・・・

狂った怪物(モンスター)の暴走が

発覚するきっかけとなった。




浅沼の通報により、

朝には警察が駆けつけ現場検証が行われた。

埋められていた男に

これといった外傷は見当たらず、

その場での死因等の特定はお手上げ。

詳しいことは後の検死、司法解剖にゆだねられ、

数日後にその驚愕の結果が明らかにされた。


死亡推定時刻は死体が見つかった8時間前・・・。

前日の午後6時近辺であった。

死因は出欠多量によるショック死。


ここまではいい・・・。

問題なのは、その出血した部位であった。

どこから出血したのかが分からないのだ。


この遺体には死に至るほどの大出血を物語る、

そんな外傷・傷跡のかけらもないのだ。


唯一気になる点といえば、被害者の左腕の前腕部に

注射痕のような傷があったこと。

これだけだった・・・。

後はどんなに、この遺体を引っくり廻し、

それこそ肛門の中、体の内部まで調べ上げても

それらしい出血部位は見つけられなかった。

結局・・・2日後。

二人の解剖医はこう結論した。


『この被害者である若者の死因は出血多量によるショック死である。

そして、出血部位は左前腕部。

自殺か他殺か、あるいはなんらかの医療行為における

事故か分からないが、この被害者は、注射器のような物で

左前腕部から大量に血を吸い上げられ、死に至った。』



まさに怪死

驚くべき報告・・・。

しかし、この検死結果は公には発表されず、伏せられた。

内容もさることながら、まだ不確定要素が多いと判断されたためである。

しかし、厳重に伏せられたのだが、この手の怪情報に戸はたてられない。

一部マスコミが嗅ぎつけ、報道した。

新聞の見出しは、ここ数ヶ月続いていた若者の失踪事件と結びつけ、

「吸血鬼、現る!」と。








戦後の日本を裏から支配し巨万の富を築いた『闇の帝王』と

呼ばれた男がいた。

鷲巣巌(わしず いわお)。

卓越した先見性と頭脳、そして神懸かり的な「剛運」をもつ。

別名“昭和の怪物”。

戦前は内務省の官僚で特高に携わったが、

ミッドウェー海戦を機に日本の敗戦を予見し退職。

敗戦による日本の有り様を目の当りにしその後の人生を勝ちと定め覚醒する。

戦後経営コンサルタント会社「共生」を設立、

内務省時代に掴んだコネやスキャンダルを駆使して

戦後の日本復興に多大な功績を残し、ともに巨財と絶対的な権力を築き上げ、

国家を闇から牛耳る「王」となった男である。


全てを手に入れた成功者も、この昭和40年で75歳になっていた。

彼のプロフィールを読んでお分りのように、鷲巣巌は他者にない

強運を持ち合わせているが、それは鷲巣の趣味であるマージャンでも

いかんなく発揮された。

しかし、鷲巣巌のマージャンは強すぎた・・・。敵は皆無であった。

そこで鷲巣巌はあるスリルを味わうことを目的とし、

「鷲巣麻雀」という独特のルールを加えたマージャンで

若者と半チャンを6回対戦し、1回戦ごとに清算を繰り返し

若者が全て勝てば、2000万円(当時のレートで約2億円)を

手に入れるが、それに見合う対価が払えない若者側は、金銭のかわりに

採血針を自分の腕に刺した状態で対局をはじめ、

負けるごとに自分の血をどんどん抜かれていくのである。

そして「鷲巣麻雀」最大のポイントは、麻雀牌の背中側の

ほとんどがガラスで出来ているため、相手側に自分の手牌を

晒すことになるのだ。自分の待ちを相手に知られ、また

どの牌を捨てたら有効かがわかるものの、逆に

捨てられる牌がなくなった場合、精神的に追い込まれるのだ。

なぜなら負けることは、若者側にとって

全身から血を抜かれ、「死ぬ」ことになるからだ・・・。



悪魔じみた発想の「鷲巣麻雀」だったが、連勝を続けたため

その死体の遺棄にあたり、捜査当局の手が鷲巣に迫っていることを知り、

鷲巣はいったん日本国外へ避難することを決めた。


しかし、その国外へ向けて出発する直前に

鷲巣のもとに一本の連絡が入る。

ひとり、鷲巣巌を倒せる若者がいる。

その若者が鷲巣巌との対局を願っている、と。

ならば・・・鷲巣巌は日本脱出の「最後の晩餐」に

その若者を生贄として『食ってやろう・・・・』。

鷲巣巌は仲介人に連絡し、その若者との対決を受託した。

日本から出る前に「最高の愉悦」をもう一度味わうべく。





赤木しげるは年齢は二十歳あたりの青年だが、

麻雀・その他ギャンブルの天才。

若年ではあるが、数々の修羅場をくぐり抜けていき、

1958年で13歳のとき、生まれて初めて行ったマージャンで

裏社会の麻雀で勝利を収め、その後も数々の裏プロたちを撃破。

才気・精神性・運量、その全てが常軌を逸しており

「悪魔」と比喩され、相手を呑み込むその打ち筋は

「闇」、「ブラックホール」と銘打たれた。




仲介人の安岡と仰木の二人は、「闇に降り立った天才」アカギに

表向きは「世に巣食う大怪物」鷲巣巌を止めるためと称するものの

実際は鷲巣巌を倒して大金を手にしようと企んでいたのだ。




仲介人の安岡はアカギを説得していた。

「アカギ・・・!狩れっ!

もう何人もの若者が、この老人の愉悦のために

命懸けのギャンブルを強いられ、殺されている。

・・・たぶん、もう5人か6人かは・・・。

分かるか?アカギ!

今回は単なる金儲けじゃないんだ。

人喰いドラを殺すことと同じ・・・。

狩りだ・・・!

この怪物(モンスター)の暴走を止められるのは

お前だけ・・・!」




かくして「大怪物」鷲巣巌と「悪魔」アカギの

雀卓という舞台で、命と全財産を賭けた

かつてない死闘が始まろうとしていた。



Let's easily go!気楽に☆行こう!
Let's easily go!気楽に☆行こう!





まだだよ…まだ終っていない…

まだまだ終わらせない…!地獄の淵が見えるまで

限度いっぱいまでいく…!

どちらかが完全に倒れるまで……

勝負の後は骨も残さない………!

(赤木しげる)






<現代に現れた吸血鬼・・・その名は『鷲巣巌』 終わり>


※福本伸行・作「闇の降り立った天才 アカギ」より。











麻雀ができないのに、僕(hiko)はこの「アカギ」の

単行本を持っています。


一応、麻雀の基本だけは知っています。

頭をそろえて(同じ牌を2つ揃える)、あとは3個3個揃える・・・

とゆーのぐらいは知ってますよーだ!

指を折って数えることはできません。



そんな僕でもこの「アカギ」はハマった!

凄く深いです。





麻雀漫画のヒーロー二人、赤木しげると阿佐田哲也が

ガチでやったら、どうなる!?






アカギvs哲也

















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