都市伝説vol.59【昔田舎で起こった恐ろしい話】〔閲覧注意〕3(※再掲載) | Let's easily go!気楽に☆行こう!

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A「誰に聞いたんだ…?」

B「□□(別地域)の奴に。いわくつきの家らしいよ。」

A「面白そうだな。」

B「だろ?今から行ってみようぜ!」

AB兄弟はノリノリだったが、年少者で臆病なCは尻込みしていた。

B「Cはビビリだなwお前夜小便行けなくて寝小便が直らないらしいなw」

C「そんなことないよ!」

B「やーいビビリwおい、Cはビビリだから置いてこうぜw」

C「俺も行くよ!」

俺たち4人はわいわい騒ぎながら県道を峠方向に歩いていった。



集落から歩いて10分。

製材所や牛舎を抜けると、山側に大きな墓地がある。

そこからさらに5分程歩くと、

Bが言う「鎖の道」が右手にあった。

車に乗ってたらまず気付かないであろう、

幅2m程藪が薄くなっているところを覗くと、

5m先に小さな鉄柱が2本あり、

ダランとした鎖が道を塞いでいる。

鎖を跨ぎ、轍が消えかけ苔と雑草だらけの砂利道を少し歩くと、

道は徐々に右へとカーブしていく。

鬱蒼とした木々に囲まれて薄暗いカーブを曲がっていくと、

緑のトンネルの先からひときわ明るい光がさしこんでいた。

そこで川にぶつかり、道は途切れた。

今居る道の対岸にも、森の中にポツンと

緑のトンネルのような道が見える。

対岸まではせいぜい10~15mぐらい。

川幅ギリギリまで木々が生えてるため左右の見通しは利かない。

足元には橋台の跡と思われるコンクリートの塊があった。


A「やっぱ行き止まりじゃねーか」

B「まぁ待ってよ。ほら、コレ橋の跡でしょ?

あっち(対岸)にも道があるし。」

A「ほんとだ」

B「戻ろうぜ。旧道の目印も聞いてあるからさ。」

そこから引き返してカーブを曲がっていくと、

カーブの付け根あたりでBが道の脇を指差した。

B「ほらこの石。これが旧道の分岐だ」

人の頭ぐらいの大きさの、

平べったい石が2つ並んで落ちていた。

ひとつは中心がすこし窪んでいて、

B曰く昔はここに地蔵があったんだとか。


県道方面から見てカーブの入り口を左側、

濃い藪が広がってるなかで

確かに藪が薄い一本のラインが見える。

藪の中は緩い土がヌタヌタと不快な感触だが、

このライン上は心なしか踏み固められているように思えた。

藪を掻き分け、笹で手を切りながら進んでいくと、川に出た。

B「ほれ、橋だw」

Bがニヤケながら指差したのは、古びた吊り橋だった。

A「橋ってこれかよw行けるか?これw」

B「ホラ、結構丈夫だし行けるだろw」

まずはBが先陣を切って吊り橋を渡りはじめた。

ギギギギと嫌な音はするけど、見た目よりは丈夫そうだ。

Cは泣きそうな顔をしていた。

いっぺんに吊り橋を渡って橋が落ちたら洒落にならないので、

一人ずつ順番に対岸まで渡ることになった。

一番ノリノリのBが渡り終えると、次にA、

そして俺が渡り終えて最後に残ったCを呼ぶが、

モジモジしてなかなか渡ろうとしない。

B「おいC!何怖がってんだよ!大丈夫だよ俺らが渡れたんだから

一番チビなお前が渡っても橋が落ちることはねーよ!w」

対岸からあーだこーだとけしかけて、

5分近く掛かってようやくCも渡ってきた。

涙で顔をグショグショにしたCの頭を、

笑いながらBがグシャグシャと撫でていた。


橋までの道と同じような藪が少し薄いだけという、

獣道にも劣る旧道を2~3分程歩くと、

右手から苔と雑草だらけの砂利道が合流してきた。

流された橋の先にあった車道だろう。

そこから100m程だろうか、

クネクネとS字カーブを曲がっていくと、

広場のような場所に出て2軒の家があった。

元々は他にも数軒家があった形跡があり、

奥にはすぐ山肌が迫っていた。

家があったと思われる場所は空き地になってる為、

鬱蒼とした森の中でかなり広いスカスカな空間が不気味だった。

2軒の家は平屋建てで、道を挟んで向かい合うように建っている。

どちらも明らかに廃屋で、左手の家には小さな物置があった。


広場の入り口には風化して顔の凹凸が

なくなりつつある古い地蔵があったが、

何故か赤茶けていた。

AB兄弟はすげーすげーと興奮してたが、

俺とCは怖くなってしまい、黙り込んでいた。

Cはキョロキョロしながら怯えている。

どちらの家も玄関の引き戸や窓は

木の板を×印の形に打ち付けて封鎖されていた。

B「どっかから入れないかな」

AB兄弟は家の周りをグルグル眺め回していた。

とても帰ろうなんて言える雰囲気ではないが、

Cは小声で「もう帰りたい…」と呟いていた。

物置がある家の裏手からBがオーイ!と声をあげた。

皆でBの声のする方に言ってみると、

裏手のドアは鍵が閉めてあるだけで、

木の板は打ち付けられていなかった。

B「兄貴、一緒にコイツを引っ張ってくれよ」

Aはニヤリと笑ってBと二人でドアノブを引っ張りはじめた。

C「ダメだよ、壊れちゃうよ!」

B「誰も住んでないんだから、いいだろw」

せーの!と掛け声をかけながら

AB兄弟は力いっぱいドアノブを引っ張った。






続く

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