この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、
あたしのところに来なさい。以上。」(涼宮ハルヒ)

俺はいまベッドで安らぎのひと時を過ごしている。
例の幽霊騒動からしばらくが経ち、今日は4月1日。
ふと時計を見る。8時半。やべぇ、また俺の財布が縮む。
なぜかって?昨日ハルヒが突然電話をしてきて、こんな事をほざいていたからだ。
「明日、いつもの駅前集合!朝9時ね!」
そういって一方的に電話を切っていた。俺はベッドからさっそうと飛び降り、
駅前へと自転車を走らせた。
やばい、もう8時52分。こりゃおごりは決まりだな。
新しくできた駐輪場に自転車を止め、駅の北口へと急いだ。
案の定、俺以外の4人はもう来ていた・・・と思ったら、ハルヒがいない。
古泉に聞いてみる。ハルヒはまだか?
「涼宮さんですか?まだ来てませんねぇ。」
というが、お前に演技力というものはないのか?顔がにやけっぱなしだ。
「おやおや、顔に出てしまいましたか。しかしねぇ。」
何かがあることはここまでくればどんなに鈍感なやつでも分かる。
よく見ると朝比奈さんも笑いをこらえているようだ。長門は相変わらず無表情だが。
そしてよく見ると全員の視点は俺の背後に集中している。
後ろを振り返ると、そこにはハルヒのお得意の怒り笑顔があった。
「遅い!罰金!」
おい、どういうことだ。俺はお前より先についたぞ。
「ふふふ、ばかねぇ。私のが先に来てたわよ。」
でも、さっき古泉が・・・。ふと見るとこいつも苦笑い。
「キョン、今日が何の日か、分からないの?」
俺はそういわれてやっと気づいた。4月1日、エイプリルフール。
「ようやく気づきましたか。僕の演技力にも、いよいよ磨きが掛かってきましたね。」
そういって0円スマイルを俺に向けてきた。貴様、殴るぞ。
「そういうことだから、今日もキョンのおごりね。」
ああ、俺の財布はおなかと背中がくっ付きそうだ。
というわけで、いつもの喫茶店。
今日も恒例の不思議探しツアーinエイプリルフールだそうだ。
ハルヒの楊枝のくじを引く。しるし付き。
今日の俺の相手は・・・ハルヒだった。
かくしてまた街中をぶらぶらするという恒例の散歩ツアーが開始された。
別れ際に古泉がこっちを見て意味ありげに微笑んでいたが、あえて気にしない。
ハルヒは終始ご機嫌で、時折意味もなくくだらない嘘をついてきた。
「あ!UFO!」
ははは、まさか、そんなガキみたいな手に俺が引っかかるわけないだろう?
といいつつも、俺は空を見上げて愕然とした。
なぜならそこに、UFOが浮かんでいたのだから。
そのとき、急に携帯が鳴り出した。相手は・・・古泉。
俺はハルヒにトイレに行くと断りをいれ、電話に出る。
「もしもし、俺だ。」
「おやおや、やけにあせっていらっしゃいますね。どうかしましたか?」
「どうもこうもない。突然俺たちの目の前にUFOが現れちまった。
まさか、これもハルヒが望んだからとか言うんじゃ・・・」
「フフフ・・・」
何だその笑いは。気味が悪い。
「いや失礼しました。そろそろその頃じゃないかと思ってあなたに電話したんですが。
ちょうどでしたね。」
「まるで初めから知っていたみたいな言い方だな。どういうことだ?」
「いや、そのUFOはヘリに張りぼてを貼っただけで、中で操縦しているのは
新川ですので・・・。」
「なに?」
「エイプリルフールですよ、エイプリルフール。」
まさか、ハルヒは知っていたのか?そうだよな、あいつならほんとに
UFOを見つけたらおおはしゃぎで中に乗り込むとかいうもんな。
少々手荒に、俺は電話を切った。
戻った俺をハルヒは、満面の笑みで迎え、
「電話の相手は古泉君でしょ?あんたも単純ね。」
とか言って来た。ああ、もう帰りたい。
やっと集合時間になって、俺たちはまた喫茶店で落ち合った。
「さすがに今日はキョンに言う嘘考えすぎて疲れたわ。解散!」
といって、ハルヒはチュゴゴゴとコーラフロートを飲み干した。
ああ、俺の財布が薄くなる。
帰ると俺の母までこの行事にのっとって、
「あなた、誰ですか?」
とか笑いながら言ってきた。いつぞやのハルヒがいなくなった日を思い出して
ゾクッとしたが、今日は4月バカだ。
すぐに家に迎え入れられ、そのまま倒れるようにベッドに寝転んだ。
もうすぐ2年生。クラスわけはどうなる事やら。
「涼宮ハルヒの憂鬱」とは、
平凡な男子高校生主人公キョン、彼の視点から女子高校生ヒロイン涼宮ハルヒと
団体「SOS団」(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団、Sekai wo Ooini
moriageru tameno Suzumiya haruhiの団→SOS団)での活動を中心に
さまざまな登場人物を描いたアニメです。
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