【SF短編】レイ・ブラッドベリの「夢魔」 | Let's easily go!気楽に☆行こう!

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宇宙飛行士レナードは宇宙船の故障で生物の居ない小惑星に不時着する。

6日後に救援が来ることになり、安心して眠りにつこうとした彼。

まどろみかけた瞬間に、彼の脳裏に「争い合う2つの声」が響く。

彼らは、かつてこの星に存在し、激しく争った二つの知性体だった。

既に肉体は滅びたが、その思念だけがこの星に残り続けていた。

彼らは、待っていたのだ。

再び闘うのに必要な「肉体」がやって来るのを。



2つの声は彼の脳裏で激しく争い、そして彼にこの肉体を明け渡せと迫る。

早く完全に寝てしまえ。そうすれば、この肉体は私のものだと。口々に。

2人いればよかったが、1人しかいないのならしょうがない。

この肉体を支配した方の勝ちだと。

危ういところで目覚めることができたレナード。

しかし、もう眠ることはできない。

眠ったが最後、この身体は彼らに乗っ取られる。

彼らは互いに占有権を得ようとして争い、この身体を引き裂いてしまうだろう。



レナードは救援隊が来るまでの6日間、一睡もせずに過ごさなければならなくなる。

意識は朦朧とし、少しでも気を抜くと彼らの勝ち誇った声が沸きあがって来る。

そんな地獄の6日間を耐え向き、レナードはついに救援隊を迎える。

「ざまあみろ!俺は自由だ!お前らから逃げ切ったんだ!」

そう叫んで救援隊に駆け寄り、一刻も早くこの星を出ようと言うレナード。

しかし救援隊員たちは笑って首を振る。

「そんなに急ぐことはないさ。君も疲れてるだろう。我々も長旅で疲れた。

 今夜一晩、揺れない大地の上でゆっくり休んで、明日発つとしよう」

レナードは半狂乱になって自分が置かれている状況を説明する。

救援隊員たちは彼が疲労で錯乱していると判断し、鎮静剤を投与する。

絶望的な唸りをあげてその場に崩れ落ちるレナード。

次の瞬間、彼の身体は激しく跳ね上がり、ものすごい唸り声を上げ、

泡を吹き、のたうち回り、宙をかきむしり、そして絶命する。

「かわいそうに。衰弱しきってたんだな」

と、救援隊員たちは彼の遺体を安置し、明朝の出立に備えて眠ることにする。

「よく眠れそうだ」「お休み」と言葉を交わしながら、「2人の」救援隊員は眠りにつく。










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【SF短編】レイ・ブラッドベリの「夢魔」・終わり

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