【怖い話】サウィン祭 | Let's easily go!気楽に☆行こう!

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677 :サウィン祭1/4:2012/10/12(金) 13:09:46.04 ID:C0JyzOg60

まだ先のことではありますが、多々話題にのぼるようになってきたハロウィーン。

その起源となる祭りでのお話をば。

たまには外国のものなどもよろしいかと存じます。



オカ板住人の皆様方には風習奇習、宗教的な祭りに詳しい方もおられるでしょうが、

北欧一帯を指す、いわゆるケルトの「サウィン祭」なるものをご存知でしょうか。

北欧にて11月始め、収穫祭であり厳しい冬と新しい年の始まりを謳い、

死者の国や妖精郷といった異界への扉が開かれる日。

などと小難しいことを書きましたが、ようはハロウィーンの源流となる

収穫祭のことでございます。



さて、このサウィン祭。10/30の夜から11/1の朝までというのが一般的ですが

11月に入り1日に一番近い満月の日に行うという説もございます。

日本のお盆と同じように先祖の霊が帰ってくると信じられ、お盆と違うのは

前述の通り異界への扉が開くため先祖の霊だけではなく、悪霊や精霊、妖精も

彷徨いだすというところ。そんな異郷と現世の境界が曖昧になる日、ある村でのおはなし。




678 :サウィン祭2/4:2012/10/12(金) 13:10:26.04 ID:C0JyzOg60

その村には変わり者の男がいたそうで。日がな一日、本を読んだり怪しげな道具や薬を

作ってすごし、時折思い出したように畑の世話をしていたそうでございます。

ドルイドでもなく、神に仕える司祭でもないこの男、変わり者ではあるものの狭量ではなく、

村人に知識を分け便利な道具を提供することで糊口をしのいでおりました。


そしてあるサウィン祭の夜。1年の終わりと始まりを隔てる最も大事な夜に

やはり男は祭りに参加することなく、家にこもっておりました。

取り寄せた書物を一心不乱で読みふけり、腹の虫が鳴ったのに気づいたのは

もうしばらくすれば夜が明ける頃合い。

祭りの日であることを思い出した男は、残り物の相伴に与ろうとちょっと散歩する程度の

気分で暖炉に火を入れたまま、冷え込みが厳しくなった夜道を歩き広場へと

向かいました。

家々は灯りが消され、寒さの厳しくなった村の夜は足元もよく見えず。

遠く広場からの騒ぎの声と一層暖かそうに見える魔除けの焚き火を目指して

変わり者は進みます。

首尾よく祭りの豪勢な食事を腹に詰め、もう終わりだからと村人に引き止められて、

夜明けまでを共にします。魔除けの焚き火の消火を見届けた男はそれ以上、

何かを言いつけられてはたまらないとばかりに、隠れて家路についたのでございました。




679 :サウィン祭3/4:2012/10/12(金) 13:11:03.83 ID:C0JyzOg60

暖炉に暖められた部屋に入ると一息つき、再び読書に励もうといつもの椅子に腰を落ち着け、

書を開きます。ところがどうにも集中できず、いつもなら絶対に気にならないはずの

細かいことにすぐ気が散ってしまう。

根を詰め、寝ていないところに腹も満たしたので仕方ないかと、

男は読書を諦め一眠りするかと立ち上がりました。


ふと視線を出入口のドアへ向けると、いつの間に入ってきたのか少女が一人、

顔を俯けて立っておりました。男は驚きのあまり腰を抜かしてへたり込んでしまいますが、

よく見ればその少女、服も顔も土埃で汚れております。

祭りから帰る途中に転んでしまい、近くにあった家に来たと考えた男は己の醜態に

照れつつ少女に詫びを入れ、手ぬぐいなどの用意をいたしました。

少女は扉の前から動かないまま。水に浸した手ぬぐいを渡そうと男は彼女に近づきます。

これを使うといい、そう言うと少女はようやく顔を上げたのでございます。

その顔を見た男は再び、驚きに硬直いたしました。

燃えるような赤い眼

少女はくしゃっと顔を歪めると想像を絶する大声で泣き喚いたのでございました。



680:サウィン祭4/4:2012/10/12(金) 13:13:09.05 ID:C0JyzOg60

突然、落雷のごとく響いてきた凄まじい泣き声に、祭りを無事に終えて

くつろいでいた村人たちは飛び上がって、急ぎ広場に集まりました。

「泣き女だ。泣き女が出たぞ」

皆、不安そうな顔で辺りを見回し、隣人と小さな声で会話をしておりました。

やがてこの場にあの変わり者だけがいないことに気がつくと、村の力自慢や

猟師である男たち数名が変わり者の家へと様子を見に行ったのでございます。

扉を開けると、そこには目を見開いて死んでいる変わり者の男がおりました……。



サウィン祭にはひとつ、行うべきしきたりがございます。

それは祭りの開始と同時に家の照明や暖炉の火を落として眠りにつかせ静けさを呼び込みます。

そして祭りの終わりに魔除けの焚き火から燃えさしを貰い、それを火種として

再び蝋燭や暖炉に火を与えるのでございます。その灯りと暖気が家を満たすことで

外の悪霊や妖精から、ひいてはこれから長く続く厳しい冬から

住人を護る結界を作るものでした。

それを怠った変わり者の男は、泣き女に死の国へと誘われることとなったのでございます。


  ~了~





681 :本当にあった怖い名無し:2012/10/12(金) 13:15:15.79 ID:C0JyzOg60

泣き女はバンシーと言ったほうが通りが良いでしょうか。

こちらのお話はよくある説の一つに過ぎません。

むしろバンシーは英雄など誉ある者の死に際にやって来るので、

転じて泣き女が出るのは名誉なことであるとされる向きもあるようです。

とりあえずは、皆様に僅かなりとも楽しんでいただけたのであったならば良いのですが。





693 :本当にあった怖い名無し:2012/10/12(金) 14:40:52.74 ID:JiBin7zi0

>>681
乙、こういう話は好きだ










◇バンシー Banshee/Bean-Sidhe

バンシーはアイルランドやスコットランドなどにいる妖精です。

なぜか女性ばかりで構成され、男性はひとりもいません。

それもそのはず、バンシーという名前自体がゲール語(アイルランド語)で

「女(バン)の妖精(シー)」を意味する言葉から来ています。

男性を差す時にはバンシーの代わりに「ファーシーFear Sidle」という名称を使います。

ファーFearはやはりゲール語で「男性」を意味する言葉です。


◇「泣き女」とバンシー

泣くだけで危害を加えないなんて、まるで人間のようだ・・・と思った人も

いるかも知れません。実は、その指摘は核心を衝いています。

そもそも「死に臨んで泣く」という行動そのものが、人間の風習から来るものなのです。



ヨーロッパにロマ族という部族がいます。

少し前まで「ジプシー」などと呼ばれていたので、ご存知の方も多いでしょう。

独特の風習や文化を持つことで知られ、確たる定住地を持たず、古くは馬車、

今はキャンピングカーに乗って各地を放浪しています。

スペインの名物として有名なフラメンコも、実はイベリア半島に

移住した彼らが伝えたものです。

このロマ族に、「泣き女」という風習がありました(今もあるかも知れません)。

葬式の際に個人への悲しみの情を盛り上げるために、報酬を貰って家の前で

泣くというものです。言わば「泣きのプロ」。

その様子は実際に見た人の話では「凄まじい」の一言だそうで、泣くわ喚くわ転がるわ、

見ている方が心配になるほどだと言います。

しかし、ことが終わればさっきまでの騒ぎようはどこへやら、

笑顔さえ浮かべて悠然と去ってゆきます。


この風習自体は、決して珍しいものではなく、かつては日本でも行われていたことがあり、

朝鮮半島や中国などでは今も「泣き女」で生計を立てている人がいると言います。










終わり

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