アインシュタインの予言(あいんしゅたいんのよげん)とは、アルベルト・アインシュタイン
(1879年 - 1955年)の発言として流布されている約300文字程度の言葉。
近代日本の驚くべき発展を賞賛し、来るべき世界政府の盟主は日本が担うことになるであろうと
予言している。さらに、そのような尊い国を作っておいてくれたことを神に感謝する、と続く。
ただし、アインシュタインがこのような趣旨の発言をした例は存在しないとする論証が
2006年に提出され、それ以降、この予言は偽書の一種であると見做される傾向にある。
この文章の初出は明確ではないが、1950年代に遡るという。
以降今日に至るまで、書籍、雑誌など多数のメディアで引用・再引用が繰り返され、
インターネットの普及後はウェブ上の記事においても引用されている。内容としては、
近代日本の発達ほど、世界を驚かしたものはない。
この驚異的な発展には、他の国と異なる何ものかがなくてはならない。
果たせるかなこの国の、三千年の歴史がそれであった。
この長い歴史を通して、一系の天皇をいただいているということが、
今日の日本をあらせしめたのである。
私はこのような尊い国が、世界に一カ所位なくてはならないと考えていた。
なぜならば世界の未来は進むだけ進み、その間幾度か戦いは繰り返されて、
最後には戦いに疲れる時がくる。
その時人類はまことの平和を求めて、世界的な盟主を挙げねばならない。
この世界の盟主なるものは、武力や金力ではなく、あらゆる国の歴史を抜き越えた、
最も古くまた尊い家柄ではなくてはならぬ。
世界の文化はアジアに始まって、アジアに帰る。
それはアジアの高峰、日本に立ち戻らねばならない。
吾々は神に感謝する、吾々に日本という尊い国を、作っておいてくれたことを。
http://www.aiweb.or.jp/en-naka/column-5/column.htm
この言葉は「日本人の愛国心をくすぐる内容」と宣伝され、再三に渡って引用されており、
古いものでは今村均の1956年(昭和31年)の著書『祖国愛』に、また、名越二荒之助の
1977年(昭和52年)の著書『新世紀の宝庫・日本』においても存在が確認できる。
最近のものでは、2005年(平成17年)の『世界の偉人たちが贈る日本賛辞の至言33撰』で
紹介されている。しかし、この文章の出典とされる雑誌『改造』1922年(大正11年)
12月号(アインシュタイン特集号)には、該当の文章は存在しない。
偽書説
2005年(平成17年)、ドイツ文学研究者の中澤英雄・東京大学大学院・言語情報科学専攻教授は、
この発言がアインシュタインのものであるという確定的な典拠は存在せず、また
アインシュタインの思想とは矛盾する内容であると発表した。
中澤は、この「予言」の原型を、宗教家田中智學が1928年(昭和3年)に著した本
『日本とは如何なる國ぞ』の一節であると指摘した。
ただし、田中はこの言葉を、大日本帝国憲法制定に大きな影響を与えたドイツ人法学者
ローレンツ・フォン・シュタインの発言として紹介しており、「予言」はアインシュタインの
ものではなかった。
中澤は「シュタイン」と「アインシュタイン」という名前の類似性から、流布の過程で
すり替わってしまったとし、また内容的にシュタインの思想とも食い違っており、
シュタインの発言ではなく、田中による創作であると考察した。つまり、田中が
シュタインを狂言回しに自らの思想を語ったものであり、それに細部の改変が加えられて
「アインシュタインの予言」となり、現在に流布したのであると論証した。
しかし、本当にアシンシュタインが予言した言葉があった。
「第二次世界大戦では原子爆弾が兵器として利用されましたが、第三次世界大戦が起こったら、
どのような兵器が使われると思いますか?」というインタビューを受けたアインシュタインが
「第三次世界大戦についてはわかりませんが、第四次大戦ならわかります。
石と棍棒でしょう。」と答えたというもの。
これは「予言」というよりはむしろ、第三次世界大戦は全面核戦争である故、
人類文明の崩壊は必然であるという「警句」である。
