【怪奇】 「置いていかないで」 | Let's easily go!気楽に☆行こう!

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映画、写真、B級グルメ、格闘技、そして少しばかり日常を語る雑記帳です。

Aは学生時代、友人Bと他県の教習所に通っていた。

(なぜ他県かというと、県内で免許を取ると学校にばれるから)

その教習所で、地元の女の子2人組、C子とD子と仲良くなった。

教習所に通っている間、いつも4人で遊んで仲良くやっていたが、

AとBには地元に付き合っている彼女がいた。

C子とD子とはその場限りの遊びのつもりだったので、

免許が取れた後はすっかり会わなくなった。

何度か電話がかかってきたが、居留守を使ったりして話す事すら無かった。



それから暫くして、Aの夢の中にC子が出てきた。

C子はうつむいて、

「もっと沢山遊びたかったのにねー・・・せっかく仲良くなれたのにねー・・・」

と、呟きながら消えていった。

AはC子になにかあったのかなと思い、C子に電話してみたが繋がりらない。

D子にも電話しましたが、こっちも繋がらない。

連絡が取れないならしかたないと、あまり気に留めていなかった。



それかまた暫くして、D子から電話がかかってきた。

D子は沈んだ声で言った。

「C子死んじゃった・・・」

なんでも、2人で歩道を歩いていたら、

そこに居眠り運転のトラックが突っ込んできて、

C子は即死、D子も意識不明の重態に。

幸いD子は順調に回復し退院となったが、

退院してすぐC子が亡くなった事を聞かされ、

なぜ自分だけが助かってしまったのかと、

半ばノイローゼ気味になっていた。

Aは、この事をBにも話さなきゃなーと思っていた矢先、

別の友人からBがバイクで事故ったと聞かされた。

前の車を追いこそーと反対車線に出たところ、対向車と正面衝突。

Aは急いで病院に行ったが、Bは意識不明のまま1週間後に亡くなった。



Aは、Bが死んだ事をD子に話すべきか迷ったが、

4人のうち2人が死んでしまい、少し心細かったせいもあり、D子に電話してみた。

しかし、またしてもD子の電話が繋がらなかった。

不安になったAは、D子の実家に電話をかけたところ、D子は行方不明となっていた。

ちょうど、C子の事で電話をかけてきたすぐ後から。

この時から、Aは少しおかしくなってしまった。

なぜ自分だけが今生きているのだろう。皆に申し訳無い。

そんな思いに、毎日押しつぶされそうになっていた。

その後。何日間かの記憶はもうろうとして、はっきりと思い出せなかった。

その何日間かの出来事を、母親が教えてくれた。



~母親から聞いた話~

Aはすっかり生気をなくし、食事もろくに取らず部屋の篭りっきりだった。

ある日、Aが部屋から出てきて、

「かーちゃん。友達が来てるから、お菓子持ってきてよ」と言いながら、

ジュースとグラスを4つ持って部屋に戻っていった。

母親は、「いつの間に来たんだろう」と思いながらも、お菓子を持ってAの部屋に。

部屋のドアを開けると、誰もいないテーブルに、ジュースの入ったグラスが4つ。

窓の方に目をやると、Aが窓から身を乗り出し、今にも飛び降りそうになっていた。

Aの住んでいるマンションは8階で、落ちたら即死である。

母親は慌ててAをつかみ、部屋に戻そうとした。

Aは、「みんな待ってくれ!俺を置いて行かないでくれ!」

と叫びながら、宙に手を伸ばしていた。

なんとか部屋に引き戻したものの、同じ事が何日も続いた。

さすがの母親もこれにはまいり、人づてで結構有名な霊能師を紹介してもらい、

お払いをする事になった。

霊能師によると、

「成仏しきれない霊にもう少しであの世に連れて行かれるところだった」と。

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それからAは正気を取り戻し、現在に至る。

しかし、この話の最後にAは言った。

「D子は未だに行方不明だけど、もう死んでるよ。

だって、時々3人で来るから・・・」