楽屋にあてがわれた応接室からトイレに行こうとした。
応接室を出ると、廊下に係りの人が待機していて
「どうしましたか?」
「ちょっとトイレに行きたいんですけど」
「それではご案内します」
「え?トイレあそこでしょ?あそこにWCって書いてあるじゃない」
「いえ、向こうに新しいトイレがありますので」
「いいですよあそこで。小便だし」
「それでは一緒について行きます」
枝豆が一人でトイレに入った瞬間、嫌な感じを覚えた。
うっすらホコリが積もり、普段使われている様子ではなかった。
4つある便器の一番手前で用を足していて、
ふと見ると一番奥の便器で小便をしている男がいた。
足音も何もしなっかたのにと不審に思いながら手を洗い、
鏡を見ると誰もいない。
「エッ?」と思って振り返ると男がまだ用を足している。
また鏡を見てみると、今度は男がはっきり映っていた。
「何かいるッ」
気持ち悪くなった枝豆は外に飛び出して、
待っていた係員に「今誰か入りましたか?」
「いえ誰も入ってませんが...」
「おかしいな...ちょっと中見てみてよ」
「誰もいませんよ」
「いや、絶対いたから。鏡見てみてよ、映るかもしれないから」
「...枝豆さん、このトイレ鏡ありませんよ...」

<【怪奇】 つまみ枝豆の体験談 終わり>