2011年、爆発的なブームで日本中に普及した『スマートフォン』
高機能携帯電話と称され、従来の携帯とは違い、
スマートフォンに『アプリ』をダウンロード、インストールすることにより、
各々の好きなように機能をカスタマイズできる。
アプリをダウンロードするには『マーケット』に接続する必要がある。
この、マーケットでは20万を超えるアプリが存在する。
ゲームや、壁紙、時計などのデザイン系のアプリや、
その端末の機能をアップさせるアプリ。
とにかく莫大な量のアプリがこのマーケットには存在していた。
その中に、製作者不明で、若者の間では
『ダウンロードしてはいけないアプリ』と
『禁断のアプリ』と言われる謎のアプリがある。
この話を聞いたのは、冬休みの課題に追われて、
友人のトオルとファミレスで課題をやっていたときだった。
「あっ、お前スマホじゃん」
唐突にトオルが話掛けてきた。
「ああ、うん」
「俺もさ、最近変えたんだよね。コレ」
「おー最新機種じゃん。すげえ」
トオルの最新機種の自慢話をうんざりするほど一通り聞いた。
するとトオルが妙な表情で話を持ちかけた。
「なあ、『ディザイアーアプリケーション』って知ってるか?」
「は?何?アプリ?」
「うん、アプリ。なんでも、そのアプリをインストールすると
入力欄だけがあるらしくてさ」
「……うん」
「そこに、自分の願いとか、こうなって欲しい!
っていうことを入力すると、叶うらしいんよ」
トオルは真剣な表情で語っていた。
俺はこいつは真性のバカなのだと本気で思った。
「お前さ……。それ本気で叶うとでも思ってんの?
そもそもそういう根拠のない……」
「まあ最後まで聞けって。そのアプリに入力して、
本当に叶ったっていうレビューがあるんだよ。それも何万件も」
続く。