女「実は少しだけ霊感があって……でも、姿は見たことないんです」
幽霊少女「でたぁ!自称霊感あるんです女ー!」
男「……それで?」
女「いつもちょっと気分が悪くなるというか、体調が悪くなるんです」
幽霊少女「それ生理じゃん」
男「そうなんだ。大変だね」
女「男さんも霊感あるんですよね?」
男「え、いや」
幽霊少女「霊感というか私がくっついてるだけですが」
女「あの、お払いとかできるなら、やってほしいです」
男「ええ?」
幽霊少女「……この人になにも憑いてませんよー?
ついてるのは無駄な脂肪だけで」
男「……んー」
女「……お願いします」
幽霊少女「鍋焼きうどんおそいなー」
幽霊少女「ちょっと、店員さん。クーラー強いよー?
ねえねえ、聞いてる?」
男(まあ、形だけのお払いをすれば、納得するか)
男「分かったよ。じゃあ、今度お払いしてあげる」
女「本当ですか!?ありがとうございます!」
幽霊少女「だから、なにも憑いてないって」
男「じゃあ、今度都合のいい日にでも会おうか?」
女「はい」
幽霊少女「うわ!さりげなくデートするきだぁ」
男「いつが良いかな?」
女「男さんの都合がつく日で構いません」
幽霊少女「じゃあ、50年後とかでもいいんですかね?」
男「来週の日曜日は?」
女「はい。大丈夫です」
男「じゃあ、それで」
幽霊少女「ちょっと!何も憑いてないっていってるのにぃ!」
夕方 会社
先輩「うーん……今日は定時で帰れそうだな」
男「そうですね」
幽霊少女「引き出しの中から飛び出す……ありかな?」
先輩「んじゃ、一杯、どうだ?」
男「すいません。ちょっとこの仕事があるんで」
先輩「ああ。真面目だねえ。家でも仕事か?」
男「すいません」
先輩「まあ、いいけど。んじゃ、
そろそろ帰りの準備でもするかねえ」
幽霊少女「……」
女「えっと、ペン……ペン」
ガラッ
幽霊少女「オッス、オラ引き出しの幽霊!」
女「あった……ふんふーん」
幽霊少女「―――ほら、全然なにも見えてないじゃん……」
自宅
男「はぁ……疲れた」
幽霊少女「憑かれたんですか?誰に?」
男「お前だよ」
幽霊少女「え?ああ、そういえばそうですね」
男「テレビでも見るか」
幽霊少女「男さん」
男「なんだよ」
幽霊少女「あの女さん、やっぱり何も霊感なんてないですって。
生理を幽霊の所為にするとかちょっとないと思うんですよ?」
男「……だろうな」
幽霊少女「分かってるなら、あんな相談受けなくても」
男「まあ、お払いして納得するならそれでいいだろ?」
幽霊少女「おひとよしー。だから、こんな美少女幽霊に
憑かれちゃうんですよ?わかってます?」
男「あーはいはい。そりゃ光栄だぁ」
幽霊少女「もっと嬉しそうにしてくださいよぉ」
幽霊少女「水道の蛇口を~……捻る!!」
ジャー
男「……」
幽霊少女「水道の蛇口を~……閉める!」
ピタ
男「……えっと、これがこうで」
幽霊少女「照明を明滅させる!」
カチカチカチ……!
男「………」
幽霊少女「あ、遊んでくれます?暇なんですけどぉ」
男「塩!!塩!!」
バッ!
幽霊少女「ちょ!やめ!」
男「胡椒!!胡椒!!」
幽霊少女「うわ!ちょ!味付けしないでくだ―――くちゅん!」
男「ふー、さとて風呂に入ってねるかー」
幽霊少女「わーい」
男「お前は入る必要ねえだろ?」
幽霊少女「知ってます?髪を洗っているとき、
背後には必ず誰かがぁ……いるんだぞー!がおー!」
男「つまり、お前がいるんだな?」
幽霊少女「うっす」
男「はいはい」
幽霊少女「えー?なんでそんな素っ気ないんですかー?」
男「怖くないし」
幽霊少女「うっそ?!幽霊ですよ?」
男「こんなにはっきりとした幽霊なんて怖くねえよ」
幽霊少女「そうですか?」
男「うん」
幽霊少女「美少女だから?」
男「否定はしないけど、自分でいうな」
浴室
男「……」
ジャブジャブ……
幽霊少女「……ぬえぇー」
男「ふん!」
カコーン!!!
幽霊少女「……いったぁーい!!風呂桶で殴るとかあり得ません!」
男「出てけ」
幽霊少女「……はいはい。
風呂上がりのビールをぬるくさせといてやるー」
男「おい。それは嫌がらせの限度を超えてないか!?」
幽霊少女「べーっだ!」
男「やべえ、早く上がろう」
ザバー
男「―――そんなに遊んでほしいのか、あいつ」
幽霊少女「ビールをこうしてコンロの傍に置いてっと」
男「マジですんじゃねえー!!」
幽霊少女「もう出てきたんですか?」
男「本当にするなよ。ビックリするなぁ」
幽霊少女「ふんだ」
男「……何して遊びたいんだよ?」
幽霊少女「え?」
男「一時間なら付きあってやる」
幽霊少女「……いいんですか?仕事で疲れてたんじゃぁ……」
男「一時間だ。無駄にするなよ?」
幽霊少女「……じゃあ、じゃあ、あの、あの!!」
男「なんだよ?」
幽霊少女「これこれ!!」
男「なんだ?テレビゲームがしたいのか?」
幽霊少女「は、はい!……だ、だめですか?
ちょっと、ほんのちょっとだけ、
興味があるんですよね……なんて……」
男「まあ、別にいいけど?」
幽霊少女「きゃっほー♪」
男(幽霊がゲームって……まあ、いいけど)
幽霊少女「これ、どこ、おせば良いんですか?ここですか?」
カチ……カチ……
男「いきなりコントローラー触っても意味ねえから」
幽霊少女「じゃあ、どこを?」
男「まずは電源をつけてだなぁ」
ピッ……ウィーン……
幽霊少女「……おお♪すごいー 」
男「まあ、別にいいけど?」
幽霊少女「きゃっほー♪」
男(幽霊がゲームって……まあ、いいけど)
幽霊少女「これ、どこ、おせば良いんですか?ここですか?」
カチ……カチ……
男「いきなりコントローラー触っても意味ねえから」
幽霊少女「じゃあ、どこを?」
男「まずは電源をつけてだなぁ」
ピッ……ウィーン……
幽霊少女「……おお♪すごいー!ついたー♪」
男「んで、ソフトを……何がしたい?」
幽霊少女「よくわかんないんで、なんでもいいですよ?」
男「んじゃ……これでもするか」
幽霊少女「えへへへ……♪」
男「楽しそうだな……」
幽霊少女「ほっ!やっ!っと!」
男「……」
幽霊少女「……いた!くそー、おかえしだぁー!」
男「……(ゴクゴク」
幽霊少女「んしょ!えい!とりゃー」
男「おい」
幽霊少女「な、なんですかぁ!?」
男「そのキャラクターを動かすとき体まで動かすのは癖か?」
幽霊少女「え?動いてます?」
男「もう、かなり」
幽霊少女「えへへ。熱が入ってしまって……よっ!」
男「まあいいけど……ふあぁあぁ」
幽霊少女「……ぬえ!」
男「………ぐー……」
幽霊少女「……やった!チュートリアルという
ステージをクリアしましたよー!
……て、あれ?男さん?」
男「……すー……」
幽霊少女「寝てる……」
幽霊少女「折角、クリアしたのにぃ」
幽霊少女「……えっと、電源は……ここでしたっけ?」
ピッ……ウゥゥン……
幽霊少女「……やった、消えた」
男「すー……すー……」
幽霊少女「男さん……ありがとう」
男「……」
幽霊少女「えっと、お布団お布団……」
ふわふわ……
幽霊少女「はい、これでよし!」
男「ぐー……」
幽霊少女「……ふふ……寝顔も素敵……♪」
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