「一口食べたら、もう一口食べたくなる・・・。
そして、もう一口と・・・
まるで魔術にかかったようにスプーンを持つ手が伸びていく。」
「これ以上のカレーはない!」
そんな信じられない神秘の味、
「ブラックカレー」。
これが今日のお題でございます。
駅前に「大徳デパート」と「白銀屋」の二大デパートが開店した。
また、店の商品や規模は互角。ならば『大衆料理の王様』であるカレー、
それも飛び切り美味いカレーをレストランの主力商品にして、
お客と呼び込もうと作戦まで同じになった。
その昔、大阪の阪急電車や、宝塚歌劇など阪急グループの創始者、
小林一三は、「百貨店で買い物を楽しんでもらい、
安いカレーでも食べて帰ってもらおう」
と秘書に大阪中の美味しいカレー食べてこいと命じ、
もっとも美味いと報告を受けた店を阪急デパートの食堂に入れ、
しかも四割の安値で提供し、たちまち阪急のライスカレーは、
「安くて美味い」と評判になり、お客が殺到した。
カレーを食べに来た客が、ついでに他の商品を買って帰り、
売上げが急増した事例があるのだ。
白銀屋は「カレーライスで日本制服」を本気で狙う、人気のカレーチェーン店
「インド屋」を店内に出店した。
一方、大徳デは-トは大衆料理の研究に余念の無い独創的な発想力と
抜群の行動力を持ち、「大衆のカレー屋」を力説する男を支配人に迎え、
大徳デパート内に「アジヘイ」を出店した。
こうして駅を挟んで、デパートの売り上げをも巻き込んだカレー戦争が始まった。
当初、見せの名前で優勢だった白銀屋の「インド屋」だったが、
大徳デパートの「アジヘイ」は、創意工夫を繰り返し、
「ミルクカレー」を発明したり、徐々に挽回していくが、
「インド屋」は、その対抗策として、世界中のありとあらゆるカレー料理の
修業を積んだというフリーランスのカレー専門家、通称「カレー将軍」と呼ばれ、
6000種類のスパイスを嗅ぎ分ける嗅覚を持ち、
保護のためか常にマスクらしきものを鼻部に装着している男、
鼻田香作を招いて打開を試みた。
6種類の辛さを用意したカレーや、ミルクカレーに対抗すべく
スパカレー(スパゲッティにカレーをのっけたもの)を出したことで、
客を取り返すことに成功した。
しかし「アジヘイ」が出した「アジヘイカレー」の味は抜群で
カレー将軍・鼻田は、売上競争で勝っても、味で負けては
名が廃るとばかりに、ついに究極のカレー、
「ブラックカレー」を登場させた!

かくして、登場させたブラックカレーの威力は凄まじかった!
食べた者を次々とリピーターにするばかりか、
食べずにはいられないようにしてしまったのだ!
偵察に行った「アジヘイ」の店員までもが虜になり、
「アジヘイ」には、もはや打つ手はなかった。
「アジヘイ」責任者・塩見味平は、
断腸の思いで、「カレー将軍」鼻田香作にこう言った!
↓

しかし!
鼻田の様子がおかしい・・・。


鼻田は救急車に担ぎ込まれ、病院へ運ばれた・・・。
その様子見ていた味平はこう言った!
↓

味平は言葉を続けた。
「カレーのスパイスのことを調べている時、
本で読んだことがある。
何千種類というスパイスの中には
麻薬に近いものもあるという。
ソシテスパイス(香辛料)なんて
全て刺激の強いものばかりだ・・・。
ヤツのように何十年とスパイスを
かぎつづけて来た男なら
おそらくいつのまにか
麻薬中毒になる可能性は十分ある。
ヤツは麻薬中毒になろうとしてなったんじゃねえ。
カレーのスパイスという魅力にとりつかれたあまり
いつの間にか、その危険性に気づかなくなって
しまったのだ・・・。」
(「包丁人味平」より 作:牛 次郎、画:ビッグ錠)
少年漫画史上、堂々と麻薬を取り上げた恐らく
史上初めての作品だったでしょう。
ブラックカレー・・・凄え~発想でございました。
なお今回登場したブラックカレーは
あくまで漫画の中で描かれたフィクションですので
念のため。
いえね、僕の家の最寄り駅近くでも「黒カレー」なる
カレーを売り物にしているお店がありますが、
漫画とはまったく関係のないものですので
お間違いなく♪
明日はカレーを食べようっと!
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