タイトルは忘れましたが、
楳図かずおの漫画でこんなのがありました。
(詳細を覚えていないので間違ってたらごめんなさい)
男性の主人公Aは歌舞伎の裏方さん。
ある日、歌舞伎役者が急病で倒れてしまい、
代役をどうするか検討していると
そのAが、倒れた役者の動きを
僕は全て覚えていますと言いました。
仕方なく、そのAに化粧をほどこして
代わりに舞台へあげると、本来の役者以上の演技をして
大喝采を浴びます。
芝居が終わり、Aが楽屋に戻って化粧を落とすと
まるで憑き物が落ちたように「素」のAに戻りました。
Aは、自分が化粧をすると、その化粧をした人そのものに
なること(演じること)ができることを知ったのです。
しかしそれは、「成りきる」のではなく、
実は「そのもの」になってしまうということに
そのときはまだ気がついてはいませんでした。
それ以降、Aは化粧をすることで様々な役者を演じましたが、
一方でAは、普段から化粧をせずにはいられない性分に
なってしまったのです。
次第に仕事以外でも化粧をするようになった自分が怖くなり
とうとうAは、化粧ができないように自分の顔を
包帯でぐるぐる巻きにしてしまったのです。
心配した友人たちが自宅に見舞いにきましたが
その友人たちが家から出て行き、誰もいなくなると、
我慢できなくなったAは顔に巻いていた包帯をとり、
鏡台の前にすわると、また化粧を始めたのです・・・。
Aの家に忘れ物をしたか、気がかりになった友人たちが
再びAの家に戻ると、そこには歌舞伎のような隈取り(くまどり)で
自分の顔に凶悪な顔に化粧し、さながら鬼のような形相で
家族に凶行を及ぼしている最中のAの姿がありました。
というお話です。
「成りきる」ってありますよね。
古くはジェームズ・ディーンの映画を見ると
映画館からでてくる男性客は上目使いになっていただとか(笑)、
高倉健の映画を見ると、やはり映画館からで出てくると
なぜか皆、健さんになっていたそうです。(爆)
<その1 終わり>
※「その2」は、本日21:00に掲載いたします。